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【INTERVIEW】アダム・スコット独占インタビュー「45歳のアダム・スコットからシニアゴルファーへ」40代以上のゴルファーに役立つスイング作りのお話

Adam Scott(オーストラリア)
1980年7月16日生まれ。183cm、81kg。PGAツアー14勝、欧州ツアー11勝など世界で31勝。2013年「マスターズ」でメジャー初優勝。世界ランク最高位1位。サーフィンが趣味。3児のパパ。
ユニクロのグローバルブランドアンバサダー。©Yoshitaka Watanabe

2026年の目標は、優勝すること!

アダム・スコット取材歴24年の、O嬢が直撃!©Yoshitaka Watanabe

かつては世界ランク1位に君臨した「マスターズ」チャンピオンのアダム・スコット。
45歳になった今でも、ツアーのベストスインガーと言われ欧米ツアーで活躍しているが、そんな彼が、現在の自分自身のスイングやクラブ選択について語るとともに、日本の40代以上のゴルファーにアドバイス。
年齢に応じた変化と工夫が必要だと語った。

普段から「自分ももう年を取ったから……」と言うアダム・スコット。日頃、トレーニングを積む世界のトップスインガーも、年齢による衰えは感じている。©Yoshitaka Watanabe
2000年~2009年までの間、スイングコーチを務めたブッチ・ハーモン(右)。かつてはタイガー・ウッズのコーチも務め、現在もコーチ界のレジェンドとして称賛されている。©GettyImages
平均飛距離304.9ヤードのアダム・スコット。年齢を重ねるにつれて、スイング中のスムーズな動きは失われていくが、持ち前の「フロー(流れ)の良さ」を意識していると言う。©Eiko Oizumi

世界一美しいスイングを作り上げる秘訣とは?

――あなたは、ツアーでもベストスインガーの一人として昔から称賛されていますが、ジュニア時代から変わらずに守ってきた、スイング作りで大事なことはなんですか?

2つありますね。
まず、僕は最初からいいスイング作りの指導を受けることができました。
最初は父、そしてその後はブッチ・ハーモンからです。
ブッチとの契約が終わった頃は、僕もすでに30歳だったけど、その時点で自分のスイングは確立していました。
もう簡単には変えられない、というところまで来ていたんです。
だから、自分のスイング││つまり、〝スイングDNA〟を受け入れるようになりました。
ある時点からは、常にスイングを変え続けることはできない。
これは自分のスイングだ、と信じることが必要なんです。自分が得意なことと、ミスしやすいことを理解して、その間でうまくバランスを取る。
ブッチとのスイング作りを終えた頃には、「これがアダム・スコットのスイングだ」と理解できていたんですよね。
だから、それ以降も基本的にスイングを変えようと思ったことはありません。
もちろん、常にいい感覚や上達は追い求めていますが、スイングDNA自体を変えようとしたことはないですね。

――その「アダムのスイングDNA」とは、具体的に言うとどんなものなんですか?

僕のスイングは常に、「フロー(流れ)」がいいと言われてきました。
年齢を重ねるにつれて、その流れを意識することはとても大切になっています。
年を取ると、スムーズさが失われますからね。
僕のスイングの形は、リズムと動きに依拠しています。
でも、その「動き」は年齢とともに難しくなる。
だから、若い頃と同じように振ろうとする時、つまり飛ばそうと思う時は、20歳の時とは逆のことを意識します。
20歳の頃は、体の動きが速かったので、腕を速く動かすことを考えていたけど、今は逆に体の動きを速くしようと意識している。
今は、体の動きの方が遅くなってきているのでね。マインド(心)も同じです。
考え方そのものは同じでも、調整が必要。
25歳の時の自分と同じスイングをしたいなら、当時と同じ考え方ではできない。体が変わってますからね。

――では一般的に、40~50歳以上のゴルファーにとって、大事なことはなんでしょう?

動くことです。とにかく体を動かすこと。
多くのゴルファーに共通する大きな問題は、ボールが止まっているせいで、自分まで止まってしまうことなんです。
動きを止めると、再び動き始めるのが難しくなる。
そして止まると緊張が生まれ、その緊張が動きを妨げてしまう。
だから、常に動いている必要があるんです。
ワッグルするとか、足を動かすなど何でもいい。とにかく動き続けることがいいスイングモーションを生み出すカギなんです。

――自分でも常に動くことを意識してますか?

