


サウジアラビアの首都で夜に行なわれたLIVゴルフ
LIVゴルフが、この3年間の短い歴史の中で行なってきた数々の取り組みは、注目に値するものばかりだ。
競技中のショートパンツ着用を許したり、ショットガン方式のラウンド終了後にスコアカードをどこででも指定の記録係に提出できるようにしたりといった一見些細なことから、会場からのSNS投稿を選手に許可するなどの決定まで、サウジアラビアが資金提供するこのリーグは、ゴルフの伝統的なプレースタイルに変革をもたらしている。
そして2025年シーズンの開幕戦となる「LIVゴルフ・リヤド」では、これまで開催されてきたジェッダ近郊のキング・アブドラ・エコノミックシティから会場を変更し、さらに新たな試みとしてナイターゴルフを導入。
これは、男子プロゴルフの複数ラウンド制の大会としては史上初のものとなった。
ちなみに女子では、レディース・ヨーロピアンツアーの「オメガ・ドバイ・ムーンライト・クラシック」で2022年まで2年間、ナイターゴルフが行なわれたことがあるが、それ以降は開催されていない。
このナイターゴルフの開催には、多くの課題があった。
ゴルフコースには常設の照明用マストが300本以上あったが、それでも暗いエリアが残り、視認性は完全ではなかった。
また、テレビカメラが夜空を背景に飛ぶゴルフボールをうまく捉えられないという問題もあった。
そこでリーグは、ここ数か月の間に約1000基の追加照明設備を設置。
その一部は上向きに配置し、ボールの行方が観客やテレビ視聴者にもはっきり見えるように工夫された。
この試みの結果、幻想的なシーンが広がるリヤドゴルフクラブで、54ホールにわたる激戦の末に優勝したのは、クリークスGCのエイドリアン・メロンクだった。
彼は初日に10アンダーの62という圧巻のスコアをマークし、第2~3ラウンドでも66、71と安定したプレーを見せ、通算17アンダーで優勝。
リージョン13のキャプテンであるジョン・ラーム、そしてトルクGCのセバスチャン・ムニョスに2打差をつけ、栄冠を手にした。
この勝利は、マーティン・カイマーが率いるクリークスGCにとって、チーム初の個人優勝となった。
メロンクは大会中、最初の25ホール連続でパーオンするという圧巻のプレーぶり。
彼は勝利後、「本当に特別な瞬間です。今日は一日中緊張していました。序盤はかなり良いプレーができましたが、最後はまさに戦いでした。正直言って、最後の数ホールは苦しかった。でもゴールラインを越えられて本当に嬉しいし、最高に満足しています」と喜びを語った。
なお、チーム戦は、開幕初日に24アンダーという驚異的なスコアを記録したリージョン13が、その後もリードを広げ、最終的には50アンダーで優勝。
リッパーGCとレンジゴーツに11打差をつける圧勝だった。
ラーム、北アイルランド出身のマッキビンを迎える
LIVゴルフ参戦以来、トップ10を外したことがないジョン・ラームだが、彼のリージョン13には、今シーズンから北アイルランドのトム・マッキビンが加わった。
ラームは、「素晴らしかった。初日の24アンダーは信じられないほどのすばらしいスコアだったし、それに続く第2ラウンドも見事だった。正直、簡単な週ではなかった。特に若手には、ナイターゴルフの経験がなかったからね。僕ら全員にとって新しい挑戦だった」と振り返った。
さらに、通算10アンダーで15位タイとなったマッキビンについて、「トムは素晴らしい選手で、信じられないほどの才能を持っている。彼が良いプレーをするのは驚くことではないけれど、デビュー戦としてはかなり難しい大会だったと思う。夜間開催という異例の環境で、彼は自分の実力の片鱗を見せてくれた。彼は間違いなくスターになれる逸材。まだ世界にその実力を証明していないだけだ。でも、彼をチームに引き入れることができて本当に良かったよ」と絶賛した。
1~2月は中東が熱い!欧州ツアーとLIVゴルフ

ドバイでハットンがヒーローに
いつものティレル・ハットンだった。
ラウンド中に自分に怒鳴り、ティーボックスを叩き壊し(しかも生放送中!)、それでいて素晴らしいゴルフを披露し、「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」を制覇。
自身5度目のロレックスシリーズ優勝を果たした。
LIVゴルフのスター選手は、昨年6月の「LIVゴルフ・ナッシュビル」以来、これで3勝目。
また、直近12試合で10度目のトップ10フィニッシュを記録し、その勢いで「ライダーカップ」のポイントランキング1位に浮上した。
最終ラウンドは、ニュージーランドのダニエル・ヒリアーに1打差の2位からスタート。
3アンダーの69をマークし、ヒリアーを1打差で振り切って優勝した。
イングランドのローリー・キャンターは13アンダーで3位。
この後、彼は「バーレーン選手権」で優勝を果たすことになる。
世界ランキング3位のローリー・マキロイは、大会3連覇を狙っていたが、最終日に素晴らしい66を叩き出したものの、通算12アンダーで4位タイに終わった。
ハットンは、ジョン・ラームの持つロレックスシリーズ最多優勝記録に並ぶことに。
勝負を決定づけたのは、16番ホールのレーザーのような正確なセカンドショット。
ピンそば2フィートにつけてバーディを奪い、最後は緊張の7フィートのパーパットを沈めて勝利を手にした。
この勝利で、世界ランキング8位に浮上した。
「正直、バック9ではめちゃくちゃ緊張していた。多分、勝ちたい気持ちが強すぎたんだと思う。自分がどんな状況にいるか分かっていたし、最後は少しバタついた。でも、あのパットが入った瞬間、最高の気分だったよ」と試合を振り返った。
なお、1~2月に中東で開催されたDPワールドツアーの勝者は以下の通り。
●スペインのアレハンドロ・デル・レイが「ラス・アル・カイマ選手権」で4打差の圧勝。
●イギリスのローリー・キャンターが、「バプコエナジーズ・バーレーン選手権」で激戦のプレーオフを制し優勝。
●中国の李昊桐(ハオトン・リー)が「カタールマスターズ」で感動の1打差優勝を果たした。
Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)
ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。