

若手とベテランの活躍が入り交じる女子ツアー
女子ツアーは、6試合が終わって優勝者が6人。
昨年のメルセデスランキング(以下MR)トップ5のうち、4人が米ツアーに参戦したことで、予想されたとおり〝戦国時代〟が、女子ツアーの序盤戦となった。
開幕戦「ダイキンオーキッド」が岩井千怜(22歳)の連覇。
以降、吉田優利(25歳)、工藤遥加(32歳)、穴井詩(37歳)、安田祐香(24歳)、佐久間朱莉(22歳)と毎試合、異なる優勝者が出ている。
岩井千怜と吉田の主戦場は米女子ツアー。合間を縫って日本の試合に参戦し、多忙な移動をものともせずに、優勝。実力を示すとともに自信を深めて、現在、米女子ツアーでプレーしている。
昨年のMRトップ5のうち、唯一、日本ツアーに残った小祝さくらは、6試合中3試合でトップ10入り。
「アクサレディスin MIYAZAKI」では最終日の猛チャージで2位に入ったが、惜しくも届かず、工藤に初優勝を許している。
今季の優勝者6人の名前に年齢を入れたのは、30歳以上のベテラン2人の優勝が目立つからだ。
苦労して涙の初優勝を飾った工藤は32歳、「ヤマハレディースオープン葛城」で勝った穴井は、これが通算6勝目だ。
初優勝は、工藤と「KKT杯バンテリンレディス」勝者の佐久間朱莉。
安田は2024年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」以来の2勝目と、様々な年代、いろいろな戦歴の選手たちが優勝しているのが、4月末現在の女子ツアーの状況だ。
若手とベテラン勢
試合への臨み方の違い
以前にも書いたように、開幕戦の翌週が空き週になったのは予定通りだが、6戦目を終えた後に1週、試合がなくなったのは「フジサンケイレディス」が中止になったから。
ゴールデンウィーク直前の川奈ホテルゴルフコース(静岡県)というギャラリーも多く、盛り上がる歴史ある試合がぽっかりなくなったことが、どう影響するかはこれから見守るべき部分だろう。
選手の若年化が進めば進むほど、シーズン中に試合を休むことは少なくなる。
それには、若くて体力があるから、という以外にも理由がある。
リランキングまでの間に結果を出さなければ、その先の出場権が得られない立場の者は、試合を休むことなく必死で戦うからだ。
初シード選手など、経験の少ない者もガムシャラだ。試合のセッティングでそのコースをプレーしたことがなければ、できる限り練習ラウンドを行なうため、さらに休みは少なくなる。
調子が悪くても、休む勇気を持つのは難しい。
シード権を持ち、経験豊富で体を休めることの大切さを知るベテラン選手は、自分の体と相談しながらシーズンを送るが、それ以外は試合があれば出る、という傾向がますます強まっている。
そんな中、ぽっかり空いた4月の1週。
個々がどう過ごし、その先のシーズンに生かすのか。群雄割拠の戦国シーズンだけに、後々鍵を握る可能性は大きい。
男子ツアーの新たな挑戦とその課題


男子ツアーもついに開幕
女子プロの参加など試行錯誤
「マスターズ」と同週に開幕戦を行なうという選択をした男子ツアーは、手探りのシーズンが続いている。
開幕早々、降雨により54ホールに短縮された「東建ホームメイトカップ」は、生源寺龍憲が初優勝。
賞金総額最大4億円をうたいながら、フタを開けてみれば2億円止まりとなった「前澤杯 MAEZAWA CUP」は、様々な意味で新しい試みが随所に見られた。
賞金が流動的になった理由でもあるオークション形式のプロアマを、前代未聞の10日間行なえたのは、前週に試合がないという男子ツアーだからこそ。
予選落ちなしで出場選手が限られ、菅沼菜々と寺西飛香留の2人の女子選手が主催者推薦で出場したことも、主催者の意向をツアーが汲んだ結果と言っていいだろう。
スケジュールがびっしりなら、出場選手の参加するプロアマを、こんなに長く行なうのは不可能だ。
また、QTファーストステージに出場して女子初のJGTOプレーヤーとなった寺西(「東建ホームメイトカップ」にも出場している)はとにかく、菅沼を出場させたのは完全に話題作りのため。
主催者の意向とは言え、試合を増やすためにあれこれ試行錯誤する男子ツアーの実態を浮き彫りにしている。
小西たかのりの優勝で終わり、「前澤杯」は、いい意味でも悪い意味でも、ツアーのこれまでの常識をぶち壊した。
これがツアーにどう影響するのか。
これまで見えなかったものも、課題も見えてくるはずだ。
新しいスキームや海外ツアーとの共催など、あれこれ試合を増やそうとしている男子ツアー。
今後、賞金がさほど高くなくても、小さなスポンサーをたくさん集めて試合を作ったり、試合のないエリアに試合を定着させたり、あるいは試合を見に来てくれるファンを一人でも多く増やすことなど、ゴルフイベントの基本にもう少し注力すべきではないか。
ゴルフだけが、他のスポーツと違い、スポンサー依存でなければ試合ができないままの状況をいつまで続けるのか。
大きなスポンサーを探すよりも地味で手間がかかるかもしれないが、確実にツアーの将来を支える方法を放置しておく手はない。
Text/Junko Ogawa
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小川 淳子
東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。
現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。