男女のメダル獲りを目指すリー姉弟
オーストラリア(以下、豪州)の注目のゴルフ姉弟、ミンジーとミンウー・リー。ミンウーが今年から本格参戦するPGAツアーで堅実なスタートを切ったことで、今年の「パリオリンピック(以下、パリ五輪)」にともに国を代表して出場するという2人の願いが、実現しそうになっている。
彼らは年間を通してツアーで会うことはほとんどないが、「五輪ゴルフ」ではゴルフ史上初めて一緒に出場する姉弟となることを目標に掲げてきた。
28歳のミンジー・リーは、ハナ・グリーンとともに豪州代表に選抜されることがほぼ決まっている一方で、「コグニザントクラシック」で2位タイになったミンウー・リーも、男子ゴルフの出場枠の1つをほぼ確保。
彼の後ろでは、キャメロン・デービスとキャメロン・スミスが競り合っている。
リー姉弟が出場すれば、「五輪ゴルフ」史上初の姉弟になるが、彼らは「五輪」に一緒に出場した「初の家族」ではない。
ジェシカ・コルダ、ネリー・コルダ姉妹が「2020年東京五輪(2021年に延期)」でアメリカを代表し、ネリーが金メダルを獲得、ジェシカが15位タイだった。
そして、1900年に初めてパリで開催された大会では、マーガレット・アボットが47というスコアで、9ホールの試合に優勝。
彼女の母親のメアリーが10人中で7位に入った。しかし、この初期の「五輪」は混乱しており、5か月にわたって行なわれたため、選手たちはそのイベントが「五輪」の一部であることさえ知らなかったという。
リー姉弟は、メダルを獲得する初のゴルフ姉弟になる可能性があるが、ミンウーの出場は、「全米オープン」の翌日である6月17日に出場選手が確定するまで最終的には決まらない。
現在、豪州男子勢の1位であるジェイソン・デイは、まだ「五輪」への意向を明らかにしていない。
5人の子供の父親である彼は、家族と長い間離れることに消極的だが、「五輪」の2週間前にはスコットランドのロイヤル・トゥルーンで「全英オープン」が開催される。
「パリ五輪ゴルフ」の会場であるル・ゴルフ・ナショナルは飛行機ですぐの距離にあり、今回はもしかしたら出場するかもしれない。
この記事の執筆時点では、リーが豪州男子の2番手だが、2人のキャメロンの可能性もまだある。
「五輪」にどうしても出たい、2人のキャメロン
スミスはLIVゴルフに参加してからランキングが急降下しているが、「五輪ゴルフ」にはぜひとも出場したいと考えている。
「東京五輪」ではわずか1打差で、銅メダルをかけたプレーオフに進めなかったため、今回はリベンジを果たしたいと思っているのだ。
「他の豪州の選手と比べると少し不利な状況だが、ぜひ出場したい」
デービスも「五輪」でプレーしたいと考えており、今年初めにリーと豪州の五輪ユニフォームのフィッティングに参加した。
3月31日時点では、デービスは世界ランキング60位でアダム・スコット(52位)の次につけているが、代表入りを果たすためには「マスターズ」、「全米オープン」、「全米プロ」で上位に入ってポイントを稼がなければならない。
なお、スコットはこれまでに2度、出場を辞退しており、ランキングに関係なく今回も参加することはないだろう。
ル・ゴルフ・ナショナルでの女子ゴルフは、男子ゴルフ終了3日後の8月7日~10日まで開催される。
このタイミングは、翌週に「スコティッシュ女子オープン」、8月22日~25日までセントアンドリュースで「AIG全英女子オープン」が開催されるため、スケジュール的に好都合だ。
そして、ニュージーランドのリディア・コーほど金メダルを望んでいる選手はいないだろう。
彼女はすでに「リオ五輪」で銀メダル、「東京五輪」で銅メダルを獲得しており、「パリ五輪」で金メダルを獲ることで、フルセットを狙っている。
2016年、彼女が「五輪」の金メダルと「全英女子オープン」優勝トロフィーのどちらを獲得したいかを質問されたとき、「絶対に金メダル!」と語っていた。
豪州で「五輪」行きを決めたコロンビア女子選手
3月31日に終了した「ニューサウスウェールズ女子オープン」の結果が、「五輪ゴルフ」の出場者を左右した。
コロンビアのマリアホ・ウリベは2010年から米LPGAツアーに本格参戦しているが、今年で引退する予定だ。
そしてその引退前に3度目の「五輪」出場を目指して頑張ってきた。
しかし彼女の世界ランキングは一時、470位台まで下降。
LPGAでの出場機会がなかなか得られない状況に苦しみながら、彼女はLPGAや、欧州女子ツアーとの豪州での共催試合に出場。
「ニューサウスウェールズ女子オープン」ではイングランドのブロンテ・ロウに1打差で優勝し、世界ランキング217位に浮上。
「五輪」出場可能枠に入った。
2025年に活躍が期待される選手は?
ニュージーランド人の小堀一磨とオーストラリア人のダニエル・ゲイル、ブレット・コレッタは、2023~2024年シーズンのオーストラリア男子ツアーポイントランク上位3人に入り、2025年のDPワールドツアー出場権を獲得した。
同じく2025年に期待したいのは、西オーストラリア州出身の26歳、ヒラ・ナビードだ。
彼女はLPGAツアーの「フォード選手権」で優勝者のネリー・コルダに2打差の2位に入り、大躍進。今季の残りのシーズンにも期待がかかる。
Text/Karen Harding
カレン・ハーディング
(オーストラリア)
メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。