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【全英オープン】日本人の全英オープンを振り返る!松山英樹が苦しみながらも予選通過

今年の「全英オープン」には8名の日本人が出場し、松山英樹のみが予選通過を果たした。
彼らのコメントから、今大会を振り返る。

「苦しいラウンドは続いたが、 予選通過できたのは良かった」
松山英樹(+12/66位タイ)

最終日は2バーディ、5ボギーとスコアを落とし、66位タイで終了した松山。©GettyImages
クラブハウスが奥に見える、18番ホールのセカンドショットを放つ松山。©IGF

2016年にロイヤル・トゥルーンでプレーした時は、予選落ちに終わった松山だが、今回は日本人で唯一の予選通過者に。
通算12オーバーの66位タイという結果に終わった。

「今日(最終日)こそアンダーパーで回りたかったが、後半でまたうまくいかなかった(バック9でノーバーディ、4ボギー)。前回ここに出た時は予選落ちだったので、今回は予選を通れて良かったな、と。4日間やってみると、このコースに通用しなかったというところで、苦しいラウンドが続いたが、いいものも多少出てるかな、と思うので、それをしっかり次に繋げていきたい」

特にパッティングは重点的にやらないといけない、と語っていたが、早速次の「パリ五輪」では銅メダルを獲得。
ショットもパットも調整し、言葉通りに「次に繋げた」松山だった。

「情けない結果で悔しい」
中島啓太(+17/予選落ち)

今年で3回目の「全英オープン」出場を飾った中島。©Eiko Oizumi

アマチュア時代も含めると、「全英オープン」3回目、メジャー6試合目となった今年の「全英オープン」。
だが、またしても予選通過を果たすことはできなかった。
過去、メジャーで予選通過したことはない。

「結果が全て。日本で応援してくれている人に対して、情けないというか、だらしない結果となってしまった。悔しい」と涙声で語った。
かつては世界アマチュアランキング1位に君臨していた中島。
今年は欧州ツアーで1勝し、期待も高まっていたが、メジャーの予選通過を、来年こそは達成してほしい。

「自分の番が来ると信じて どんどん成長していきたい」
桂川有人(+7/予選落ち)

目澤秀憲コーチ(左)には、主にショートゲームをチェックしてもらっているという桂川。©Eiko Oizumi

今年の4月に欧州ツアー・日本ツアー共催の「ISPS HANDA欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」で優勝し、欧州ツアーメンバーとなった桂川。
過去、メジャーでは全て予選通過を果たしてきたが、今回は1打差で予選落ちを喫した。

「得意なショットが、なかなか冴えず、苦しかった。グリーンを外しても耐えてパーを拾うことも多かったんで、そういう意味ではいい経験になった。これで終わりではないので、どんどん成長していければ、今回の予選落ちもそんなに悪いものではない」

現在、欧州ツアーを転戦しているが、なかなか好成績を残せず、自信喪失気味だと語る桂川。
欧州ツアーの先輩、川村昌弘に「悪い時は悪いで耐えながら、自分の番も必ずくると信じて、その時を待ちながら課題をやっていくしかない」と教えられているという。
先輩の言葉を胸に刻み、予選落ちをしても前を向きながら、シーズン後半のビッグイベントに向けてラストスパートをかける。

「欧州ツアー後半戦でまずは1勝したい」
星野陸也(+10/予選落ち)

春先に「気胸」で約1ヶ月間、試合を欠場した星野は、6月中旬の「全米オープン」から試合に復帰。©R&A

「カタールマスターズ」で欧州ツアー初優勝し、レース・トゥ・ドバイランキング(欧州ツアーのポイントランキング)で現在9位につけている星野。
春先に「気胸」を患い、手術も行なったが「全米オープン」から復帰し、現在は欧州ツアーを転戦する日々を送っている。

今回の「全英オープン」では予選落ちに終わったが、「(スコティッシュオープンと)2試合連続で予選落ちをして悔しいが、基本的な感覚が戻ってきたことがすごく嬉しかった」と第2ラウンドをホールアウトした星野は語った。

「全米オープン」参戦時は、ショットの感覚が戻っていない、体とスイングが連動していない、と語っていたが、試合をこなすうちに徐々にその違和感はなくなりつつあるようだ。

欧州ツアーポイントランキングのトップ10入り(有資格者は除く)を果たすことで、来年からはPGAツアーに本格参戦が可能になるが、星野は4番手につけている。
11月の最終戦までの中で「あと1勝したい」ときっぱり語った。

33歳の誕生日を迎えた木下
「30代のうちはまだ世界で戦えるチャンスがある」
木下稜介(+10/予選落ち)

海外選手との実力差を痛感し、改めて研鑽する必要性を感じた木下。©R&A

練習日に33歳の誕生日を迎えた木下は、海外ツアーへの想いを改めて口にした。

「世界のトップが集まる試合なので、気も引き締まるし、自分の力を試せる一番のフィールドだと思う。不安もあるが楽しみ」

「30代のうちは、まだ世界で戦えるチャンスはあると思っている。30代後半になると飛距離の差を痛感する場面も増え、厳しいかなと思うが、正確性があれば戦えると思う。アメリカでもやりたいという気持ちは、まだ消えていない」

