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6回目の腰の手術を受けたタイガー・ウッズ 「チャーリーと一緒にプレーするために手術を早めた」

PNC Championship

昨年9月に腰の手術を受け、背中の痙攣や痛みが軽減されたというタイガー。だが、完全に治癒しているわけではないため、今後のPGAツアー本格参戦のスケジュールは未定だ。©GettyImages

毎年12月は、親子でプレーする「PNC選手権」で愛息チャーリーくんとラウンドするのがルーティーンとなっている、タイガー・ウッズ。
昨年は「全英オープン」で予選落ちをしたのを最後に公の場に姿を現すことはなかったが、彼の体調や今季のスケジュールはどうなっているのかをレポートする。

「PNC選手権」最終日、自身初のホールインワンを達成したチャーリー・ウッズ(右)。7番アイアンで打った176ヤードのショットが、見事カップイン。父タイガーと抱き合って喜んだ。©GettyImages
チャーリーくんのショットを見るタイガー・ウッズ。愛息は身長が10センチ弱伸びて、ゴルフの成長も劇的だという。©GettyImages

本調子ではないが出場したかった試合とは?

タイガー・ウッズは、12月初めにバハマで開催された、自身がホストを務める20人のPGAツアー非公式大会「ヒーロー・ワールドチャレンジ」に出場するには調子が十分ではないと感じていた。
しかしその数週間後、彼はPGAツアーとLPGAのメジャーチャンピオンが家族とペアを組んで参加する、スクランブル方式の大会「PNC選手権」で36ホールをプレーするほどには回復していたのだ。

タイガーは、息子のチャーリーと5年連続で一緒にプレーする機会を逃したくなかったようだ。
彼は自分のゴルフの調子がまだあまり良くないと感じていたが、3か月前に腰椎の神経圧迫を和らげるために6回目の腰の手術を受けたにもかかわらず、かなり良いコンディションであることを示した。

タイガーはトーナメント期間中、金曜日のプロアマ戦(18ホール)も含め、歩いてラウンドした。
クラブを振っている様子は、多少の錆びつきは感じられたものの、調子は悪くなかった。
そして、最終ラウンドでチャーリーが人生初のホールインワンを達成したことで、タイガーは輝かしいキャリアにもう1勝を加えるところだったのだ。

だが、残念ながらそれはかなわなかった。
ウッズ親子はフロリダ州オーランドのリッツ・カールトンGCで行なわれた「PNC選手権」で、新記録の28アンダーをマーク。
そのパフォーマンスのハイライトは、4番ホール・パー3でチャーリーが決めたホールインワンだった。
しかし、どういうわけかウッズ親子は優勝できず、前年王者のベルンハルト・ランガーと息子のジェイソンが、タイトル防衛に成功した。
ランガーは、昨年の2月にアキレス腱を断裂し、手術を決行。
昨年、「マスターズ」での引退を表明していたが、出場することができなかった。
そして長期リハビリを経て復帰した彼は、プレーオフ1ホール目で15フィートのイーグルパットを沈め、大会史上最多となる6回目の優勝を果たしたのだ。
この記録はレイ・フロイド親子の5勝を上回るものだ。

このタイトル争いは、それぞれのツアーで最多勝利を誇る選手同士の対決となった。
ウッズはPGAツアーで通算82勝を挙げており、サム・スニードと並ぶ歴代最多タイ記録を保持。
一方、ランガーはPGAツアーチャンピオンズのシーズン最終戦「チャールズ・シュワブ選手権」で47勝目を挙げている。

そして、その子どもたちも勝負に貢献。
この日のハイライトは、先述の通りチャーリーが7番アイアンで176ヤードからホールインワンを達成したことだ。
チャーリーは最初、自分のティーショットがカップインしたことに気づかなかったが、タイガーが歓声を上げ、息子を抱きしめる姿が印象的だった。

「グリーンの左右から何か音が聞こえたんだけど、テレビで確認するまで、全然確信が持てなかった。そして、わかってから大喜びしたんだよ」とタイガーは語った。

「何をしたのか覚えていないけど、とにかく楽しかったよ。本当に信じられない瞬間だったね。チャーリーが初めてホールインワンを決めたその瞬間を一緒に過ごせたこと、バッグを担いでくれた(長女の)サム、そして家族や友人たちと一緒にその場にいられたことは、一生の思い出だ。この大会はまさにそういうもの。絆や家族がテーマなんだ」

