イ・ドンウン(韓国)

ホン・ジュンミン(韓国)

パン・シンシル(韓国)

ルーキーとベテランが再びLPGAで存在感を示す



韓国女子選手のLPGA支配は終わり?!
2000年9月から2023年12月にかけて、韓国女子ゴルフはLPGAツアーにおいて他のどの国にも負けない支配力を誇った。
キム・ミヒョンの勝利から始まり、キム・アリムの勝利で締めくくられたこの期間に、韓国選手たちは実に197勝を挙げ、同期間のアメリカ選手の196勝を1つ上回った。
20年以上にわたって、韓国は女子ゴルフ界の頂点に君臨していたのだ。
しかし、その流れに変化が現れ始めた。
2024年、米国のスター選手、ネリー・コルダが7勝を挙げ、他の米国人選手たちも5勝を積み重ねたことで、米国勢はその年に計12勝を記録。
一方、韓国勢は、「KPMG全米女子プロ」で優勝したヤン・ヒヨン、「FM選手権」を制したユ・ヘラン、「ロッテ選手権」を制したキム・アリムの3勝にとどまった。
米国人の支配に変わったのだ。
だが、2025年シーズンの幕開けとともに、韓国勢復活の希望がほのかに灯り、やがて炎を上げ始めた。
キム・アリムが「ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で年初の勝利を挙げ、キム・ヒョージュが「フォード選手権」で優勝。
ユ・ヘランは好調を維持し、「ブラックデザート選手権」で優勝。
そしてイム・ジニとイ・ソミのペアが「ダウ選手権」を制し、チーム戦でも存在感を示した。
ベテランとルーキーが一体となり、韓国のLPGA王座奪還への歩みが再び力強く始まったのだ。
韓国の新星が、LPGAの王座を目指す時代
韓国女子ゴルフのLPGA進出の礎となったのは、1998年のパク・セリによる歴史的な「全米女子オープン」制覇だった。
池の中から「裸足のショット」を放ったあの瞬間は語り継がれ、韓国中にゴルフブームを巻き起こし、のちにLPGAを席巻するチャンピオンたちが次々と誕生した。
長年にわたり、韓国人選手たちは毎年10勝前後の勝利数を挙げてきた。
中でも2017年には驚異の16勝を記録し、LPGAの年間大会の約半数を制した。
しかし2022年にはその勢いが失速。
かつて勝ち星を重ねたスターたちが一斉に優勝から遠ざかり、韓国の時代が終わったのではないかという声も上がった。
だが、その見立ては早計だったのかもしれない。
韓国選手は逆境の中でこそ力を発揮する。
現在、KLPGAで頭角を現した新星たちが、世界の舞台を目指して動き始めている。
中でも注目されるのは、パン・シンシル、ホン・ジュンミン、イ・ドンウンの3人だ。
〝飛ばしの女王〟の異名を持つパン・シンシルは、すでにKLPGAで4勝(昨年2勝、今年2勝)を挙げている。
「AIG女子オープン」を含むメジャー3大会にも出場しており、すでに大舞台を経験済みだ。
「毎試合の目標は、まず予選通過です。韓国とは環境が大きく異なるので、コンディション管理を重視して全力を尽くしています。メジャーに出たことで、LPGAで本格的に戦いたいという気持ちが強くなりました。これまで以上にモチベーションが高まっています」と語る。
ホン・ジュンミンはKLPGAで通算2勝を挙げており、直近では韓国メジャーのひとつ、「KLPGA選手権」を制した。
「3年前にLPGAに出場しましたが、また戻ってこられて嬉しいです。今季はしっかり準備してきましたし、調子も良いです。韓国とは環境が違うので慎重にプレーしますが、チャンスが来たら思い切ってプレーしたいです」と話す。
イ・ドンウンは大韓ゴルフ協会主催の「韓国女子オープン」で優勝し、一躍注目の存在となった。
「『AIG女子オープン』が私にとって初のLPGA出場であり、しかもメジャー大会。本当にワクワクしていて、世界トップレベルの選手たちと自分を比べられた」と語った。
そして、もうひとり注目を集める存在が、ユン・イナだ。
彼女は米国LPGAの舞台に立つ前から注目されていたが、それは必ずしも良い理由からではなかった。
2022年の「韓国女子オープン」で、ユンは誤って他人のボールを打ち、そのままプレーを続行。
のちに自らそのミスを申告し、失格となった。
これにより、KGAとKLPGAの両団体から3年間の出場停止処分を受けたが、のちに18か月に短縮された。
復帰後、ユンは年間ポイントレースを制し、賞金ランキングでも1位に輝くなど圧巻の成績を残した。
そして今年、LPGAツアーにデビュー。
現在はまだ調整段階にあるが、確実に成長を遂げている。
「全く新しい環境でプレーしています。リンクススタイルのコースはあまり経験がなく、韓国でも済州島のような沿岸地域でのプレー経験は多くありません。でも今は学んでいる最中で、この過程自体が本当に楽しいです。大会出場を重ねながら少しずつ成長しています。まだ優勝はありませんし、新人賞ポイントも多くはありませんが、今はとにかく多くを学び、順応することに集中しています」と話している。
今季は、ルーキーたちが適応し、ベテランが再び調子を取り戻し、韓国がLPGAの王座奪還へ本格的に動き出す、そんな変化の年になるかもしれない。
王座への挑戦は、再び始まった。
Text/Donghoon Lee

イ・ドンフン
ソウル生まれのゴルフライター。アジュビジネスデイリー紙、ゴルフマガジン、ゴルフジャーナル(ともに韓国)などに寄稿。2021年韓国PGA感謝賞受賞。




