

オラサバル、欧州チームを支えニューヨークへ
1994年と1999年の「マスターズ」王者、ホセ・マリア・オラサバル(スペイン)が、9月26日から28日に米国ニューヨーク州のベスページ・ブラックで開催される「ライダーカップ」において、ルーク・ドナルド率いる欧州チームの副キャプテンを務めることが決定。
これで副キャプテン就任は5度目となる。
「オリンピック」「サッカー・ワールドカップ」に次ぐ世界第3のスポーツイベントとも言われるこの欧州と米国の対抗戦は、今回も注目度抜群だ。
とりわけベスページ・ブラックは米国屈指のタフなセッティングで知られ、アウェーでの戦いは過酷を極めるだろう。
「アメリカで勝つのは本当に難しい。ニューヨークの観客は熱狂的で、コースの設定もアメリカチームに有利に働くだろう。それに対応する準備をしなければならない。だからこそ、アウェーの『ライダーカップ』ほど、ゴルファーにとって大きな挑戦はないんだ。精神面の準備が全て」と、バスクの名将オラサバルは語っている。
セベの遺志を継ぐ者
現代の「ライダーカップ」を語るうえで欠かせない存在が、セベ・バレステロスとホセ・マリア・オラサバルという、2人のスペイン人だ。
1979年、欧州大陸の選手が「ライダーカップ」に加わったことで、それまで米国が長年にわたり圧倒していたこのイベントは大きく息を吹き返した。
その中心にいたのがセベ。
そして2012年、イリノイ州メダイナで起きた「メダイナの奇跡」を演出したのが、当時キャプテンを務めたオラサバルだった。
最終日を4ポイント差で迎えた欧州チームは、11マッチで8ポイントを奪って大逆転。
最後の12マッチは、タイガー・ウッズとフランチェスコ・モリナリの引き分けで幕を閉じた。
チームには、前年に脳腫瘍で他界したセベの〝魂〟が宿っていた。
「ライダーカップ」の精神を継ぐリーダーとしてのオラサバルは、1987年から2006年の間に7度出場し、セベとのペアは史上最強と言われた。
欧州チームの精神的支柱でもあり、情熱と経験に裏打ちされた彼の存在は、若手選手にとって計り知れない価値を持つ。
「ライダーカップ」では計31マッチに出場し、18勝を挙げて通算20・5ポイントを獲得。
さらに1987年、1989年、1995年、2006年に勝利を経験している。
今回の「ライダーカップ」では、2023年大会同様、トーマス・ビヨーン(デンマーク)、エドワルド・モリナリ(イタリア)、ニコラス・コルサーツ(ベルギー)とともに欧州チームを支える。
スペイン女子ゴルフに新たなスターが誕生


2025年前半、スペイン女子ゴルフ界の新たなスターたちが世界の舞台で活躍した。
注目は、マラガ出身のフリア・ロペス・ラミレス。
ミシシッピ州立大学を経てプロ入りした22歳は、「全米女子オープン」で3日目を終えて通算6アンダーを記録し、最終日は首位マヤ・スタークと1打差で最終組をプレー。
最終成績は19位タイながら、LPGAルーキーとしてスペイン女子ゴルフ史に名を刻んだ。
その前の4月には、カルラ・ベルナット・エスクデールが偉業を達成。
「オーガスタ女子アマ」で、スペイン人として初優勝を飾ったのだ。
彼女はすでに「スペイン選手権」、「クイーンズカップ」、「欧州チーム選手権」を制し、米大学リーグでは8勝の実績を持つ。
今回の勝利により、オーガスタで勝利したスペイン人は、セベ・バレステロス、ホセ・マリア・オラサバル、セルヒオ・ガルシア、ジョン・ラーム、カルラの5人となった。
カルラ、フリアに加え、カジェタナ・フェルナンデス、アンドレア・レブエルタ、マルタ・マルティンといった新鋭たちが、カルロタ・シガンダやアサハラ・ムニョスの系譜を継ぎ、女子メジャー制覇という夢に挑んでいる。
DVで服役していたA·カブレラがシニアツアーで華々しく復活

アンヘル・カブレラ
鮮やかな再起
アルゼンチンのアンヘル・カブレラが、ゴルフ界で劇的な復活を遂げた。
特にPGAチャンピオンズ(米シニアツアー)では、わずか2週間で2つのメジャータイトルを獲得。
まず「リージョンズ・トラディション」、続いて名門コングレッショナルCCで開催された「全米プロシニア」で優勝を飾り、シニアゴルフ界に衝撃を与えた。
また、その他にも勝利を収め、ツアーを代表する存在として再び脚光を浴びている。
「見た目にはわからないかもしれないけど、本当に感激している。これまでの経験を思えば、こんな結果は夢のようだ。長い間クラブを握ることすらなかったし、正直、失敗すると思っていた。でも必死に努力した……。この勝利は、そのご褒美だよ」と、カブレラは感慨深げに語った。
かつて「マスターズ」と「全米オープン」を制した〝南米のスター〟が、再びゴルフ界に戻ってきた。
Text/Isabel Trillo Amores

イサベル・トリロ・アモーレス(スペイン)
PGA・オブ・スペインのコミュニケーションディレクター。80年代後半からゴルフ取材を始め、その数は世界250試合以上。ゴルフのラジオ番組も手がける。




