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【世界のゴルフ通信】From Australia ローリー・マキロイ、全豪オープン出場決定!

2013年、ロイヤルシドニーGCで開催された「オーストラリアンオープン」で優勝したローリー・マキロイが、今年の12月に再びオーストラリアに帰ってくる。©GettyImages
開催地のロイヤルメルボルンGCにて、記者発表が行なわれた。左からステファン・モントフォート氏(キングストンヒース・キャプテン)、ジェイムス・サザーランド氏(ゴルフオーストラリア・CEO)、スティーブ・ディモポウロス氏(ビクトリア州観光大使)、ギャビン・カークマン氏(オーストラリアPGA・CEO)、プルー・ホリマン氏(ロイヤルメルボルンGC・女子プレジデント)。©Golf Australia

2年連続で「全豪オープン」出場の理由は「コース」

2025年の「全豪オープン」は、12月にメルボルンのサンドベルト地帯で開催。
これにマスターズ覇者のローリー・マキロイが出場することが決まり、史上最も成功する大会になることが確実視されている。
マキロイは、名門ロイヤルメルボルンGCの複合コースでの挑戦に魅力を感じ、さらに2026年にキングストンヒースで開催される「全豪オープン」にも出場する契約を結んだ。

彼が最後に豪州でプレーしたのは、2014年の「全豪オープン」。前年にロイヤルシドニーで獲得したタイトルを防衛するため、シドニーのオーストラリアンGCでプレーしたのが最後だ。
ゴルフ・オーストラリアは、北アイルランドのマキロイの出場により、他の一流選手もこの大会に出場するようになるだろうと確信している。
同大会は、過去3年間、「全豪女子オープン」と同時開催だったが、今年からは単独開催に戻る。

マキロイは、「全豪オープン」の歴史、そしてこれまでロイヤルメルボルンおよびキングストンヒースで豪州のメジャーをプレーしたことがないという事実が、今後2年間の出場を決断する決め手になったと語った。

「『全豪オープン』の成功は、世界のゴルフ界にとって重要だし、今年も再び大きな成功を収めると確信している。世界有数のスポーツ都市であるメルボルン、そして今後2年間は、世界屈指のゴルフコース—ロイヤルメルボルンGCとキングストンヒースGC—での開催だからね」

マキロイの出場は、「全豪オープン」が「第5のメジャー」とまで評され、PGAツアーのスター選手たちが毎年のように豪州を訪れていた時代を思い起こさせる。
ゲーリー・プレーヤーは7回、ジャック・ニクラスは6回優勝しており、他にもアーノルド・パーマー、トム・ワトソン、マーク・カルカベッキア、ブラッド・ファクソン、ボビー・ロック、ジーン・サラゼンらも優勝者として名を連ねている。

2025年の「全豪オープン」(12月4日~7日)は、ロイヤルメルボルンGCで開催される17回目の大会で、1991年以来の開催となる。
アメリカ人選手の多くは、過去3回の「プレジデンツカップ」で、ロイヤルメルボルンのウエストとイーストを組み合わせた複合コースを経験しているが、欧州出身のマキロイにとっては初体験。
世界屈指の18ホールとされるそのコースを、ついに彼がプレーすることになる。

この発表は、マキロイがオーガスタで劇的な優勝を果たし、キャリアグランドスラムを達成してから1か月後、そして、ゴルフ・オーストラリアが3年間、男女メジャーを同時開催する試みを終了してから3か月後のタイミングだった。

「全豪女子オープン」の開催地・開催日程はまだ発表されていないが、2026年2月の開催が予想されている。
ミンジー・リーやハナ・グリーンといった豪州女子ゴルフのスターたちは、LPGAツアー最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」とのタイトな日程を避けるため、女子オープンを年末から変更するよう求めている。
ゴルフ・オーストラリアはそれに応えて大物外国人選手の招致にも動くと期待されている。

障害者ゴルフが盛んなオーストラリア

今年の「全豪アンプティーオープン」で優勝したジェフ・ニコラスさん。11歳の時に右足を失った。©Golf Australia
「ISPSハンダ・全豪ブラインドゴルフオープン」優勝のミッシェル・ワッツさん(左)。©Golf Australia

過去3年間、男女の「全豪オープン」と同時開催されてきた「豪州オールアビリティーズ選手権(障害者ゴルフ大会)」の開催時期についても、まだ発表はない。
そんな中、視覚障害ゴルファーによる国際大会「ISPSハンダ全豪ブラインドゴルフオープン」が5月にアデレードのウェストワード・ホーGCで開催され、世界トップクラスの選手たちが参加した。

出場選手中、唯一の女性ゴルファーである、ニューサウスウェールズ州のミシェル・ワッツが、2017年に続く2度目の優勝を達成。
初日は出遅れたものの、2日目に16打差を縮め、ロス・フレームを6打差で下した。

フレームはゴルフ・オーストラリアのインクルージョン推進担当職員でもあり、男子グロス部門で準優勝。
クイーンズランド州のアンディ・ウェルズに1打差で敗れた。

ワッツは、8月にカナダ・オンタリオで開催される「世界ブラインドゴルフ選手権」(IBGA主催)に出場する8人の豪州チームの中で唯一の女性選手でもある。
この大会では出場者56人のうち、11人が女性選手だ。

ワッツは57歳のとき、極めてまれな目の病気「レーベル遺伝性視神経症」により視力を失ったが、そのわずか1年後には「全豪選手権」で初優勝。
2018年にはイタリア・ローマで開催された「世界選手権」でも初優勝を達成した。

障害者ゴルフのもう一人のチャンピオン、ジェフ・ニコラスは、クーランガッタ・ツイードヘッズGCで開催された2025年「アンプティーオープン(上肢または下肢の切断障害を持つ選手の大会)」で2位に16打差で優勝。
21年前の初優勝以来の栄冠を手にした。彼は右足を11歳で失っている。
1990年には第1回「全英アンプティーオープン」を13打差で制し、その年の「全米アンプティーオープン」でも8打差で優勝。
以後、2002年まで両大会を毎年制覇してきた。
1992年にはオーストラリアPGAツアーの出場権を獲得。
2024年には、アンプティーゴルフ・オーストラリアの殿堂入り第1号に選出された。
2016年にはニューサウスウェールズ州の「殿堂入りチャンピオン」としても表彰されている。

PGAツアーでのオセアニア勢の活躍

ニュージーランドのライアン・フォックスが、PGAツアー「ワンフライト・マートルビーチクラシック」で優勝。家族が初優勝を祝福した。©GettyImages

ニュージーランドのライアン・フォックスが5月、サウスカロライナ州で開催されたPGAツアー「ワンフライト・マートルビーチクラシック」で、3人によるプレーオフを制して劇的勝利。
DPワールドツアーで4勝を挙げているフォックスだが、米ツアーでは68試合目の出場で初優勝を飾った。
彼はその1か月後、「RBCカナディアンオープン」でも優勝を飾っている。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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