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【世界のゴルフ通信】From Australia 男女統合か、分離か?男女同時開催の「全豪オープン」が今年から別開催に

2024年までは男女の「オーストラリアンオープン」と障害者ゴルフの「オールアビリティ選手権」がISPS HANDAのスポンサードのもと、同時開催されていた。男子の部優勝は、リッグス・ジョンストン(中央)、女子の部優勝は申ジエ(右)。©GOLF Australia
↑2025年「ビクトリアオープン」の男子優勝者は、ジョシュ・ギアリー(左)、女子優勝者は、スー・オー。©GOLF Australia
↑「Webexプレーヤーズシリーズ・マレーリバー」の男女混合優勝者、ブレイク・プロバーブス。©GOLF Australia
「Webexプレーヤーズシリーズ・ビクトリア」の男女混合優勝者は、マイケル・ライト(中央)、ジュニア優勝者はアリーナ・トラン(右)、オールアビリティ優勝者はノア・シャマー(左)。©GOLF Australia
ミンジー・リー(右から2番目)が大会ホステスを務める「Webexプレーヤーズシリーズ・パース」。男女混合優勝者はジョーダン・ダウル(右)、ジュニア優勝者はクリシャブ・シェス(左から2番目)、オールアビリティ優勝者はスティーブン・アルダーソン。©GOLF Australia

男子は12月、女子は翌年2~3月に開催か

オーストラリア(以下、豪州)の男女ナショナルオープンは、2025年から再び別々の試合として開催されることとなり、3年間続いた統合フォーマットの試みが終了する。

「豪州オープン(男子)」は例年通り2025年末に開催される予定で、「豪州女子オープン」は以前の好ましい開催日に戻り、2026年2月(または3月)に行なわれる可能性が高い。
この決定は、男女双方の選手に歓迎される動きとなるだろう。

ゴルフ・オーストラリアは2022年にメルボルン、2023年にシドニー、そして昨年再びメルボルンで、「男子・女子・オールアビリティーズ(障害者)オープン」を統合開催するという革新的な試みを実施し、世界的に高い評価を受けた。
しかし、観客動員数や放送視聴率は期待以上だったものの、2つのコースで3つの大会を同時に運営するというロジスティックス上の課題を解決するのは困難だった。

ゴルフ・オーストラリアのCEO、ジェームズ・サザーランド氏は、次のように声明を発表した。

「過去3年間にわたり、男女同時開催の『豪州オープン』と『オールアビリティーズ選手権』を行なえたことを誇りに思っています。この決定は私たちの戦略と一致するものであり、変化し続ける世界のゴルフ界の状況により柔軟に適応するためのものです。このタイミングが適切であると判断し、男女両方のナショナルオープンがそれぞれ独立した形で発展し、成功することを確信しています」

なお、「オールアビリティーズ選手権」が男子と女子のどちらの大会と併催されるのか、あるいは単独開催となるのかについては、まだ決まっていない。

これまでの課題と反省を踏まえた男女別開催

昨年の統合フォーマットは、トッププロから批判を受けた。
男子はコース整備に関する不満を、女子は大会の開催時期について不利な状況を指摘していた。
豪州のトップ女子プロであるハナ・グリーン、ミンジー・リー、グレース・キム、ギャビ・ラッフェルズらは、LPGAツアーのシーズン最終戦「CMEツアー選手権」直後にメルボルン入りし、開幕前日にようやく到着するというスケジュールを強いられた。
彼女たちは「全豪女子オープンは、シーズン序盤に開催してほしい」と公言している。

2026年大会が、再び夏の終わりに移行することで、全豪女子PGAツアーは、すでに3月に連続開催が決まっている「全豪WPGA選手権」「全豪女子クラシック」「フォードNSWオープン」と連携し、欧州女子ツアー(LET)のスケジュールに組み込みやすくなる。

さらに、米LPGAツアーとの再びの共催や、少なくとも米LPGAツアーの選手が「全豪女子オープン」をスケジュールに加える可能性も広がる。

男女共催になった経緯と「ビクトリアオープン」

「全豪オープン」はDPワールドツアー(欧州ツアー)との共催大会となっているが、昨年大会では、豪州のLIVゴルファー、キャメロン・スミスとルーカス・ハーバートが、コースセッティングに対して批判。
特に、キングストンヒースのグリーンがメルボルンのサンドベルト地帯の伝統的な硬いグリーンとは異なり、柔らかすぎると不満を漏らした。

ゴルフ・オーストラリアのCEO、ジェームズ・サザーランド氏は、2025年シーズン最初の「LIVゴルフ・リヤド(サウジアラビア)」の会場を訪れ、次回の「全豪オープン」が単独開催となることについてLIVゴルファーたちと話し合った。

2022年に「全豪オープン」を男女共催する決定が下された背景には、「ビクトリアオープン(以下VICオープン)」の成功があった。
本大会は、男女が同じコースで、同週に、同額賞金をかけてプレーする世界初の大会として、国際的な注目を集めた。
しかし、2026年以降も「VICオープン」を現在の男女統合トーナメント形式で続けるかどうか、まだ決定していない。

2025年の「VICオープン」は、12年連続で13‌thビーチGC(バーウォンヘッズ)で開催されたが、最終ラウンドは極めて厳しい気象条件のもと行なわれた。
激しい強風がスコアに大きな影響を与え、ボールがグリーン上で動く事態が発生。
特に最終組の選手たちは、6時間以上かけてラウンドを終えるという過酷な戦いを強いられた。
その結果、「VICオープン」男子の部は、ニュージーランドのジョシュ・ギアリーが優勝し、女子の部は、大逆転でスー  ・オーが優勝。
2位には金澤志奈、3位には木村円(きむらまどか)が入賞した。

スー ・オーは今回の優勝で「VICオープン」、「全豪レディース・マスターズ」、「全豪WPGA選手権」と、豪州の主要タイトルを手にしたことになる。

「VIC・インクルーシブ選手権(障害者部門)」は、ラクラン・ウッドが優勝。
13打差の圧勝で、2度目の勝利を飾った。

「VICオープン」は、今年開催された男女混合5試合のうちの1試合であり、残る4試合は、豪州のもう一つの男女混合ゴルフシリーズである「Webexプレーヤーズシリーズ」として開催された。

このシリーズでは、男子と女子が同じ大会で競い、同じ賞金総額を争う方式が採用されている。
さらに、「オールアビリティーズ選手権」と「ジュニア選手権」も同時開催されている。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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