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【世界のゴルフ通信】From Japan 日本ゴルフの2025年問題?男子ツアー24試合、女子ツアー37試合で実力者たちは海外へ

LPGA·Qシリーズ(予選会)でトップ合格を果たした山下美夢有(左)と、2024年「TOTOジャパンクラシック(日米共催)」で優勝し、今季のLPGAシード権を獲得した竹田麗央。©GettyImages
岩井明愛·千怜の双子姉妹も揃って、今年はLPGAに本格参戦する。©GettyImages

日本のゴルフ界を襲う2025年問題とは?

2025年が幕を開けた。
団塊の世代が後期高齢者になる日本の『2025年問題』は、ゴルフの世界でも様々な方面で危惧されている。
ツアーにもその影響があるのは間違いない。

プロツアーを支えるファンは、自分もゴルファーである場合がほとんどだ。
野球やサッカー、相撲などのように、自分はプレーしないけれども試合は観に行く、というファンを増やさなければ広がらないことがわかっていながら、手を打てないまま今日に至っている。

現状ではゴルファーのコアとなっている団塊世代が、年齢とともにゴルフから離れれば、ファンも減る、という流れが見えている。
そんな中で迎える2025年、プロツアーはどう迎えるのか改めて見てみよう。

2024年と同じ37試合の女子ツアー
ビッグネームの穴埋めはいかに?!

女子ツアーは1増1減で、2024年と同じ37試合。
シーズン2戦目に定着していた「明治安田レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」がなくなり、新規大会として「明治安田レディスゴルフトーナメント」が7月に行なわれる。
どちらも明治安田の名がついているため、ややこしいが、前者の主催は横浜ゴムで、明治安田は特別協賛。
後者は日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)主催という、新しいスキームの全く違う大会になる。
明治安田は、新大会でも特別協賛だが、全試合をJLPGAが主催するという方針(2025年からの予定を2027年からに延期)下のもの。
JLPGA主催は公式戦以外では3年で終わってしまった「楽天スーパーレディース」以来のことなので、今後に向けても注目の1戦となる。

選手の海外進出傾向には、拍車がかかっている。
女王争いを繰り広げた竹田麗央、山下美夢有、岩井ツインズら昨年活躍した面々が新天地に挑む。
新人も含めた国内勢が、その〝穴〟を埋める戦いを繰り広げられるのか、も注目点だ。

スポンサーを繋ぎ止める方法とファンを増やし、定着させる方法は?

日本初開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」を創設した株式会社ZOZOの前社長、前澤友作氏(右)。今年、賞金総額4億円という日本男子ツアー史上初の高額賞金大会を開催する。©GettyImages
デビュー当時から積極的に、海外遠征を続けてきた蟬川泰果も、下部ツアーに挑戦。©GettyImages
昨年末のPGAツアーQスクール(最終予選会)に出場した平田憲聖。今年は同ツアーの下部ツアーに出場予定。©GettyImages

規定試合ギリギリの24試合で行なわれる男子ツアー
個性あふれる試合も

一方、男子ツアーは4増4減。
こちらは薄氷を踏むような24試合の現状維持だった。
DPワールドツアー(欧州ツアー)と共催の「ISPSHANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」が中止となり、代わりにISPSはJGTOの2大会を開催する。
「長嶋茂雄セガサミーカップゴルフトーナメント」「For The Players By The Players」が中止となり「横浜ミナトChampionship~Fujiki Centennial~」も、開催地だった横浜CCで米ツアー「ベイカレントクラシック」が行なわれるあおりを受けて、中止となった。

他に新規は、2試合。
賞金総額は最高4億円(詳細後述)の「前澤杯MAEZAWA CUP」と「リシャール・ミルチャリティペアマッチ&トーナメント」だ。
「前澤杯~」は、プロアマをオークションにかけてその結果を賞金に反映させるという、これまでにない形をとる。

一方、本戦は通常のストロークプレーだが、チャリティプロアマは女子プロ参加を予定しているのが「リシャールミル」だ。
女子ツアーにはわずかしかない、空き週である7月31~8月3日という日程だからできる企画で、この試合は日程発表前日に開催が最終決定している。
これで4増4減。
ツアー規定試合ギリギリだったことがひしひしと伝わってくる。

これまでも様々な試みを続けてきたISPSの大会はもとより、「前澤杯」もリシャールミルの大会も、ゴルフトーナメントの〝枠〟を超えた企画が満載。
試合数が減った現在の男子ツアーだからできる〝冒険〟には、今後に向けたヒントが隠されているのかもしれない。
全試合主催化という方向性は間違っていないが、それに伴い、試合の個性が消えることが危惧される女子ツアーとは好対照と言っていいだろう。

なお、賞金王の金谷拓実がPGAツアーQTの狭き門を突破。欧州ツアー経由の星野陸也とともに、米ツアーに参戦する。

平田憲聖、蟬川泰果もPGAツアーの下部ツアー(コーンフェリーツアー)に出場するが、大西魁斗に続く飛躍が期待される。

試合数の話になると、スポンサー探しとイコールになってしまうが、それだけではうまくいかない。
冒頭でも述べたが、グローバルであれ、ドメスティックであれ、ローカルであれ、プロスポーツを支えるベースはファン。
スポンサーの向こう側にいるファンを増やし、定着してもらうことができれば、スポンサーの増減はあっても、土台は揺るがない。

残念ながら男女ともに、スポンサー依存体質を抜け出せないままの日本ツアー。
目先の試合数に振り回されるのではなく、本質を見直す必要があるだろう。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

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