それは自分の「スイングの原則」の一つです。
今も自然にできていると思うので、常に意識しているわけではない。
ただ、調子が悪い時は確認しますね。
「動けているか?」「もっと動いた方がいいか?」とね。

若い頃と現在とでは、ここ一番飛ばしたい時の体の動かし方が違う

©Yoshitaka Watanabe

クラブ選びも年齢とともに変化

――最近、クラブが昔と比べてずいぶん違います。アダムも新しいクラブに合わせて、スイングを調整することはありますか?

もちろん、僕のゴルフ人生全体が「調整」の連続でした。
テクノロジーはキャリア初期から大きく進化しており、僕が子供の頃に学んだ打ち方は、今や教科書的ではないと思います。
今のクラブは、当時のものとは全く違う動きをしますしね。
だから多少の調整はしてきましたが、自分のスイングそのものは変えられません。
だから、調整するのは、スイングではなく“クラブ〟の方です。
お互いの妥協点を探るようなものですね。完璧ではないけど。

――最近では、ミニドライバーを使っていますね。

そうですね。ゴルフそのものもプレースタイルも変わってきています。
今のコースセッティングと距離では、特にPGAツアーの会場では、3Wを入れる意味があまりないと感じる。
だから、ティーショットで使える飛距離の出るクラブ(ミニドラ)をもう1本入れた方が有利なんです。
ストローク・ゲインドのスタッツを見ても、ティーからとグリーンで稼ぐのが一番効果的。
だからミニドライバーはPGAツアー向きだけど、一般的にもとてもいいクラブだと思いますよ。

――最近、アイアンをミウラのものからキャロウェイに替えましたが、これはなぜですか?

やはりゴルフそのものが大きく変わったから。
特にボールが、ね。
僕がプロになった頃はまだバラタボール(糸巻き)でしたが、今ではプロV1をはじめ、15種類くらいのボールがあり、昔よりもずっとパワフルです。
伝統的なマッスルバックのブレードアイアンは非常にヘッドが小さく、正確性が求められますが、僕の好みのアイアン形状でした。
でも今の選手たちは、もう少し大きくてやさしいヘッドを使っている。
そして今のボールはバラタよりも硬くて強いので、大きめのヘッドとの相性がいい。
だから、僕もそのバランスを探っているところです。

――大きめのヘッドは、見た目に異和感はないですか?

いや、少し大きいだけで、ほとんど同じに見えるので、とても自然ですね。

――特注で作ったんですか?

いや、偶然見つけたんです。ロッカールームで。

――えっ⁈ ロッカールーム?

「メモリアルトーナメント」の時に、トーマス・デトリーのクラブをロッカールームで見たんです。
それで彼に「ちょっと打たせてくれる?」と言って、レンジで打たせてもらいました。
それがきっかけで、自分に合うクラブを作りたいと思ったんです。すごく気に入りました。

――では、お気に入りのクラブが見つかったところで、来年の目標は?

最後に優勝したのは2020年「ジェネシス招待」。
だから2026年の目標は、試合で優勝することですね。

――最後に、アダムはツアーの理事会メンバーですが、今の世界のゴルフツアー全体をどう見ていますか?

状況は徐々に「正常化」しつつあると感じています。
現実的に言えば、今のような形のまま、長く続くことはないでしょう。
プロゴルフの健全な形とは言えませんからね。
いずれ必ず前進していくと思います。
現時点ではまだ明確な答えはありませんが、何らかの協力関係が生まれるでしょうね。
できれば早い方がいいですが、関係者が多い分、全員の意見を一致させるのは難しいんです。

「トップで肩を大きく回すことが、飛距離アップの秘訣」と語ってきたスコット。現在もスイングの流れを大事にしながら、バランスよく振り抜いている。©Eiko Oizumi
キャロウェイのプロトタイプアイアン「APEX MB」を、ツアーで初めて使用中。もともと小ぶりのヘッドが好みのスコットだが、「ツアーでもキャビティやミスに強いアイアンを使う選手が増えてきた」ということで、このアイアンに替えたそう。また彼は3Wよりも飛距離が出るというミニドライバーも多用。タイトリストのミニドライバーも試用したが、テーラーメイドの「BRNRMINI」に戻している。©Yoshitaka Watanabe
昨年の「メモリアルトーナメント」でトーマス・デトリーのアイアンに一目惚れし、自分用にオーダーして作ってもらったのだという。©Yoshitaka Watanabe
昨年「WMフェニックスオープン」で米ツアー初優勝したトーマス・デトリー。キャロウェイの「APEX MB」を使用している。©Eiko Oizumi

Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe,Getty Images

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