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【LIV GOLF NEWS】ブライソン・デシャンボー、2年ぶりの個人戦3勝目!個人戦&チーム戦のダブル優勝

第7戦LIV GOLF KOREA
2025年5月2日~4日/韓国・仁川/ジャック・ニクラスGCコリア

個人戦 優勝
ブライソン・デシャンボー

表彰台で韓国人ファンを前に、両腕を突き上げ雄叫びを上げたブライソン・デシャンボー。©LIV GOLF

個人戦ランキング2位に浮上!

2023年「シカゴ大会」以来、LIVゴルフ3勝目を挙げたデシャンボー。©LIV GOLF

2023年「シカゴ大会」以来の個人戦優勝

韓国で初開催された「LIVゴルフ韓国」で、ブライソン・デシャンボーが通算19アンダーで今季初優勝を飾った。
また、彼が率いる「クラッシャーズGC(チャールズ・ハウエルⅢ、ポール・ケーシー、アニルバン・ラヒリがチームメイト)」もチーム戦で優勝。
デシャンボーは今季、「マイアミ大会」と「メキシコシティ大会」で2日目を終えた段階で首位に立ちながら、マーク・リーシュマンやホアキン・ニーマンに逆転優勝を許してきたが、韓国直前の「メキシコシティ大会」までの6試合中、4試合でトップ10入り。
安定した成績を残し、今回の「韓国大会」ではチームメイトのチャールズ・ハウエルⅢや、トーマス・ピータースの猛追を振り切り、ようやく今季初優勝を達成。
この優勝で個人戦ランキングではホアキン・ニーマンに次ぎ、2位に浮上した。

「なぜかフロント9はかなり緊張していた。9番を終えたあたりで、ふと〝もう一度、子供のようにプレーしよう〟と自分に言い聞かせて、バック9はその通りにプレーできた。11番で3Wを完璧に打って、それでかなり自信になったね。結局、全て帳尻が合った感じで、素晴らしいゴルフができたよ。チームとしてのパフォーマンスも誇りに思うし、自分自身がしっかり踏ん張れたことも嬉しい」

優勝するには、「子供のように楽しみながらプレーすることが大事」と連日語っていた彼だが、今回のLIVゴルフでの優勝は2023年「シカゴ大会」以来の勝利。
その間、2024年には「全米オープン」で優勝したが、今年4月に行なわれた「マスターズ」ではローリー・マキロイと最終組でプレーし、一時は首位に立ちながらも5位タイに終わっていただけに、2年ぶりの勝利に嬉しさ倍増だったに違いない。
表彰台では、両腕を天に突き上げ大きくガッツポーズして見せた。

子供のように楽しみながらプレーするのが優勝の秘訣

優勝後に記者会見に臨むデシャンボー。「韓国の皆さんにとって、今回の大会が、ゴルフを始めるきっかけや上達へのモチベーションになればいい」と語った。©Eiko Oizumi
デシャンボーは3日間を通して、ドライビングディスタンス(平均)が、340.9ヤードで1位だった。2位はマシュー・ウルフで338.1ヤード、香妻陣一朗は、319.1ヤード。©Eiko Oizumi
最終日のスタート直前にも、大勢のファンたちにサインをするデシャンボー。©LIV GOLF

世界各地を転戦するグローバルツアーに対する高い適応力

この前週の「メキシコシティ大会」のゴルフ場の標高は2700メートルで、「韓国大会」の海抜ゼロとは全く異なる環境下でのプレーだったが、ゴルフの科学者の異名を持つデシャンボーらしく、この環境の違いについて、次のように語っていた。

「僕はボールを大きく曲げて打つタイプだから、高地ではボールの直進性が増して助かるんだ。でも韓国ではよく曲がる。その分、カーブをしっかりコントロールしながら、コースを攻略する必要がある」

そして彼は、練習場でボールがどのくらい曲がるか、データを取ってチェックし、その環境に自分を慣らしていくよう努力した。
今回の開催コースはジャック・ニクラスの設計コースだが、「ティーショットは比較的やさしいけど、2打目の精度が問われるし、バーディを取るには長いパットも決めなければならない。グリーン上の感覚、飛距離や弾道の特徴、空中での曲がり具合に適応することがカギだった」と語っている。

