


韓国ゴルフ界の″大魚”がツアー初優勝達成
「韓国女子ゴルフには、数多くの回廊(可能性)がある」
30年以上ゴルフ記者を務めてきた韓国のジャーナリストが自身のSNSにこう書き込んだ。
祝福とは幸運を意味する。その〝幸運〟を呼ぶ少女が、10代のキム・ミンソルだ。
キムは最近、京畿道抱川市の抱川(ポチョン)ヒルズCCで行なわれたKLPGAツアー「BCカード・韓経レディースカップ(以下、「BCカード」)」で、通算19アンダーの269をマークして優勝した。
韓国ゴルフ協会出身のキム・ミンソルは、アマチュア時代から〝大魚〟と呼ばれてきた存在だ。
昨年7月にプロに転向したが、プロ転向後は苦難の連続だった。
昨年11月のKLPGAツアーシードランキングでは83位に終わり、二部ツアーのドリームツアーに回るという大きな屈辱を味わった。
その後ドリームツアーで4勝を挙げ、自尊心を取り戻すと、推薦出場したKLPGAツアーの大会でトロフィーを掲げた。
ドリームツアーのシーズン結果を待つまでもなく、KLPGAツアー本戦の出場権を確保したのだ。
推薦出場した選手がKLPGAツアーで優勝したのは、2019年9月の「済州三多水マスターズ」でユ・ヘランが優勝して以来、6年ぶりのこと。
なおユ・ヘランはその後、米LPGAツアーに進み、新人賞を受賞している。
今回、キムが制した「BCカード」は、賞金総額2億4000万ウォンがかかる4日間競技であり、初日から最終日まで首位を守り抜いて、完全優勝を果たした。
彼女は9月の「KB金融スター選手権」から、レギュラーツアーに本格参戦。2026年シーズンまでの出場権を確保している。
キム・ミンソルは178センチの長身が生み出す柔らかいスイングで、270ヤードを軽々と超える飛距離を誇る。
さらに年齢に似つかわしくない冷静で老練なゲームマネジメントも強みとされている。
韓国ゴルフ協会が6年間育てたエース
レギュラーツアーデビューが1年遅れたことが、猛スピードで駆け抜けたアマチュア時代には見えなかった弱点やメンタルを鍛える好機となったキム・ミンソルは、韓国ゴルフ協会(KGA)の有望選手育成システムの下で腕を磨いてきた。
2019年、慶尚南道・昌原南中学1年生でジュニア予備軍に初選抜され、2021年から2年間はナショナル予備軍として活動。
2023年、2024年にはナショナルチーム入りを果たし、実に6年間にわたり、KGAの支援を受けてきたのだ。
KLPGAで活躍しているスター選手の多くは、ナショナルチームを通じて並外れたスキルを身につけてきた。
キム・ハヌル、イ・ボミ、申ジエ、キム・インキョン、イ・イルヒ、キム・ソンヒ、チェ・ナヨンらが代表格であり、さらにキム・セヨン、キム・ヒョージュ、コ・ジンヨン、パク・ミンジ、チェ・ヘジン、ユ・ヘランらが続いている。
最近注目を浴びているホン・ジョンミン、ユン・イナ、パク・ヒョンギョン、イム・ヒジョン、イ・イェウォン、パン・シンシルも皆、ナショナルチーム出身だ。
キム・ミンソルは、彼女たちより若くして、すでに成熟した芽を見せている。
国旗を背負うためには、小学生の頃から熾烈な競争を勝ち抜かなければならない。
「小さい頃はジュニア予備軍に入るために必死でした。その後はナショナル予備軍、ナショナルチーム入りを目標に努力して、すごく成長できたと思います。ナショナルチームに入ってからは、海外の選手たちとの対戦を通じて、彼女たちのプレースタイルやコース、文化に触れ、視野を大きく広げられたと思います」(キム・ミンソル)
また、中学時代から合宿で世界ランキング1位のコ・ジンヨンと同室となり、その冒険心を学んだとも言われる。
ナショナルチーム選考の改善と、メンバーの特典
KGAの姜亨模(カン・ヒョンモ)会長は、長年、代表選考と運営を担い、経験則に頼っていたナショナルチームの選考制度を合理的に再編し、公平性を高めた。
技術向上だけでなく、メンタル強化、語学力、人間性も重視するナショナルトレーニングプログラムを実施。
KGA職員の専門性を高める教育や投資にも力を入れてきた。
その結果、韓国ゴルフ代表チームの選考には雑音がなく、純粋に競技力向上に集中できる〝模範集団〟と他競技からも評価されている。
ナショナルチームに選ばれると、国内合宿でプロ経験豊富な指導者からの個別レッスン、チームワーク、精神・体力面の強化プログラムを受けられる。
キム・ミンソルが語ったように、国際大会での経験が最大の恩恵である。
キム・ミンソルはナショナルチームメンバーとして、2年間で8度国際大会に出場。
2023年だけで6度海外大会を経験した。
「クイーンシリキット杯」「アジア太平洋女子アマチュアチーム選手権」「アジア太平洋ジュニア選手権」「杭州アジア大会」の団体銀メダルに続き、「アブダビ世界アマチュアゴルフチーム選手権」ではイ・ヒョソン、ソ・キョリムと共にチーム優勝を果たした。
専門家たちは、10代で着実に技術を身につけてきたキムは、将来的にKLPGAスターの中でも突出した存在になる可能性が高いと見ている。
ナショナルチーム時代に出場したKLPGAツアー4大会では、全てトップ10入りを達成。
スター性を認められたキムは、タイトリストや斗山建設と契約締結。
クラブも全てタイトリストで統一しており、ボールは2025年モデルのPro V1、ドライバーはGT(ロフト9度)、フェアウェイウッドはGT 3番(15度)、ユーティリティは19度と21度、アイアンは620 CB(5番~PW)を使用中だ。
詩人・徐廷柱(ソ・ジョンジュ)は「私を育てたのは、8割が風だった」と語ったが、キムを育てた8割が〝国旗〟だったのかもしれない。
では残り2割は何か―彼女が腕を磨いたゴルフ場のニックネーム「フォーチュンヒルズ(幸運の丘)」だ。
Text/Donghoon Lee

イ・ドンフン
ソウル生まれのゴルフライター。アジュビジネスデイリー紙、ゴルフマガジン、ゴルフジャーナル(ともに韓国)などに寄稿。2021年韓国PGA感謝賞受賞。




