
スコットランドの名門リンクスとトランプ大統領の関係
スポーツが人々の生活の中で持つ重要性と、大衆に強い感情をもたらし、かきたてる力を持っていることを考えれば、スポーツと政治が結びつくのは驚くべきことではない。
スコットランド西海岸の静かで美しい風景に佇むトランプ・ターンベリーリゾートが、その所有者のせいで被害を受けたのだ。
ドナルド・トランプ氏は、エアシャーの象徴的なゴルフリゾートを買収して以来、この名門リンクスコースと、丘の上から見下ろす壮麗な赤い屋根のホテルに、数百万ドルの費用を投じて大規模な改装を施した。
著名なコース設計家のマーティン・エバートによって新たに改造されたホールは、もともと素晴らしかったコースをさらに高いレベルへと引き上げ、険しい海岸の自然の造形をより一層際立たせた。
現在のレイアウトは、世界でも最高のリンクスコースの一つと称して差し支えないだろう。
このリゾートの象徴でもある息を呑むほど美しい灯台もまた、改装によって新たな命を吹き込まれた。
ラウンド中に喉を潤し、腹ごしらえをするゴルファーを迎える休憩場となっただけでなく、上階には、崖の上に建つ唯一無二のロケーションでの宿泊を楽しむことができる、超高級スイートも設けられた。
こうした目を見張るような改修には、当然ながら代償が伴う――米国大統領が関わっている以上、金銭面だけでは済まされない。
トランプ所有となって以来「全英オープン」開催から外されたターンベリー

パレスチナ侵攻に対する抗議の被害を受けたターンベリー
今年3月、ターンベリーは破壊行為の標的となった。
ホテルの真っ白な壁には血のように赤いペンキが塗られ、「パレスチナ人を他の中東諸国へ移住させ、爆撃によって破壊されたパレスチナの地にアメリカ資本のリゾートを建設する」というトランプ大統領の物議を醸した提案に抗議するスローガンが書き殴られたのだ。
ゴルフコースでは、グリーンや起伏ある砂地に大きな損傷が与えられ、あるホールには「ガザは売り物ではない」という巨大な白文字のメッセージが空からもはっきりと見えるように描かれた。
トランプ氏は予想通りの誇張表現で反応し、破壊者たちを「テロリスト」と呼び、「イギリスの司法が厳しい処罰を下すことを願っている」と述べた。
この件に関しては今後の成り行きを見守る必要があるが、これまでに3人の男が「悪意あるいたずら」の容疑で法廷に出廷している。
彼らが有罪となるかどうかは現在進行中の問題だが、抗議団体「パレスチナ・アクション」は、すぐさまこの行為を、挑発的に、かつ誇らしげに認めている。
パレスチナ・アクションは声明でこう述べている。
「パレスチナ・アクションは、ドナルド・トランプがガザをあたかも自分の所有物のように扱い、好き勝手に処分できると思っていることに断固反対する。その姿勢を明確にするために、彼自身の所有物も抵抗行動からは逃れられないことを示した。我々は今後も、パレスチナの故郷におけるアメリカとイスラエルによる植民地主義に対し、行動を続けていく」
これに対し、トランプ・ターンベリーの広報担当は反論した。
「これは子どもじみた犯罪行為だが、ターンベリーの素晴らしいチームが、この出来事がビジネスに影響を与えないよう尽力する。ターンベリーは国家的な宝であり、これからもゴルフ界におけるラグジュアリーと卓越性の象徴であり続ける」
ジャック・ニクラスとトム・ワトソンが繰り広げた1977年「全英オープン」での伝説的な「真昼の決闘」の舞台としてゴルフ史に名を残すこの地が、突如として2500マイル離れた地で続く紛争の意外な犠牲者となった。
これが、著名なオーナーを持つことの功罪だ。
ターンベリーは、ホワイトハウスの「オレンジマン(トランプ氏のあだ名)」の管理下にある限り、今後何年にもわたってその代償と恩恵を秤にかけることになるだろう。
第1次トランプ政権時、アメリカ国外では特に強い嫌悪感を持たれていた彼の評判が、すでにターンベリーを「全英オープン」の開催候補地リストから外す要因となっていた。
表向きの理由としては、「ターンベリーの立地や道路インフラ、周辺の宿泊施設の少なさから観客動員が見込めず、経済的に大会開催は正当化できない」とされた。
しかし、それはトランプ氏が買収する以前には開催を妨げる理由ではなかった。
当時「スコットランドオープン」のスポンサーであるアバディーン・アセット・マネジメントのCEO、マーティン・ギルバート氏は、トランプ氏が所有するもう一つのスコットランドのゴルフ場(アバディーンシャー)の大会会場候補について問われると、遠慮のない発言をした。
「一つだけ認めざるを得ないのは、彼(トランプ氏)は素晴らしいコースを造るということだ。だが、重大な問題がある。正直、彼の言うことには何一つ賛成できない。政治はさておき、トランプ氏のコースは理想的な会場だろうが、実際には政治を切り離すことはできない。もし我々があの場所で大会を開いたとしたら、最悪なのは彼自身が現れることだ。はっきり言える問題があるのは確かだ」
その「問題」は、トランプ氏が米国大統領の座を奪還してから、さらに深刻化している。
そして今、問い直されているのは、ターンベリーの「世界ゴルフにおける居場所」だ。
ターンベリーが再び脚光を浴びる日
過去の名勝負や、トム・ワトソン、グレッグ・ノーマンといった名チャンピオンの記憶を呼び起こす、過去の輝かしい歴史の中に閉じ込められてしまうのか?
それともターンベリーには、見事に生まれ変わったリンクスが本来持つ価値にふさわしく、世界最高峰の舞台として再び脚光を浴びる未来があるのだろうか?
抗議活動が今後も起こるリスクは、トランプ氏が所有する世界各地のリゾートを守るセキュリティチームの脳裏に常に影を落とすことになるだろう。
しかし、もっと深刻なダメージを与える可能性があるのは、抗議の言葉を発するのではなく、足で投票する――すなわち永遠にその場所を避けるという「無言の抗議」をする人々かもしれない。
夫との離婚&死別を乗り越えアナ・ノルドクイストがキャプテンとして自身10回目の「ソルハイムカップ」に臨む


