• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. トーナメントレポート >
  3. 【全英オープン】ザンダー・シャウフェレが全英オープンで今季メ...

【全英オープン】ザンダー・シャウフェレが全英オープンで今季メジャー2勝の快挙

The Open 2024年7月18日〜21日/Royal Troon GC/7385Yards・Par71

優勝
Xander Schauffele

ザンダー・シャウフェレ(米国)
1993年10月25日生まれ。2015年プロ転向。PGAツアー9勝(うちメジャー2勝)、欧州ツアー4勝。日本育ちの台湾人の母と、フランス人、ドイツ人のハーフの父の間に生まれる。2021年「東京五輪」金メダリスト。「パリ五輪」9位タイ。©R&A
父のステファンさん(右)は感極まって、今にも泣きそう。母のピンイーさん(奥)も息子の快挙にニッコリ。©GettyImages

今回は、両親を含む「DAY 1メンバー」が集結!
次に目指すのは、グランドスラム達成

最終日、最終ホールで2打目を放つザンダー・シャウフェレ。©R&A

たった3か月で2つのメジャー優勝達成

ロイヤル・トゥルーンで開催された、152回「全英オープン」は、悪天候の最終日に65をマークして、通算9アンダーとしたザンダー・シャウフェレが初優勝。
5月に「全米プロ」でメジャー初優勝を飾ったばかりだが、早くもメジャー2勝目を手にした。
2位タイには、2打差の7アンダーでジャスティン・ローズ、ビリー・ホーシェルが入賞。
シャウフェレは、世界ランキングもローリー・マキロイを抜き、3位から2位に浮上し、30歳8か月26日で、PGAツアー9勝、メジャー2勝を達成した。
なお、同年に「全米プロ」と「全英オープン」で優勝したのは、2014年のローリー・マキロイ以来、10年ぶりの快挙。

「全英オープンで優勝することを、ずっと夢見てきた。黄色いリーダーボードと、ファンのスタンディングオベーションを見ながら18番を歩くのは、本当に最高だ。歩いている時に鳥肌がたったよ」

最終日は、ジャスティン・ローズやスリストン・ローレンスらが入れ替わり立ち替わり首位に立つ中、バック9で4つバーディを取ったシャウフェレがリーダーボードの一番上に浮上。
ローズも5バーディ、1ボギーと健闘したが、シャウフェレの盤石なプレーの前に敗れ去った。
通常、メジャーで1勝を挙げるのは難しく、2勝目はさらに難しいと言われているが、シャウフェレは通常通りに冷静なプレーぶりで、最終日は終始ピンチに陥ることもなかった。
6バーディ、ノーボギーの65というスコアが、その証だ。

「(2勝目を挙げるのも)非常に難しかった。でも最初の勝利(『全米プロ』での勝利)が、今日のバック9で大いに役に立った。ある種の冷静さを持って戦うことができ、この試合で最も難しいバック9で大いに助けられた」

「ミスをかなり抑え込んだことが、今週最もうまくやったこと。自分でやろうとしていたことの多くをコントロールできた」

「同年にメジャーで2勝するなんて、夢のよう。1勝するのに時間がかかったが、今や2つも勝つことができて、格別」とシャウフェレ。
最終日のラウンドは、今まででプレーした中で最高のラウンドだった、と語った。

初めて両親が、メジャー優勝の瞬間に立ち会い、涙

「全米プロ」では両親が不在の中、メジャー初優勝を飾ったが、今回は父のステファンさん、母のピンイーさん。
そしてマヤ夫人、兄、叔父と、チーム・シャウフェレのほぼ全員が見守る中で勝利を達成した。

「僕を最初から支えてくれた人たちが、みんなここにいる。今夜は素晴らしい夜になるだろう。僕は13歳頃にゴルフを真剣にやると決心し、15~16歳の時に、本当に父とやりたいことや、目標について話し合った。父と一緒に、他の選手がメジャーで勝つのを見てきたんだ。『全英オープン』でプレーするまで、選手たちが18番ホールを歩く姿を毎年観てきたし、それは僕と父の二人がずっと夢見てきたこと」

ステファンさんは、シャウフェレにとって父であり、コーチであり、メンターでもある。
優勝直後、ステファンさんのサングラスの奥には涙が溢れていたが、欧州人の彼にとって、「全英オープン」で息子が優勝することほど、嬉しいことはないだろう。
しかも、クラレットジャグに酒を入れて、初めて飲み干せる特権を、親孝行な息子が譲ってくれた。

「過小評価されているのは、ザンダーのメンタルの強さ」ジャスティン・ローズ

最終組から3組前でジャスティン・ローズ(左)とプレーしていたシャウフェレ。©GettyImages
キャディのオースティン・カイザー氏(左)は、シャウフェレの学生時代からの親友で、デビュー以降ずっとバッグを担いできた。「(18番で)黄色いリーダーボードを見上げた時、オースティンと優勝の瞬間を共有すべきだと思った」とシャウフェレ。©GettyImages
シャウフェレ(中央)は、「2つのメジャーに勝てて、夢のようだ」とクラレットジャグを手に語った。©R&A

シャウフェレの強さの秘密は優れた技術とメンタル

シャウフェレは「優勝は結果に過ぎない」と言うモットーを、今大会の優勝直後も語っていた。

「クラレットジャグを手にするのは素晴らしいが、それも結果に過ぎない。時にはうまくいき、特にはうまくいかないこともある。今日は多くのことがコントロールでき、優勝を手放すつもりは毛頭なかった。過去の厳しい敗北や、バック9で優勝を早く夢見て失敗した瞬間に比べて、今日はそうならないように自分を引き戻すことができた」

同組でプレーしていたジャスティン・ローズは、シャウフェレの強さをこう分析する。

「彼は最高の状態にあり、チャンピオンになるための全ての要素を持っている。パワーがあり、ウェッジがうまく、パットもうまい。遠くに飛ばすこともできるし、アイアンもうまい。だが、彼の最も評価されていない点の一つは、メンタリティの強さ。彼は非常に冷静な選手で、自分の思い通りのプレーができているように見える」

ゴルフもうまく、メンタルも強い。
そして、優勝は結果に過ぎない、と次の目標へ頭をすぐに切り替えて、さらなる高みを目指すシャウフェレにとって、次なる目標は、「グランドスラム達成」だ。
まずは来年の「マスターズ」での勝利を目指すが、そこでどんなプレーを見せるのか、今から楽しみだ。

2024全英オープン 最終成績

優勝ザンダー・シャウフェレ−9
2位ジャスティン・ローズ
ビリー・ホーシェル
−7
4位スリストン・ローレンス−6
5位ラッセル・ヘンリー−5
6位シェーン・ローリー−4
7位ジョン・ラーム
イム・ソンジェ
スコッティ・シェフラー
−1
10位マシュー・ジョーダン
アダム・スコット
ダニエル・ブラウン
E
16位コリン・モリカワ+2
43位ブルックス・ケプカ+8
60位フィル・ミケルソン+11
66位松山英樹+12

予選落ち/桂川有人、川村昌弘、久常涼、
星野陸也、木下稜介、中島啓太、岩﨑亜久竜、ローリー・マキロイ、タイガー・ウッズ、トミー・フリートウッド、ルドビグ・オーバーグ、ブライソン・デシャンボー

Text/Eiko Oizumi
Photo/Eiko Oizumi, R&A, USGA, LET, Getty Images

関連する記事