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【The Open】日本人の全英オープン 松山英樹、金谷拓実、河本力が予選通過

松山英樹 16位タイ/−7

「もっと高い精度に持っていくには練習しないと……」

今年で11回目の「全英オープン」出場を果たした松山英樹。©R&A
4日間を通して、フェアウェイキープ率は平均55%と、全体で34位だった松山。パーオン率は4日間平均71%で、26位。©Eiko Oizumi

3日目を終えて、「もう少しいいショット、いいパットができれば、トップ10くらいにはいけると思う」と語っていた松山は、最終日を7バーディ、2ボギーの66で回り、5つスコアを伸ばして、通算7アンダーの16位タイで今大会を終えた。
フェアウェイキープ率を見ると、初日はわずか35.7%(108位)だったのが、2日目には71.4%(10位)と格段によくなり、4日間平均すると55%(34位)に。
パーオン率については、リー・ハオトンが平均81%で1位に対し、松山は71%で26位だった。
「フェアウェイに球がいけば、チャンスも増える」と初日に語っていた通り、フェアウェイキープ率の上昇に比例して、バーディ数も増えていき、2日目以降、60台のラウンドが3日間続いた。

「ベストを尽くしたという感じ。いいショットもあったが、そうじゃないショットもあったので、それをまたもっと高い精度で打てるよう、練習しなければいけない」と最終日のラウンドを終えて語った。
今年のメジャーは、「マスターズ」21位タイ、「全米プロ」予選落ち(自身初)、「全米オープン」42位タイ、そして「全英オープン」16位タイという成績で締めくくったが、決して本人の思い通りのシーズンではなかったはず。
自身も言うように、ショットもパットも高い精度で打てるよう、練習を積み、目の前の試合でその成果を出していくだけだ。

金谷拓実 40位タイ/−2

メジャーで13試合ぶりに予選通過!

5回目の「全英オープン」で初めて予選通過を果たした金谷。©R&A

世界アマチュアランキング1位だった、2019年「マスターズ」で初めてメジャーに出場し、予選通過を果たして58位タイに入った金谷拓実。
だがその後、今年の「全英オープン」で14試合目のメジャー出場を果たすまで、全く予選通過ができずにいた。
そして今回、6年越しに悲願の「予選通過」という目標を、ようやく達成できた。

初日を終えて、首位と4打差のイーブンパー(32位タイ)とまずまずの発進を遂げた金谷は2日目、2バーディ、3ボギーの72(1オーバー)と耐え、通算1オーバーの51位タイで終了。
上がった時点で予選通過圏内に入っており、6年ぶりにメジャーで予選通過を果たせたことを喜んだ。

6月、「全米オープン」に出場していた時は、「当たり前のことを当たり前にできたら、完璧なショットはいらない。出るだけじゃ意味がないし、結果を出すことが大事なので、本当に出るだけというのはやめたい」と気持ちを吐露していた金谷。
だが、今週はその「当たり前のこと」も一体何なのか、わからなくなってきたと練習日に語っていた。しかし、「自分を信じて、歯を食いしばって頑張る」といい、今大会に臨んでいた。

そして、ようやく「当たり前のプレー」がここにきてできるようになり、今回の結果につながったようである。最終日を終えて、金谷は次のように語った。

「もっといいプレーをしたかったが、久しぶりに予選通過できていい経験になった。土日にゴルフができないことは、本当に寂しいことなんで、今回は嬉しかった。プロである以上は、金曜日は難しいが、そこをしっかり乗り越えて、もっと技術を磨いて今後のシーズンに向けてやっていきたい」

河本 力 63位タイ/+4

自分の次のステップに上がるためにも重要だった「予選通過」

「全英オープン」初出場で、予選通過を果たした河本。©R&A
ドライビングディスタンスでは、4日間平均で321.6ヤードを記録し、10位に入った。1位はブライソン・デシャンボーで、平均飛距離339.3ヤード。©R&A

過去、「全米オープン」に2回出場して2回予選落ちをしていた河本が、今回初出場の「全英オープン(メジャー3試合目)」で見事、予選通過。
通算4オーバーの63位タイで今大会を終えた。

6月の「全米オープン」では体調を崩し、練習ラウンドもまともにできない状態で試合を迎えての予選落ちに、「プロとして準備不足」と悔しさを噛み締めていたが、今回はしっかり体調も整え、用意周到に試合を迎えることができた。

「予選通過をしないと、応援してくれる人に申し訳ない。世界を目指していると言っているのに、予選落ちして帰ってくる自分がすごく嫌なので、こうやって予選通過できて嬉しいし、世界で戦うための一歩として、いいステップを踏めるようにしたい」と予選通過直後に語っていた。

3日目は1バーディ、5ボギー、1トリプルボギーの78と、大きくスコアを崩したが、最終日は4バーディ、1ボギーの68とスコアを3つ伸ばしてホールアウト。
「絶対に、腐ってどうでもいいという、責任のないようなプレーだけはしたくなかった。最後まで1打でも少ないスコアでプレーすることだけを心がけてやっていた」という。

メジャー3試合目で、予選通過を果たし、世界への挑戦への第一歩を踏み出した河本。
今回、メジャーで予選通過をしたことで、PGAツアーのQスクール(予選会)の、セカンドステージからの出場権は確保できた。
あとは、国内ツアーで賞金王となり、ファイナル(最終予選会)からの出場権が取れるよう、優勝を目指すのみだ。