2021年「全英オープン」に出場した時は、初メジャーで予選通過を果たし、59位タイで終了。
今回で2回目の「全英オープン」出場だったが、予選落ちに終わった。

「全てが足りなかった。全てを磨いてこないと、ここでは通用しない。すごく悔しい」

 メジャー初出場で2日目20オーバー
「上がれる気がしなかった」
岩﨑亜久竜(+23/予選落ち)

第2ラウンドの最終ホールでティーショットを紛失し、打ち直しに戻った。結局このホールを7とし、トリプルボギーを叩いた。©Getty Images
松山英樹と練習ラウンドをした岩﨑。17番・パー3で打った2発が左右に曲がり、思わず苦笑いを浮かべた。©Eiko Oizumi
ギャラリーから「もう1発打て!」と言われ、3球目にしてグリーンオン。ガッツポーズをして、周囲を沸かせた。©Eiko Oizumi

昨年「日本オープン」で優勝し、「全英オープン」出場権を獲得した岩﨑だが、彼にとって人生初の海外メジャー。
大会前には「緊張してしょうがない。コースは難しいし、日本の最終日よりも練習日の方がギャラリーが多くて怖い」と初出場らしいコメントをしていた。

初日は午後4時過ぎの最終組で回り、終盤は暗くてラインもよく見えなかったというが、3オーバーの終了。
初出場で予選通過に期待がかかったが、2日目は4ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーの他、パー4とパー3でそれぞれ9を叩き、アウト39、イン52の91。
通算23オーバーの最下位で終えた。

「上がれる気がしなかった。ショットが本当におかしくて、コントロールできなかった。ハーフ50台を打ったのは、いつ以来かもわからない。苦しかった」と振り返った。

スコアを数えないことが我慢のゴルフでの秘訣
川村昌弘(+8/予選落ち)

昨年は、欧州ツアーでよく練習ラウンドをしたり、食事に行ったという川村(中央)と久常涼(左)。©Eiko Oizumi

全英オープンの予選会を勝ち抜き、人生3回目のメジャーに挑戦した、欧州ツアーメンバー6年目の川村。
2018年「全英オープン」で39位タイに入っているが、ここ最近は欧州ツアーでも最下位の方で予選落ちをし、苦しい日々を送っているという。
そんな時でも「しょうがない。こんな時もある。待つしかない」とやり過ごせるのが川村の真骨頂だ。

さて今回、初日は1オーバーで耐えたものの、2日目で7つスコアを落とし、通算8オーバーで予選落ちとなった。

「今日はうまくいかない日になっちゃいましたね。でも一発も悩んだショットはなく、しっかり決めて打っていた。ロングパットが一発入ってくれれば、流れが変わって違う展開になったかもしれないですけど、惜しかったです」と語った。

8月には、昨年海外で知り合った日本人女性と結婚した31歳の川村昌弘。
新しい家族を迎えたが、彼の世界遠征の旅はこれからも続く。

「もう少しリンクス経験を積まないといけない」
久常 涼(+9/予選落ち)

「全英オープン」初出場を果たした久常。©Eiko Oizumi
練習日は中島啓太、岩﨑亜久竜、久常涼という3人のテーラーメイド契約選手が一緒にラウンド。メジャー仕様バッグには、鉄道のレール(11番ホールの横にあることから、11と書かれている)があしらわれ、ロイヤルパープルとゴールドの王室の格調高い色が採用されている。©Eiko Oizumi
名物ホールのポステージスタンプ(切手・8番ホール)とテーラーメイドのロゴが交互に施され、「TAM ARTE QUAM MARTE(力と同じくらい技巧にも)」というロイヤル・トゥルーンのモットーがハンドルに刺繍されている。©Eiko Oizumi

今年は主戦場がアメリカで、欧州に来るのは久しぶりという久常は、初めてのスコティッシュリンクスに戸惑い、「求められるゲームが違うから、より対応力が求められる、柔軟にプレーできればいい」と大会前に語っていた。
しかし試合が始まるとなかなか思うようにいかなかったようで、通算9オーバーで予選落ちに終わった。

「準備不足を感じた。この半年間、ずっとアメリカでプレーしてきたが、欧州に戻り、2週間、スコットランドのプレーに対応できず、今週も2日間で終わってしまった。機会があれば、もう少しこういうリンクスコースで準備ができればいい」

今年の久常のメジャーでの成績は、「マスターズ」「全米プロ」「全英オープン」と3戦出場し、「全米プロ」1試合で予選通過(18位タイ)という結果となった。
昨年の欧州ツアー・最優秀新人賞を獲得した久常。
来年以降のビッグステージでの活躍を期待したい。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Eiko Oizumi, R&A, USGA, LET, Getty Images

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