


豪州ゴルフの支援に積極的なC・スミス
キャメロン・スミスは、2022年の第150回「全英オープン」での優勝以来、豪州ゴルフ界のスター選手となっている。
今年、彼は地元ツアーへの支援をさらに強化し、「クイーンズランドPGA」と「ニューサウスウェールズオープン(以下NSWオープン)」という2つの小規模な大会に出場することを決めた。
この2試合は、11月21日から始まる「BMWオーストラリアPGA選手権」と、11月28日から始まる「ISPS HANDAオーストラリアオープン(以下、全豪オープン)」というDPワールドツアー2試合に先駆けて、開催される。
スミスが予想外にも小規模な大会に参加したことは、ゴルフを通じて得た恩恵、特にサウジアラビアが支援するLIVツアーから得ている大きな報酬の一部を還元したいという彼の意欲を示している。
「豪州ゴルフをサポートするのが大好きだし、プレーする機会があれば参加したい。できるだけ地元に戻るようにしている」
10月31日からブリスベンのナッジーGCで開催された「クイーンズランドPGA」の賞金総額は、25万豪州ドル(約2500万円)で、これは彼がLIVゴルフ出場を通して通常稼ぐ数百万ドルには遠く及ばない。
しかし、その2週間後に行なわれた「NSWオープン」への彼の出場は、より一層寛大なものだ。
なぜなら、この大会はニューサウスウェールズ州とビクトリア州の境界に位置する内陸800キロのマレーダウンズGCまで、わざわざ出向かなければならないからだ。
クイーンズランド出身の彼は、アマチュア時代以来、「NSWオープン」でプレーしていない。
「キャムの参加は『NSWオープン』にとって大きな後押しです」とゴルフNSWの最高執行責任者グレアム・フィリップソン氏は述べた。「彼の存在は間違いなく競技レベルを引き上げ、参加者全員に素晴らしい雰囲気を生み出すでしょう」
スミスと彼のLIVゴルフのチームメイトであるマーク・リーシュマン、マット・ジョーンズ、ルーカス・ハーバートの「リッパーGC」は、9月のLIVゴルフの「チーム選手権」決勝で優勝したが、帰国後に友人やファンと多くの喜びを共有することができたに違いない。
そして、豪州のビッグイベント2大会にも出場した。
豪州の試合に出場のため帰国するスケジュールがタイトな米国女子ツアー組

LIVプレーヤーやジェイソン・デイ、ミンウー・リー、キャメロン・デービスのような帰国スターが豪州へ長期の年末旅行をする一方、豪州女子のトッププロであるハナ・グリーンやその他のLPGAツアープレーヤーにとって、男女混合の「全豪オープン」で戦うために乗り越えなければならない移動や準備には大きな困難が伴う。
グリーンは、LPGAのシーズン最終戦である11月21日~24日に行なわれる「CMEグループ・ツアー選手権」の主要な有力選手の一人だが、「全豪オープン」はキングストンヒースとビクトリアGCで共同開催され、その最終戦のわずか4日後に開幕する。
移動時間と時差による半日のロスを考えると、グリーンがメルボルンに到着するのは、開幕の前日になってしまうのだ。
「LPGAの選手にとって豪州に来るのは難しい時期ですが、男女ともに同じコースにいることで、両イベントの盛り上がりが高まります。それが唯一都合のいい日程なら、仕方ありません」
豪州で欧州女子ツアーを3試合開催
「全豪女子オープン」は、豪州女子PGAツアー(以下WPGA)で最大のイベントだが、WPGAは2024~25年シーズンの後半のトーナメントスケジュールを強化し、欧州女子ツアー(以下LET)との共催で3週にわたって大会を開催する。
「WPGA選手権」は、3月6日~9日までクイーンズランド州のサンクチュアリー・コーブで開催される。
この大会はカリー・ウェブを称えるために考案され、2022年にロイヤルクイーンズランドで豪州PGAと共同開催されたが、今回は単独開催となり、豪州での3週間のLETの最初の大会となる。
3月13日~16日には、ニューサウスウェールズ州北海岸のコフスハーバーで「全豪女子クラシック」、そして3月20日~23日に州南海岸のウロンゴンで「女子NSWオープン」と続く。
ナディーン・ゴールの勢いが止まらない

アマチュアゴルフ界では、不動の実力を誇る元プロのナディーン・ゴールが、「全米シニア女子アマ」に勝利し、連続優勝を続けている。
ゴールは、「R&Aシニア女子アマチュア選手権」で優勝してからわずか2か月後に、豪州人として初めて全米タイトルを獲得。
2023年には、豪州の全6州の選手権と、「全豪アマチュア選手権」で優勝した初のゴルファーとなった。
また、ニュージーランドとスコットランドでもナショナルオープンで優勝している。
ゴールは元プロゴルファーで、現役時代には1996年にLETの「デンマークオープン」で優勝した。
その後2人の子供を育てるために引退。
彼女は20年以上ほとんどプレーしていなかったが、地元のクラブの試合に出場するために、2019年にプロ資格の放棄を申請した。
Text/Karen Harding

カレン・ハーディング
(オーストラリア)
メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。