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【世界のゴルフ通信】From Korea 韓国若手の厳しい船出!昨年の韓国男女ツアー・最優秀選手がLIVゴルフ、米LPGAツアーに本格参戦

2025年シーズンのLIVゴルフ「アイアンヘッズGC」のメンバー。左からチャン・ユビン、ダニー・リー、ケビン・ナ(主将)、香妻陣一朗。©LIV GOLF

主戦場を韓国から世界へ移した2人

昨年、韓国を代表する男女プロゴルフツアー(KPGAおよびKLPGA)で年間最優秀選手賞を受賞した2人の選手が、そろって世界のツアーへと進出した。

KPGAツアーで年間最優秀選手賞を受賞したチャン・ユビンは、今年からLIVゴルフのアイアンヘッズGCに加入。
彼は昨年12月、サウジアラビア・リヤドで開催されたアジアンツアー「PIFサウジインターナショナル」に出場したが、当時彼は、コーンフェリーツアーの予選を経て、米ツアー進出を目指していた。

「PIFサウジインターナショナル」では、アイアンヘッズGCのキャプテンである韓国系アメリカ人のケビン・ナと出会い、練習ラウンドをともに行なった。
その後チャンは、大会終了直後にLIVゴルフへの移籍を発表した。
チャンは昨年11月からLIVゴルフとの移籍交渉を進めていたが、契約はギリギリまで緊迫した状況だった。
彼は12月7日(土)の早朝、「PIFサウジインターナショナル」開催中に契約書を受け取り、大会終了後すぐに署名した。
この瞬間、チャンはLIVゴルフに参戦する初の韓国人選手となった(ケビン・ナは韓国系米国人、ダニー・リーは韓国生まれのニュージーランド人)。
彼はすぐにアイアンヘッズGCに合流し、チーム練習に参加した。

韓国の動画配信会社もLIVゴルフと契約

韓国の動画配信サービス「クーパンプレー」はLIVゴルフとパートナーシップを締結。
「クーパンプレー」はこれまで、韓国のサッカー選手、ソン・フンミンが所属する「トッテナム・ホットスパー」の試合や、MLBの「ロサンゼルス・ドジャース」対「サンディエゴ・パドレス」戦を韓国で配信してきた。
「クーパンプレー」は、チャンのLIVゴルフ移籍が、放映の成功の鍵になると考えていた。
だが、チャンは「LIVゴルフ・リヤド」でデビューするも苦戦。
女子のユン・イナもLPGA初戦で予選落ちを喫した。

大きな期待を背負ったチャン・ユビンは、2月6日に「LIVゴルフ・リヤド」でデビューを果たした。
総額2500万ドルの賞金を誇る大舞台に立ったチャンだったが、その表情には緊張が見えた。

初日、彼は1バーディの1アンダーを記録し、悪くないスタートを切った。
しかし最終成績はイーブンパーで、54人中49位タイに終わった。
彼だけでなく、チームメイトのケビン・ナ、ダニー・リー、ウェイド・オムスビーもトップ20に入ることができなかった(香妻陣一朗は腰痛のため、欠場)。

この結果により、チャンの名前はLIVゴルフの個人戦年間ランキングで初戦から「降格ゾーン」に入ることとなった。
降格ゾーンとは文字通り、ツアーからの脱落を意味する。
年間で全14試合しかないLIVゴルフで、彼に残された時間は多くはない。

LPGAに挑戦中のユン・イナも苦戦

チャン同様、KLPGAツアーで圧倒的な強さを誇り、米LPGAツアーに進出したユン・イナも、厳しい船出となった。

ユンは米LPGAツアー最終予選会(Qシリーズ)で8位に入り、今季のツアーカードを獲得。
彼女のデビュー戦はフロリダ州・ブラデントンCCで開催された「ファウンダーズカップ」だったが、思い通りのプレーができず、通算4オーバーの94位タイで予選落ちを喫した。
フェアウェイキープ率とグリーンキープ率は、わずか50%。
LPGAツアー新人賞を争う日本人選手たちは、ユンとは対照的な結果を残していた。
山下美夢有は、通算13アンダーで4位タイに入る好成績。
竹田麗央も予算を通過を果たし、通算2アンダーで45位タイに入った。
ユンとの差は大きく開いており、「新人賞獲得」を目標に掲げている彼女にとって大きなプレッシャーとなっている。

韓国女子オープンでの「誤球事件」とKLPGA復帰

ユンは、2022年6月の「DBグループ・韓国女子オープン(韓国メジャー)」で、誤球を犯した。
この件で、KLPGAツアーと韓国ゴルフ協会(KGA)から3年間の出場停止処分を受けていた。

処分前、ユンはKLPGAツアーで1勝を挙げていたが、ツアーから離れることを余儀なくされた。
しかし、その後処分は1年半短縮され、昨シーズンに復帰。
復帰後は怒涛の活躍を見せ、年間最優秀選手賞を獲得し、LPGAツアーへの切符を手にした。

彼女の拠点は現在、アメリカ・テキサス州ダラスにある。
ダラス・フォートワース国際空港があるため、韓国とアメリカ間を自由に行き来しやすい環境だ。

また、彼女は新たなスポンサー契約も締結した。
彼女のキャップにはソレアリゾート  ・ノース(マニラ)のロゴが入ることになった。
これは、コ・ジンヨンと同じスポンサーだ。
ソレアリゾート&カジノはブルームベリー  ・リゾート&ホテルが運営しており、その会長はエンリケ・ラゾン氏である。
彼は、世界的な港湾運営会社であるICTSI(International Container Terminal Services, Inc.)の会長兼CEOであり、フィリピン国籍を有していた笹生優花もスポンサー契約を結んでいる。

「LIVゴルフ・韓国」と米LPGAツアー2試合を韓国で開催

米LPGAツアーに今年から本格参戦している、ユン・イナ。現在、世界ランキング25位の21歳だ。

チャン・ユビン&ユン・イナが韓国のイベントに出場

初戦で不本意な結果となったチャン・ユビンとユン・イナだが、韓国では2人を迎える準備が進んでいる。

LIVゴルフの韓国初開催が決定しており、5月2日~4日にジャック・ニクラスGC・コリアで開催されるが、「LIVゴルフ・コリア」の運営委員会関係者は、「毎週月曜日の午後に運営委員会の会議を行なっています。詳細は明かせませんが、準備は順調に進んでいます」と語る。

また、LPGAツアーも韓国で2大会が開催される予定だ。

「BMW女子選手権」(10月16日~19日開催・開催地未定)と「ハンファ  ・ライフプラス・インターナショナルクラウン(以下HLI)」(10月23日~26日開催・京畿道高陽市・ニューコリアカントリークラブ)の2試合で、今年の「HLI」は、従来の方式が変更され、これまでの8か国対抗戦から、7か国およびワールドチームで競う方式となる予定だ。
この新方式により、リディア・コー(ニュージーランド)、セリーヌ・ブティエ(フランス)、ブルック・ヘンダーソン(カナダ)らが出場権を得ている。

Text/Donghoon Lee

イ・ドンフン

ソウル生まれのゴルフライター。アジュビジネスデイリー紙、ゴルフマガジン、ゴルフジャーナル(ともに韓国)などに寄稿。2021年韓国PGA感謝賞受賞。

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