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日本人の「全米プロシニア」

今年はチャンピオンズツアーメンバーの藤田寛之を含め、4人の日本人選手が参戦。
果たして結果は?

片山晋呉 51位タイ(8オーバー)

メジャー参戦のため15年ぶりにアメリカにやってきて思うこと

2年ぶりに会ったという、江連忠(右)をキャディに従え「全米プロシニア」4日間を戦った片山。©Eiko Oizumi
「ショットの調子はいい」と語っていた片山は、初日と3日目にフェアウェイキープ率でトップ10入りしていた。©Eiko Oizumi
下り傾斜では後ろ向きに歩き、できるだけ右足首の骨に負担がかからないようにしている。©Eiko Oizumi
かつて海外メジャーの常連だった片山は、テンガロンハットがトレードマークだったこともあり、久しぶりの海外遠征にも持参。「テンガロンハットをかぶってた方が、ウケるし、わかりやすいでしょ?」©Eiko Oizumi
携帯電話のおかげで、15年前よりも快適に米国滞在ができたという。ストラップは『ポケモン』のモンスターボール付き!©Eiko Oizumi
ジュニア時代から数えると40年以上の付き合いだという片山と宮本(右)。同級生で日大出身、プロでも同期という2人が、「こうしてシニアメジャーにも一緒に出られているのがすごい」と口々に語る。©Eiko Oizumi

4人の日本人が出場した今大会で、唯一予選通過を果たした片山晋呉は、通算8オーバーの51位タイで終了。
現役時代には計30試合の海外メジャーを経験した彼だが、シニアプレーヤーになり、15年ぶりに渡米し、自身初のシニアメジャー参戦となった。

「しんどい! 藤田さんはよくこんな環境で、毎週プレーできるなぁ。いやいや、こんなもんです。でも楽しめましたよ。日本とやっていることは一緒なんでしょうけど、やっぱりコースが本当に難しいから、そこは大変だと思いました」

開催地のコングレッショナルCCは、過去、ローリー・マキロイが優勝した「全米オープン」や、チョン・インジが優勝した「全米女子プロ」の会場にもなった、タフな名門コース。
ワシントンDC郊外にあり、政財界の大物たちもメンバーに名を連ねる歴史ある場所だ。
そんなコースを片山は「どこをとっても、本当に素晴らしいコース。自分の好きなコースの中でも3本の指に入るくらい」と絶賛する。

15年ぶりにメジャー参戦のためにアメリカにやってきた片山が、以前と比べて大きな違いを感じたのは携帯電話の進化。

「昔は、電話を簡単にかけたり受けたりできなかったし、何かを調べたくても簡単に検索できる時代じゃなかった。今ではLINE電話もあるから、無料で日本とやりとりできるし、レストランなどを検索するにも携帯ですぐに調べられる。地図を見なくても、グーグルマップがあってすごく便利!  以前は、日本から飛行機に乗った瞬間に“早く帰りたい!”と思ったものだけど、今は海外滞在がとても快適に楽しめますね」

海外シニアメジャー遠征は今年は「全英シニアオープン」で終了したが、今後は15年前とは異なる文明の進歩により、試合に集中できる環境で実力を発揮できそうだ。

宮本勝昌 予選落ち

日本は長方形、アメリカは三角形、狙いどころが狭いアメリカ  

16番ホールへ向かう途中、カメラ目線でクラブハウスと記念撮影。©Eiko Oizumi
「グリーンは大きいが、狙いどころはピンポイント」という宮本のアイアンショット。©Eiko Oizumi
1997年「全米オープン」でメジャー2勝目を挙げたアーニー・エルスの写真や、タイガー・ウッズの写真の前で、今大会を振り返る。©Eiko Oizumi
昨年のシニアツアーの予選会で一緒に回ったという、フェリペ・アギラと再会。©Eiko Oizumi

2023年、本大会に初出場の際は優勝争いにも加わった昨年の日本シニアツアー賞金王・宮本勝昌。
3回目の挑戦となった今年、ショットの不調に苦しみ、予選落ちを喫した。

「自分がいいプレーができない時は、上位で粘ることもできなかったですね。日本のシニアツアーとは層の厚さが違う。でも去年、藤田さんが『全米シニアオープン』で優勝争いをしたし、自分もこの大会で、2年前に夢を見ることができた。いいプレーをすれば、上位に行ける感覚は変わらずにあるので、懲りずに探したいですね」

日米のコース攻略の差についても、発見があった。
日本はティーグラウンドからグリーンまで、長方形の中で、プレーしているような印象があるが、アメリカでは違う感覚が求められるのだという。

「ティーショットはすごく幅が広い中で打っていけるんですが、そこから次のターゲットが本当に狭い。グリーンが大きくても狙いどころはピンポイントなので、感性を研ぎ澄ませてそこを狙わないといけない。三角形の頂点を狙うようなイメージですよ」と語る。

結果については悔しさをにじませるものの、「アメリカで戦うことは楽しい」と目を輝かせる宮本。
先輩・藤田寛之のようにアメリカを主戦場に、メジャーにも出場することを理想としており、今年もシニアツアーの予選会に挑戦する予定だ。

「現役時代とは違い、すごく険しい山を、生きるか死ぬかという感じで登っているわけではない。登りがいのある山だけど、頂点を目指せないわけではないと思っている。苦しいとか楽しいが、いっぱい詰まっている感じです」と語る彼は、アメリカが大好きで、遠征することを心から楽しんでいる。

現在は体のバランス、スイングのバランスを整えながら、来年こそ藤田が立つステージに自分も立つことを目標に、歩みを進めている。
宮本勝昌の挑戦は、これからもまだまだ続く。

兼本貴司 予選落ち

「先が思いやられる……」ショットの不調で海外メジャー完敗  

通算13オーバーで予選落ちを喫した兼本貴司。©Eiko Oizumi
ギャラリーにボールを拾われてしまうハプニングもあった。©Eiko Oizumi

大会前から「ショットもパットも全然ダメ。クラブも合っていないかも」と大きな不安を覗かせていた兼本貴司が、通算13オーバーで予選落ちに終わった。

2日間でバーディは2つだけで、11ボギー、2ダブルボギーと苦しいラウンドを経験した。
「球が曲がりまくった。コースは難しいし、グリーンも芝も難しい。また来月には『全米シニアオープン』もあるし、先が思いやられるよ。一言で言って技術不足」と心情を吐露。
「ショットイップスだし、そう簡単には直らない」と肩を落とした。

昨年はシニアツアーで1勝し、賞金ランクで4位に入ったことで海外メジャーの出場権を獲得している兼本。
好調時の爆発力は定評だけに、一刻も早い復調を期待したい。

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