昨年からのメジャー5戦で、1勝を含むトップ10入り4回
最終日前夜に照明のもと、1人で8時過ぎまで練習
デシャンボー、敗退の理由


インパクトでフェースの向きを揃えられていない
独自のプレースタイルと哲学、そして圧倒的な飛距離でファンやプロ仲間を驚かせるブライソン・デシャンボーは、「全米オープン」を2度制した実績を持つLIVゴルファーだ。
そんな彼は大会3日目を、首位のローリー・マキロイに2打差の単独2位でホールアウト。
「アイアンの調整がしたい」と語り、照明が灯る練習場で午後8時過ぎまで一人、黙々とボールを打ち続け、翌日の優勝争いに備えていた。
迎えた最終日、マキロイが1番ホールでダブルボギーを叩いたことで、デシャンボーは早々にスコアで並ぶ。
続く2番でバーディを奪い、一時はマキロイをリードした。だがその後、3番~4番と連続ボギー、11番でダブルボギー、12番でもボギーを喫し、スコアを落としていった。
リーダーボードの頂点からは後退し、昨年の「全米オープン」で優勝した時のように最後まで優勝争いに加わることはできなかった。
ホールアウト後、記者の質問に答えながら、デシャンボーはこう振り返った。
「アイアンが思うように打てなかった。キレがなかったし、ずっとヒールに当たっていた。LAゴルフと一緒にクラブ作りを進めているけど、リーディングエッジがまだ完璧じゃない。今週、アイアンショットがもう少し良ければ、結果は全然違ったかもしれない。でも、〝たられば〟は通用しない。今週得られたポジティブなものは多かったし、もうすぐ新しいクラブを披露できると思うので、楽しみだ」
この週、彼が練習場で一貫して取り組んでいたテーマは「フェースの向きを揃えること」。
彼には長年追い求めてきた理想のスイング感覚があるという。
「インサイドアウトのスイングで、インパクトゾーンではフェースがスムーズに閉じていく。でも引っかけすぎず、右に出しすぎない。それが僕の2つの大きなミスで、何年も取り組んできた。だいぶ改善されてきたけど、もう少し精度を上げたい」
今回はアイアンの不調が明暗を分ける結果となったが、大会後も早速クラブの調整とアイアンショットのブラッシュアップに多くの時間を費やしたに違いない。
ディフェンディングチャンピオンとして迎える次回の「全米オープンは、すぐそこに迫っている。
デシャンボー劇場の次なる幕開けに、期待が高まる。
Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Augusta National Golf Club, Getty Images