健康状態やゴルフの調子を話したがらないタイガー

長女のサム(中央)をキャディに従え、長男のチャーリーと出場したタイガーは、「大切なのは家族の絆。この大会は、家族のためのものだ」と語った。©GettyImages
2024年「PNC選手権」は、タイガー&チャーリー・ウッズとのプレーオフを制したベルンハルト&ジェイソン・ランガーが優勝した。ランガーが本大会で優勝するのは、6度目。©GettyImages
PGAツアー非公認試合「ヒーロー・ワールドチャレンジ」は、スコッティ・シェフラー(右)が、昨年に続き優勝。タイガーはプレーはしなかったが、ホストとしての任務をこなしていた。©GettyImages

この大会は、12月30日に49歳になったタイガー・ウッズにとって、もう一つの復帰の場でもあった。
ただ、彼が話したいのは誕生日のことでも、彼の健康状態のことでも、さらにはゴルフそのものについてでもなかった。

「競技レベルには、程遠い状態だ」と、父子で5回目の出場で2回目の2位に終わった後に、タイガーは語った。
「でも、毎日トレーニングして、コツコツやって前進していけば、2025年も進歩できるだろう」

「僕はスクランブル方式のパートナーとしては最高だよ」と冗談交じりに付け加えた。
「ところどころ、良いショットも打てるからね」

タイガーは「PNC選手権」に出場する準備ができるかどうかさえ確信が持てない状態だった。
大会数日前まで、出場の可能性は不透明だったと認めている。

「ああ、そういう時もあったよ」と彼は言った。

「だからこそ、手術を早めに受けたんだ。チャーリーと一緒にプレーする最高のチャンスをできるだけ確保したかったんでね。今は競技に出られるレベルではないが、またこの経験をしたかったんだ。これは我々家族にとって、常に一年のハイライトの一つ。またその瞬間を共有できたことが嬉しい」

2024年、タイガーが短い競技スケジュールで苦しんでいたのは、2021年の自動車事故で大ケガを負った右脚ではなく、背中のことだった。
彼は何とかそれを隠していた。
昨年、彼は4大メジャーとPGAツアーのシグネチャーイベントである「ジェネシス招待」に出場したが、予選通過は「マスターズ」の1回だけ。
オーガスタナショナルGCで迎えた週末には苦戦し、予選通過した60人の中で最下位に終わったのだった。

「時が経つにつれて、状態は徐々に悪化していき、治療を受けても、休んでも、活性化療法でも、よくなる気配は全くなかった」と彼は語った。
「どれも効果がなく、MRIの結果がそれを物語っていたんだ。背中がこんなふうになるとは思っていなかったよ」

「2024年はある意味、時間をムダにしてしまったような1年だった。必要な体の鋭さがなかったし、メジャーに向けて十分にプレーすることもできなかった。そして、それらの大会でも良い結果を残せなかった。2025年はもっと良くなるといいけどね。体力もついて、もっと良くなると信じている。この手術が役に立ったのはわかっているし、それを基にさらに前進できることを期待している」

ウッズがPGAツアーで最初に出場するとしたら(彼が望むなら)、1月下旬に開催される「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」となる。
ツアーの政策委員会(彼自身も委員を務めている)が、6月に彼の「卓越した生涯の功績」を評価し、8つのシグネチャーイベント全てへの特別出場権を与える決定をしたため、彼はこの大会への出場資格を得たのだ。
その2週間後の2月13日~16日には自身がホストを務める「ジェネシス招待」が開催される。

「PNC選手権」で息子とともに2回目の2位に終わった後、彼はPGAツアーで今後戦う見通しについて語ることを望まなかった。
それよりも彼は、息子とプレーする喜びについて何度も話し、この1週間が家族のための時間であることを強調した。
それでも彼が、試合に出る態勢を整えようとしているように見えたのは確かである。

「どうなるか、様子を見てみよう」とPGAツアーの次の試合に出場する時期について問われた際に答えた。

「でもとにかく、毎日トレーニングを重ね、小さなことを積み重ねて進歩し続けること。そうすれば、2025年も前進できるだろう」

Text/Dave Shedloski
Photo/Getty Images

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