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【世界のゴルフ通信】From Europe 全英オープンがLIVゴルファー受け入れ!?「ライダーカップ」の予行練習でニューヨーク大会に備える欧州

1月にアブダビで行なわれた「チームカップ」は、「イギリス&アイルランド連合チーム」が勝利。後列左から、ポール・ウェアリング、トミー・フリートウッド、ジャスティン・ローズ(主将)、ローリー・キャンター、アーロン・ライ、ジョーダン・スミス。前列左からマシュー・ジョーダン、マット・ウォレス、ティレル・ハットン、トム・マッキビン。©DP World Tour
「チームカップ」の両チーム・キャプテン。左は「欧州大陸チーム」のフランチェスコ・モリナリ、右は「イギリス&アイルランド連合チーム」のジャスティン・ローズ。©Getty Images
今年の「ライダーカップ」で2回目の欧州チームキャプテンを務めるルーク・ドナルド(左)と、トミー・フリートウッド。©Getty Images

「ライダーカップ」のリハーサルである「チームカップ」の意義

1月中旬に開催されたDPワールドツアーの「チームカップ」の重要性は、「ライダーカップ」でチーム入りを目指す者たちにとって決して見逃せないものだった。

イギリス&アイルランド連合チーム(以下GB&I)が、欧州大陸チームを17対8で下したが、その結果はそれほど重要ではなかった。
ルーク・ドナルドが率いる「ライダーカップ」チームの枠が確定したわけではないからだ。
トミー・フリートウッドは、2023年のローマでアメリカから「ライダーカップ」を奪還したときと同じように、最終日に勝利の決定打となるポイントを挙げ、その栄光の瞬間を大いに楽しんでいた。

しかし、どれほど満面の笑みを浮かべ、拳を振り上げ、仲間とハイタッチを交わし、歓喜したとしても、この「ライダーカップ」の準備大会での成果が本当に評価されるのは、8か月後のことだ。

もともと2000~2013年まで8回開催された「セベ・トロフィー」として誕生したこの大会は、2021年の「ライダーカップ」で米国チームに大敗したことを受け、10年ぶりに現在の方式で復活した。
ウィスコンシン州ウィスリングストレーツでの屈辱的な敗北の後、改めて重要性が認識されたのが、本番のための実戦的なマッチプレー大会。
ロバート・マッキンタイヤー、セップ・ストラーカ、ニコライ・ホイガードらは、前年の「チームカップ」での経験を糧に、ローマでの「ライダーカップ」デビューに成功。
ドナルドも、この点を強調している。

「この大会は、最終的にマルコ・シモーネ(2023年『ライダーカップ』開催地)にたどり着いた多くの選手にとって、貴重な経験の場となった。実際、前年の出場選手20人のうち6人が『ライダーカップ』に選ばれ、そのうち3人がデビュー戦だった。今年も、この大会を通じて誰が、私のチームに加わることができるのか、楽しみだ」

前回(ローマ)と、あの悪名高いベスページの「闘技場」のような雰囲気とは大きく異なることは、ドナルド自身も認めているが、チームメイトたちを待ち受ける事態に備えるために、彼が準備できることはたくさんある。

「我々はメッセージの伝え方を試行錯誤しながら、選手たちに『ライダーカップ』とはどのようなものなのか、そしてその一員であることがどういう意味を持つのかを伝えている」とドナルドは付け加えた。

「ここには若手が多いが、同時に将来有望な選手もたくさんいる。彼らに『ライダーカップ』の重要性やその意義、そしてこの大会がプロゴルファーとしてのキャリアにどれほど影響を与えるかを理解してもらうことが大事なんだ」

しかし、この「ライダーカップ・ライト」とも言える大会が恩恵をもたらすのは、ルーキーだけではない。
むしろ、今後キャプテンや副キャプテンの役割を担うベテラン選手にとっても、貴重な試金石となるのだ。

例えば、ジャスティン・ローズとフランチェスコ・モリナリのような選手たち。
彼らはそれぞれGB&Iと欧州大陸チームのキャプテンを務めた。
モリナリは、2年前に欧州大陸チームを優勝に導いたが、今回はローズ率いるGB&Iの圧倒的な強さの前に敗れた。ローズのチームが優勢となり、ドナルドは彼の「冷酷なまでの勝負強さ」に感銘を受けた。

「彼がいつか、『ライダーカップ』のキャプテンを務めるときが来ると理解している。彼は私の考えを聞き出し、チームへのメッセージも的確だった。私はほとんど口を出さずに彼に任せていたが、彼は結果に非常に満足しているはずだ」

「全英オープン」出場枠についにLIVのカテゴリーが誕生

現在、「ライダーカップ」ポイントランキングで2位の、ティレル・ハットン。LIVゴルフを主戦場に戦っているが、DPワールドツアーにも出場している。©Getty Images

R&AがLIVゴルファーに「全英オープン」出場権

R&Aは、LIVゴルファーがランキングを通じて出場権を獲得できる新たな「全英オープン」の予選カテゴリーを発表。
新ルールでは、2025年シーズンのLIVゴルフの個人戦ランキングでトップ5に入り、なおかつ他の出場資格を持たない選手が、「LIVゴルフ・ダラス」終了時点で「全英オープン」への出場権を得ることになる。
つまり、かつてはゴルフ界の「異端者」として排除されていたLIVゴルフと、メジャー大会の関係がより正常化されつつあるということだ。
R&Aの最高経営責任者(CEO)であるマーク・ダーボン氏は、「『全英オープン』は、男子ゴルフの世界最高峰の選手たちが集う世界選手権であり、毎年、出場資格の見直しを行ない、主要なプロツアーでの成績を反映した公平な出場ルートを提供するよう努めている。LIVゴルフでプレーしている選手にも、既存のルートに加えて個人ランキングを通じて出場権を得る機会を提供すべきだと認識している」と語る。

ポートラッシュは再び歴史を刻む

今年の「全英オープン」は、北アイルランドのロイヤル・ポートラッシュGCで開催される。©R&A

前回、ロイヤル・ポートラッシュで「全英オープン」が開催された2019年には、23万7750人もの観客が北アイルランド・アントリム海岸に詰めかけた。
この数字を超えたのは、2022年のセントアンドリュース(29万人)だけだった。
そして、2027年大会を再びセントアンドリュースで開催することをR&Aが発表。
1927年に伝説のアマチュアゴルファー、ボビー・ジョーンズが、セントアンドリュースでクラレット・ジャグを掲げてからちょうど100年という節目の大会となる。

Text/Euan McLean

ユアン・マクリーン(スコットランド)

スコットランド・グラスゴー在住のスポーツライター。『サンデーメール』などに寄稿。欧州ツアーなど過去20年にわたり取材。

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