今平周吾 予選落ち

全英オープン4回目「メジャーの難しさを改めて感じた」

ジャスティン・トーマス(右)と練習ラウンドをした今平(右から2番目)。©Eiko Oizumi

今年の「全英オープン」で4回目の出場を果たした今平。
ロイヤル・ポートラッシュでの「全英」は2回目だったが、通算9オーバーで予選落ちを喫した。

「パッティングのタッチが合わずに、なかなか流れがつかめなかった感じ。ロングホールは結構バーディを取れるんで、難しいホールを耐えながらいけば、アンダーパーは出そうかなという感じもあったが、パターが入らず、バーディも取れなかった。改めてメジャーの難しさを感じた。また戻ってきたいですね」

今後、「全英オープン」に出ることを考え、ショットのコントロールやパッティングを練習していきたいと語った。

阿久津未来也 予選落ち

「憧れるのはやめたい!」初のメジャーを経験し、海外への想いが強まる

羊が多い北アイルランドらしい、フワモコのヘッドカバーをゲット!©Eiko Oizumi

今年の「ミズノオープン」で優勝し、出場権を獲得した阿久津が、今回の「全英オープン」でメジャーデビューを果たした。

「送迎が(メルセデス)ベンツだし、『ザ・ショップ(お土産売り場)』が体育館くらいデカい。18番もやばいですね。ハマスタ(横浜スタジアム)みたい。プレーヤーズラウンジの料理もおいしいし、練習日でもグリーンスピードの情報が(メールで)くるんですよ。それに練習日からこれだけチケットが売れてる。日本人なのに、子供達もサインプリーズって必死に、気安く、明るく言ってくれて、写真を撮りましょうって言ってくれる。何か地域の人の温かさみたいなものを感じますね。全部驚いています」

そして、練習場やコースでは、それまでテレビの中で見ていた憧れの選手たちがプレーする姿を目の当たりにして興奮。
「練習ラウンドくらいまでは、ジャスティン・トーマスらと写真を撮ってもらいましたけど、あと、写真を撮りたいと思ったのは、ローリー・マキロイとトミー・フリートウッドくらい。でも、誰かの言葉じゃないですけど『憧れるのはやめたい』。ボギーの数よりもバーディの数が1個でも上回るようにしたいし、『ミズノオープン』の優勝者として来てることをしっかり自信にして、初日の1番に立ちたいと思う」と語っていた。

しかし開幕してみると、なかなか思うようなゴルフができない。
初日は、3バーディ、6ボギー、2ダブルボギーの78(7オーバー)でホールアウトし、144位タイで終了。
2日目はバーディとボギーが交互に来るような展開でスコアを思うように伸ばせず、通算9オーバーの144位タイと、予選通過はならなかった。

「パワーゲームのようなところがあって、ドライバーで攻めていかないと、アイアンでバーディを取るのは難しいという面は痛感した。今回、メジャーに出て、ゴルフの視野が広がった」

初めて海外メジャーを経験し、また「全英オープン」に戻ってきたい、メジャーに出たい気持ちが一層強まったという。
同年代の若手選手たちが、欧米ツアーを主戦場に戦う姿を見て、今回「全英オープン」に出場したことで、彼らの「海外で戦いたい」という気持ちがよくわかったそうだ。
海外に挑戦したいという気持ちは、この1週間で強くなったと語る。
彼の今後のゴルフ人生を左右するような初メジャー参戦となった。

星野陸也 予選落ち

Y.E.ヤンのスイングイメージで首・肩の痛みを抑えながら出場

「全英オープン」といえば、18番ホールのこの風景! ロイヤル・ポートラッシュに来た記念に。©Eiko Oizumi
ヤーデージブック片手に、コースチェックを行なった星野。グリーン周りでアプローチやパッティングだけは行ない、グリーンや芝感を確かめていた。©Eiko Oizumi

前週の「スコティッシュオープン」は、首から肩への痛みを感じ、棄権した米ツアーメンバー、星野陸也が、自身5度目の「全英オープン」挑戦のため、北アイルランドにやってきた。

練習日の月曜日にラウンドをしようとしたが、ショットを打った瞬間に「左手に電気が走った」感覚に陥り、ラウンドは取りやめに。
大会前日の水曜日は、コースチェックだけにとどめた。

初日はトリプルボギー発進で、「1番で終わったかと思った」と星野が語るように、いきなりスタートホールから予選落ちの危機にさらされたが、2番では起死回生のイーグルを奪取。
この日は通算3オーバーの97位タイで終えた。
挽回を目指した2日目。この日は痛みを感じながらもアンダーパーフィニッシュ。
通算2オーバーでホールアウトした。

「痛みが少ないショットをやっと見つけることができ、そのおかげで昨日よりもティーショットが安定していた。Y.E.ヤンさんのようにハンドアップで構え、上半身の捻転差を減らしたクラブのヘッドを走らせることを重視したスイングでプレーした。手が痺れている状態にも慣れた。これが悪化したら途中でやめることも考えていたが、悪化することなくプレーできているのでホッとした」

だが、2日目の追い上げもあと一歩足りず、1打差で予選落ち。
秋のPGAツアー・フォールシリーズに向けて、体調を回復させて、万全の態勢でラストスパートをかけたいところだ。

Photo/R&A, Getty Images

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