冷静に数字を分析し、ショットやパッティングを緻密に調整していく選手で、デシャンボーほど熱心に、正確に行なう選手はいないだろうが、ひとたびコースに出れば、冷徹なスイングマシーンというだけではない。
ラウンド中、声援を送るファンと目を合わせ、フィル・ミケルソンのように親指を立てて応える姿は、自らが語るように「プロゴルファーであると同時にエンターテイナー」。
ファンの熱気も自らのエネルギーに換えて戦い、ファンとの交流は「自分の責任」と捉えている。
また、自身のYouTubeチャンネルを通じて、ゴルフの魅力を世界に発信する活動スタイルは、プレー中の姿勢にも通じるものがある。

プレーを楽しみ、1日1%ずつ良くなっていくことを意識するのが大事

最終日の最終組では、昨年の「全米オープン」チャンピオンのデシャンボーと、「全米シニアオープン」チャンピオンのリチャード・ブランドが対決した。©Eiko Oizumi

ゴルフ上達の秘訣は毎日1%ずつ良くなる意識

 今大会では、韓国人ギャラリーからたくさんの声援が飛んでいた人気者のデシャンボーだが、優勝後の記者会見で、「韓国の多くの若者があなたに憧れているが、何かゴルフ上達のアドバイスはあるか?」と問われた。
それに対し、答えた内容がいかにも彼らしく興味深い。

「一番大事なのは、プレーしている時に楽しんでいるか?ということ。これが全ての基本で、その次に〝どうすれば上達するか?〟という段階に進むんだ。上達のカギは、〝毎日1%ずつ良くなる〟という意識で、毎日自分に〝今日はどこを1%伸ばせるか?〟を問いかける。これが次の段階だ」

そして、彼のようなロングヒッターになるためのマル秘トレーニング法や上達の秘訣を披露した。

「スピードトレーニングが必要だね。必ずトレーナーやフィジオセラピストと一緒に、安全に体のケアをしながらやること。15~16歳からこのトレーニングは始められるが、最初は、1回の練習で30~50球を全力でドライバーショットする。これを週3回、慣れてきたら1回に75~100球へと段階的に増やしていくんだ。1か月、週2~3回繰り返していけば、ヘッドスピードは簡単に時速8~14kmくらいアップするよ。あとはウェッジゲームの精度を磨くこと。しっかり距離感をコントロールできるようになることが大事だ」

7月中旬の「全英オープン」をもって今年のメジャーも終了したが、LIVゴルフは8月に個人戦、チーム戦の最終戦を迎える。
デシャンボーが個人戦、チーム戦ともに総合優勝を果たすことができるかどうかにも注目したいところだ。

デシャンボーのクラブセッティング

ウッドは全てクランク・フォーミュラファイヤーシリーズで、アイアンは、全て同じレングスのアヴォダのプロトタイプ(現在は、LAゴルフのブライソン・デシャンボーモデルのアイアンセットに変更)。ウェッジはピン・グライド4.0。パターは、SIKプロ・Cシリーズ・アームロック©Eiko Oizumi
デシャンボーのドライバーは、ドラコン仕様の「クランク・フォーミュラファイヤープロ」のロフト6度。超高剛性のLAゴルフのブライソンシリーズシャフトを装着。©Eiko Oizumi

個人戦・最終成績

優勝ブライソン·デシャンボー−19
2位チャールズ·ハウエルⅢ−17
3位テーラー·グーチ−14
4位パトリック·リード
トーマス·ピータース
−10
6位マシュー·ウルフ−9
7位香妻陣一朗
ジョン·ラーム
キャメロン·スミス
カルロス·オルティス
リチャード·ブランド
−8
17位ブルックス·ケプカ−5
20位ホアキン·ニーマン−4
34位ダスティン·ジョンソン−1
42位セルヒオ·ガルシア+2
50位フィル·ミケルソン+7

Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/LIV GOLF

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