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【私の愛したゴルフコース】第34回サニングデールゴルフク ラブ・オールドコース(イングランド)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第34回はサニングデールゴルフクラブ・オールドコース(イングランド)を紹介する。

Sunningdale Golf Club Old Course

17番グリーンと、奥には18番グリーン、クラブハウスが見える。名門コースにふさわしい、歴史的なクラブハウスも魅力の一つ。©David Cannon (Getty Images)

サニングデールゴルフクラブオールドコース(イングランド)
●設計:ウィリー・パーク・ジュニア、ハリー・コルト
●コース:6666ヤード・パー70
●備考:ロンドン・ヒースロー空港から、車で約25分。メンバーコースだが、月~木曜日はビジターでもプレー可能。ニューコースもあり。2025年の料金は、18ホール(オールドコース)で395ポンド。予約、問い合わせは、info@sunningdale.comまで。1901年オープン。
https://www.sunningdalegolfclub.co.uk

ボビー・ジョーンズ絶賛の英国の名門

ロンドンから西へ約48キロの場所に、1901年に創設された世界屈指の名コースとして名高いサニングデールゴルフクラブ・オールドコースがある。
このコースはウィリー・パーク・ジュニアによって設計され、現在も世界のトップ30にランクインし続けている。
クラブ初代の幹事を務めたのは、著名なコース設計家ハリー・コルト。彼は1923年に「ニューコース」を設計したほか、在任中にオールドコースの4番、7番、12番ホールのグリーンを現在の位置に移設した。

このクラブの特色は、世界に誇れる2つのコースを有していること。
会員の間では好みがわかれるものの、やはりオールドコースが最も広く知られた存在だ。
これまでに数多くの名だたる大会が開催されており、男子プロでは「ニュース・オブ・ザ・ワールド・マッチプレー」「ブリティッシュ・マスターズ」「ヨーロピアン・オープン」「全英シニアオープン」。女子プロでは「全英女子オープン」「コルゲート・ヨーロピアン・オープン」。
アマチュアでは「ウォーカーカップ」や「カーティスカップ」といった伝統ある国際対抗戦も行なわれてきた。
中でも特筆すべきは、1926年の「全英オープン」予選でのこと。
このとき、若き日のボビー・ジョーンズがサニングデールに心を奪われ、「このコースをそのまま家に持って帰れたらいいのに」と語ったことが知られている。
予選では66、68というスコアでトップ通過を果たし、特に「66」は〝完璧なラウンド〟と称された。33回のショットに33回のパット︱︱まさに非の打ち所のないプレーだった。
その後ジョーンズはロイヤル・リザム&セントアンズでの本選に向かい、「全英オープン」優勝。
このコースに特別な想いを抱いたのも当然のことと言えるだろう。

現在のコースレコードは、2010年の「全英オープン」予選でシェーン・ローリーが記録した「62」。
また、2004年の「全英女子オープン」では、カレン・スタップルスが最終ラウンドの1番ホールでイーグル、2番でアルバトロスを達成するという歴史的スタートを切っている。
メジャー大会でのこのような幕開けは、前代未聞であり、その舞台がオールドコースだったことも印象的である。

数々の大会を開催してきた、世界トップ30にランクインする屈指の名門コース

1st Par5/501yards
クラブハウスを背にスタートする、パー5の1番ホール。フェアウェイは右から左へ傾斜しており、飛ばし屋なら2オン可能。フェアウェイ周辺にはところどころブッシュもあり、要注意。©David Cannon (Getty Images)
↑8番ホール(193ヤード・パー3)のティーグラウンドからグリーンを望む。両サイドには木々が立ち並び、グリーンを4つのバンカーが囲んでいるため、アイアンの正確性が求められる。©David Cannon (Getty Images)

Colt’s finest コルトの傑作

もともとゴルフコースには適さないと言われていた丘、草原、森林を切り開いて造られたサニングデールのオールドコース。木々の高さが、124年の歴史を感じさせる。10番ホールの左奥には「ハーフウェイ・ハット」がある。©David Cannon (Getty Images)

伝統的で、手入れの行き届いたコースコンディション

英国の伝統的なゴルフクラブらしく、会員たちが愛犬と共に手入れの行き届いたフェアウェイを歩く姿がよく見られる。
黒いラブラドールの姿も多く、10番グリーンとニューコースの10番グリーンの間にあるハーフウェイ・ハット(茶屋)は、ゴルファーと愛犬たちの憩いの場。
名物のソーセージサンドは、ゴルファーと犬のどちらがより楽しみにしているのか、わからないほどだ。

近年、クラブはコース整備にも積極的に投資しており、過去10年の間に最先端の灌漑システムを導入。
現在のコースコンディションは申し分なく、オールドコースの大きくうねるグリーンはまさに完璧。
夏にはアメリカの名門コースに匹敵するほどの速さを誇っている。
私が2024年8月にプレーした際は、その速さに対応できず、最初の2ホールでグリーンからパットをこぼしてしまった。
ゴルファーはそのグリーンのスピードに驚かされることだろう。
というわけで、プレーする際は、熟練のクラブキャディをつけることを強くオススメする。

クラブハウスは、ゴルフ界でも有数の象徴的建築だ。
オールドコースの18番グリーン奥に佇む大きな樫の木のそばに位置し、コースの歴史と風格を一層引き立てている。
1番ティーは、クラブハウスの美しいベランダの下にある練習グリーンのすぐ先。
なだらかな下りのパー5のこのホールは、2オンも狙えるため、一見やさしそうに思えるが、グリーンに乗ってから本当の試練が始まる。

サニングデールの名物であるヒースの茂みを避けることは、プレーの基本。
2番は上りのティーショットと、奥へ傾斜するグリーンへの長いアプローチが要求される難関だ。
5番ティーに立てば、英国の内陸部におけるゴルフコースの中でも屈指の絶景が広がり、5番と共に6番ホールが眼下に伸びていく。

前半の2つのショートホールでは、グリーンの厳しさが特に際立つ。
カップの上につければボールがコロがり落ちる可能性もあり、常にピンの下を狙うことが重要だ。
8番は左から右に傾斜したグリーンを両サイドのバンカーがガードするパー3。
距離こそ長くはないが、低い位置に運ぶことが求められる。

10番ホールのティーからの眺めもまた、オールドコースを象徴する風景のひとつ。
この下りの難関のパー4を抜ければ、グリーンの奥にはオアシスのようなハーフウェイ・ハットがあり、名物のソーセージサンドが待っている。
11番ティーから再びクラブハウス方向へ向かう後半戦では、ヒースや松の木が絶えずプレッシャーをかけてくる。

終盤の3ホールはいずれも400ヤード超ながら、それぞれ異なる個性を持っており、3連続パーで締めくくることができれば、この美しいコースでのラウンドを最高の形で終えたことになるだろう。
17番フェアウェイから18番を見渡し、クラブハウスと大きなオークの木を望む光景は、ゴルフ界でも屈指の美しさを誇る。
ラウンド後はベランダで冷たい一杯を楽しみながら、フィニッシュを迎える他のゴルファーを見守る︱︱それもまたサニングデールならではの贅沢なひとときだ。

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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