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【世界のゴルフ通信】From Latin 大舞台に出場するために!偉大なヒスパニック系ゴルファーを輩出する「LAAC」

2025年「ラテンアメリカ・アマチュア選手権」で優勝した、ジャスティン・ヘイスティングス。「マスターズ」「全米オープン」「全英オープン」への出場資格を獲得。©R&A
2026年の「ラテンアメリカ・アマチュア選手権」は、ペルーのリマゴルフクラブで開催される。

10年ぶりにアルゼンチンで開催された「LAAC」

ジャスティン・ヘイスティングスが、「ラテンアメリカ・アマチュア選手権(以下LAAC)」の第10代チャンピオンとなり、ケイマン諸島出身者としては2人目の快挙を達成。
地元アルゼンチン勢は、3度目の優勝を狙っていたが、その夢を阻まれる形となった。

2025年の第10回「LAAC」では、29か国・108名の選手がアルゼンチンのピラールGCに集結した。
「LAAC」発足の地であるアルゼンチンでの開催は、10年ぶりだ。
アルゼンチン勢11名が、2020年のアベル・ガジェゴス、2023年のマテオ・フェルナンデス・オリベイラに続く優勝を地元で狙い、ビセンテ・マルジリオやマヌエル・ロサダも、その11名の一員として参戦。
また、世界アマチュアゴルフランキング137位でアルゼンチン勢最上位のホアキン・ルドゥエーニャも、メジャー出場権獲得を目指した。

しかし、最終的に勝利を手にしたのは、ケイマン諸島出身のジャスティン・ヘイスティングスだった。
ラテンアマチュア界で最も重要な試合である「LAAC」は、メジャー4試合のうちの3試合(『全米プロ』を除く)の出場権をかけた戦いで、最終日はまさに肉体的・精神的な耐久戦。強い嵐の影響を避けるため、最終日は36ホールを1日でプレーするというマラソンのような展開となった。
ヘイスティングスは、272ストローク(通算16アンダー)で栄冠を手にし、ケイマン諸島2人目の「LAAC」王者となった。
彼はこれまで6度「LAAC」に出場し、一度も予選落ちすることはなく、2024年パナマ大会で4位に入るなど、着実に力をつけ、年々成績を向上させてきたのだ。

ヘイスティングスと同郷のアーロン・ジャービスは、2022年にドミニカ共和国のカサ・デ・カンポで「LAAC」を制し、その後、「マスターズ」と「全英オープン」でプレー(全英では予選通過)。
ヘイスティングスは、「ケイマン諸島から2人のチャンピオンが生まれたことは本当に信じられないことだ。
アーロンは素晴らしいお手本だった」と語った。

「LAAC」は、マスターズ、R&A、全米ゴルフ協会(USGA)によって設立され、南米・中米・メキシコ・カリブ地域のアマチュアゴルフの発展を目的としている。
ジャスティン・ヘイスティングスは、2025年の「マスターズ」、第153回全英オープン(ロイヤル・ポートラッシュ)、第125回「全米オープン」への出場権を獲得。
さらに、「全英アマ」と「全米アマ」にも出場する予定だ。

PGAツアーとLIVゴルフに進んだスペインゴルフ界の若き2人の行方

今年からセルヒオ・ガルシア率いる「ファイヤーボールズGC」に加入したルイス・マサベウ。©LIV GOLF
「マスターズ」「全米プロ」の出場権を招待されることで獲得した、昨年のLIVゴルフ個人戦2位のホアキン・ニーマン。©LIV GOLF
開幕戦「LIVゴルフ・リヤド」でチーム戦優勝を遂げた、ジョン・ラーム(右)率いる「リージョン13」。©LIV GOLF

PGAツアーとLIVゴルフに和平は訪れるのか?

PGAツアーと、LIVゴルフの間の前進として、昨シーズンのLIVゴルフでジョン・ラームと個人戦の年間王者を争ったチリのホアキン・ニーマンが、再び「マスターズ」の招待を受けることが決定した。
また、USGAのCEOであるマイク・ワン氏は、LIVゴルフの選手が「全米オープン」に出場する可能性を開く姿勢を示し、R&A(全英オープン)もすでにLIVゴルファーに正式に門戸を開きつつある。
さらに、「ライダーカップ」の両チームのキャプテンも、より競争力のあるチーム編成を目指すため、LIVゴルファーを受け入れているようだ。

米国チームのキャプテン、キーガン・ブラッドリーは、「どのツアーに所属しているかに関係なく、最も優れた選手を選ぶ」と明言。
一方、欧州チームのキャプテン、ルーク・ドナルドは、ジョン・ラームにすでに「チームに入れる」と伝えている。
ラームは、今シーズンのLIVゴルフで好調なスタートを切り、リヤド大会で2位タイに。
現在、DPワールドツアー(欧州ツアー)の罰金や制裁について法廷で争っている最中だが、ポイントを獲得するために可能な限り欧州ツアーの試合に出場すると表明している。

一方、セルヒオ・ガルシアはより厳しい状況にある。彼はかつてDPワールドツアーのメンバー資格を放棄し、LIVゴルフに移籍したが、現在は罰金を支払い、制裁を受け入れながら再びツアーに戻ろうとしている。
ドナルドは「彼が良い状態なら選ぶ」と約束している。ガルシアは過去10回の「ライダーカップ」で25勝13敗7分を記録し、「ライダーカップ」史上最多ポイントを獲得した選手の一人だ。

そのガルシアはLIVゴルフで、スペインの新星、ルイス・マサべウをチームに迎えた。
マドリード出身の22歳で、2024年「全米アマ」では準決勝まで進み、同年10月にプロ転向した若手だ。

一方、LIVゴルフから離脱したエウヘニオ・ロペス・チャカラは、「LIVゴルフはただ金のためだけに動いている。だまされた」と発言。
大きな議論を呼んだ。
LIVのおかげで経済的に人生の問題がほぼ解決した選手にとっては、物議を醸す発言だ。

そして興味深いことに、2024年「全米アマ」優勝者はスペイン人のホセ・ルイス・バレスターで、大会124年の歴史で初のスペイン人優勝者となった。
彼は友人のマサベウや師匠のガルシアとは正反対となる、PGAツアーに進む道を選択し、「WMフェニックスオープン」でデビュー。
PGAツアーで戦うバレスターと、LIVゴルフで戦うマサベウという2人の若きスターの今後の活躍に注目だ。

Text/Isabel Trillo Amores

イサベル・トリロ・アモーレス(スペイン)

PGA・オブ・スペインのコミュニケーションディレクター。80年代後半からゴルフ取材を始め、その数は世界250試合以上。ゴルフのラジオ番組も手がける。

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