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【LIV GOLF NEWS】セルヒオ・ガルシア45歳の挑戦!ヤンチャで気分屋だったベテランスペイン人選手の成長と変化

香港大会でLIVゴルフ2勝目!
「ライダーカップ」出場を目指すぞ!

セルヒオ・ガルシア(スペイン)
1980年1月9日生まれ。欧州ツアー16勝、米ツアー11勝、アジアンツアー5勝、日本ツアー2勝。2017年「マスターズ」でメジャー初優勝。世界ランク最高位2位。2022年の第1回「LIVゴルフ・ロンドン大会」当時からのメンバーで、ファイヤーボールズGCのキャプテン。
©LIV GOLF

今から3年前、「早くこのツアーから離れたい」と言い放ちPGAツアーからLIVゴルフへと主戦場を変えた、セルヒオ・ガルシア。
昨年のスペイン・アンダルシアでの大会で、LIVゴルフ初優勝を飾り、今年の3月、「香港大会」で2勝目を挙げた。
強豪ぞろいのLIVゴルフで、現在、個人戦ランキングで4位につけているガルシアの、成長と変化をレポート。

「ゴルフが好きで、競争が大好き。物事を前向きにとらえ、自分を責めすぎないことが、好調の秘訣」

「香港大会」ではチーム戦優勝を果たした、ガルシア率いる「ファイヤーボールズGC」。左からルイス・マサベウ、エイブラハム・アンサー、セルヒオ・ガルシア、デビッド・プイグ。©LIV GOLF
世界屈指のショットメーカーの実力は、いまだ健在だ。©LIV GOLF
ルーク・ドナルド(欧州キャプテン)率いる「ライダーカップ」メンバーの一員になりたいと熱望するガルシア。©LIV GOLF

個人優勝よりもチーム優勝を喜ぶガルシア

3月7日~9日に香港・粉嶺(ファンリン)の香港GCで開催されたLIVゴルフの今季第3戦「香港大会」では、セルヒオ・ガルシアが昨年の「アンダルシア大会」に続いて個人戦2勝目を達成。
自らがチームのキャプテンを務める「ファイヤーボールズGC」もチーム戦優勝を果たした。
また、第4戦「シンガポール大会」でもチーム戦で優勝。
現在、チーム戦ランキングで2位につけており、45歳にして絶頂期を迎えている。
ヤンチャで、ツアーのお騒がせ男だった彼が、人間としても大きく成長しているのが、語る言葉にも現れている。

「(香港大会の最終日の)朝に立てた目標は、〝5アンダーで回ること〟だった。それが自分にとっても、チームにとっても大きな助けになると思ったんだ。チームを本当に誇りに思う。ルイス(マサベウ)が最後にバーディを決めてくれて、チーム優勝をつかんでくれた。素晴らしい1日だった」

「僕には妻と2人の子供がいるし、若い選手たちを見守ることは、自然なことのように感じる。彼らの肩に手を置いて、『何かアドバイスが必要なら言ってね』と伝えたり、必要な時に助けられるのは僕にとっても、本当に楽しいこと。彼らが、〝自分の最高の姿〟を出せるようにサポートしたいと思う」

昔からフレンドリーで仲間を大事にするガルシアではあったが、その一方、気分屋で、気に入らないことがあると表情や言葉に出して、子供のような態度を見せることもあり、ツアーのお騒がせ男としても知られていた。
「バカなことをしたり、言ったりするけど、憎めない存在」だったのだ。

そんな彼が、LIVゴルフに主戦場を移し、チームのキャプテンを務めるうちに、チームメイトでもある後輩たちを思いやり、自分の経験や知識を彼らに親切に教える、尊敬すべきベテランに変化していた。

チームメイトであり、PGAツアー時代からの知人、エイブラハム・アンサーは「セルヒオはまさに理想の選手。長い間、ずっとトップで戦ってきた人であり、『今のプレーぶりを見ていると、これからが全盛期なんじゃない?』と思う。今もなお、ボールストライキングは世界最高レベルだし、パットのコロがりも素晴らしい。ショートゲームも信じられないほどうまい。また、彼の中にある競争心が、チームの仲間にも伝わってきて、いい刺激になっている。本当に最高のキャプテンだ」と大絶賛。
現在のガルシアを間近で見ている彼の言葉からもわかるように、絶好調で、ショットもショートゲームも全て上手いのだという。
チームの後輩たち誰もが彼を、「辛い時にそばにいて助けてくれる最高のキャプテン」と慕う一方、ガルシアは「僕の本当の願いは、自分がここまで来るのにかかった時間よりも、彼らに早くこのレベルに到達して、僕を超えて欲しいということ。
そのために経験してきたことを、少しずつ彼らに伝えたい」と語る。

ガルシアが40代半ばでも活躍できる理由

ガルシアは現在、個人戦ランキングで4位につけており、このままトップ5をキープすれば、「全米オープン」「全英オープン」にも出場できる。
また、彼の今年の最大の目標は、「ライダーカップ」。欧州チームキャプテンであり、親友でもあるルーク・ドナルドに自分の活躍を認めてもらい、欧州メンバー入りを果たすことだ。
それが大きなモチベーションになり、今年の活躍につながっていることは間違いない。
ガルシアは高レベルのプレーを続けられる秘訣を尋ねられると、次のように答えた。

「一番は、ゴルフを心から愛していること。競争が大好きなんだ。幸い、キャリアを通じてケガをほとんどしたことがないので、長期間にわたる離脱がないのも本当に大きなこと。あとは、メンタル面でもすごく努力してきた。最近は、物事をもっと前向きにとらえるように意識しているし、ミスしても自分を責めすぎないように、自分自身を大事にしている。そうすることで、結果的にいい方向に進めているが、これを若手たちにも伝えている」

技術面でも磨きをかけ、精神面でも大きな成長を遂げているガルシア。
体調面でも問題ない。
全ての面で、いいバランスでゴルフができるようになったことで、アンサーの言うように、これからが彼の全盛期なのかもしれない。

Text/Eiko Oizumi
Photo/LIV GOLF

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