アナ・ノルドクイスト「ソルハイムカップ」主将に就任
欧州ゴルフ界においては、誰もが歓迎する大きな発表があった。
来年、オランダで開催される「ソルハイムカップ」において、アナ・ノルドクイストが欧州チームのキャプテンに指名されたのだ。
37歳のスウェーデン出身のノルドクイストは、3度のメジャー優勝経験を持ち、これまで「ソルハイムカップ」に9回出場。
35試合で17勝15敗3引き分けという実績を誇る。
2023年、スペインで引き分けにより欧州がカップを保持した大会、そして2024年、米国バージニアでアメリカが15 ・5対12 ・5で7年ぶりに勝利を収めた大会では、彼女はプレーイング・バイスキャプテン(選手兼副主将)としてチームを支えた。
2003年、ゴルフを始めて間もない頃に、スウェーデンのバーセバックで初めて観客として「ソルハイムカップ」を観た少女が、やがて自らの手でその舞台を勝ち取り、今やキャプテンにまで上り詰めた――これは彼女にとってまさに夢物語。
「キャプテンになるなんて、子どもの頃に夢見たこと以上のことよ」と彼女は笑顔で語った。
しかし、この夢が「人生で最も苦しい時期」を乗り越えた後に実現したという点で、彼女の就任はひときわ感慨深いものとなっている。
2年前、ノルドクイストはSNSで夫のケビン・マカルパイン氏(LPGAのキャディ)と離婚手続き中であることを明かしたが、その直後、マカルパイン氏は39歳という若さで突然この世を去った。
ノルドクイストは、そのときを「自分の人生が千のかけらに砕け散った瞬間」と表現している。
「一番つらい日々をなんとか乗り越えたとき、私はただ前に一歩ずつ進もうとするだけだった。それが自分のモットーになったの。先のことを考えすぎずに、ただ起き上がること、あるいは一日をなんとか過ごすこと、時には真正面から向き合うこと。だから、背中には『一日一日を大切に』というタトゥーを入れたの」
「勝ったときも、負けたときも、『ソルハイムカップ』は私のキャリアの中でとても大きな存在だった。2009年のシカゴでの初出場からずっとね。9回出場した中で築いてきた友情と、かけがえのない思い出の数々――だからこそ、この10回目の大会で欧州チームのキャプテンを任されるというのは、私にとって信じられないほど特別なことなの」と語っている。
Text/Euan McLean

ユアン・マクリーン(スコットランド)
スコットランド・グラスゴー在住のスポーツライター。『サンデーメール』などに寄稿。欧州ツアーなど過去20年にわたり取材。