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【世界のゴルフ通信】From Australia NZのリディア・コーの偉業!3大会で金銀銅メダルをコンプリート!!

五輪ゴルフの価値を証明したリディア・コー

2024年パリ五輪・金メダル

金メダルはリディア・コー(ニュージーランド)、銀メダルはエスター・ヘンゼライト(ドイツ)、銅メダルはリン・シユ(中国)が獲得。©IGF

2016年リオ五輪・銀メダル

金メダルはパク・インビ(韓国)、銀メダルはリディア・コー(ニュージーランド)、銅メダルはフォン・シャンシャン(中国)が獲得。©GettyImages

2021年東京五輪・銅メダル

金メダルはネリー・コルダ(米国)、銀メダルは稲見萌寧(日本)、銅メダルはリディア・コー(ニュージーランド)が獲得。©GettyImages

2016年の「リオ五輪」でゴルフが五輪競技に復活する前、リディア・コーはまだ10代だった。
しかし、彼女は世界ランキング1位になり、85週連続でトップに君臨。人々は彼女の声に耳を傾けた。

世界トップクラスの男子選手のほとんどが、112年ぶりのゴルフの五輪復活を支持しなかった中で、コーは成熟した態度、熱意、そして知恵を持って、五輪の金メダルを獲得することが、「全英女子オープン」での勝利よりも価値があると公言した。
彼女は金メダルにはあと一歩届かず、パク・インビに次ぐ、銀メダルを獲得したが、五輪に対する彼女の支持は、歴史的に正しい選択だったことが証明された。
2024年までには、男女を問わず、ほぼ全てのトッププロたちが五輪ゴルフを支持するようになった。
男子の優勝者で、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーが表彰台で涙を流したことがその証拠だ。

そしてその1週間後、涙を流す番がコーに訪れた。
彼女ほど勝利にふさわしい人はいなかった。
ル・ゴルフ・ナショナルでの2打差の勝利により、リオでの銀メダル、東京での銅メダル、そしてパリでの金メダルというメダルのフルセットを達成しただけでなく、LPGA殿堂入りを果たし、ニュージーランドと豪州のゴルフ界における象徴としての地位を確立することにもなった。

なお、豪州女子チームのハナ・グリーンはメダル獲得の可能性もあったが、初日の5オーバーという不調もあり、最終的にはメダルに1打届かず、4位タイで終了。
ミンジー・リーは22位タイに終わった。
男子は、ミンウー・リーが初日は振るわなかったものの、その後は少しずつ順位を上げ、22位タイでフィニッシュ。
一方、ジェイソン・デイはメダル圏内にいたものの、最終的には9位タイという成績に終わった。

豪州男子代表のミンウー・リー(左)とジェイソン・デイ。©Eiko Oizumi

「ISPS HANDA豪州オープン」
今年はメルボルンで開催

昨年の「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」はシドニーで行なわれ、男子はホアキン・ニーマン(中央)、女子はアシュリー・ブハイ(右)、オールアビリティは、ラクラン・ウッドが優勝。©Golf Australia

豪州ゴルフ界にとってもう一つ重要なニュースとして、ゴルフ・オーストラリアは、ISPS HANDAと提携して、国内のメジャーの男子、女子、そしてオール・アビリティーズ(障害者)という独自の形式を再び採用し、今年11月に3年連続で3大会を同時開催することになった。

2024年の「ISPS HANDAオーストラリアンオープン(以下、全豪オープン)」は、11月28日~12月1日まで、メルボルンの世界的に有名なサンドベルトコースである、キングストン・ヒースとビクトリアGCで共同開催される。
隣接する2つのクラブが予選の2ラウンドを分担するのは、3年で2回目。
2022年にはビクトリアGCで決勝の2ラウンドが行なわれたのに対し、今回はキングストン・ヒースがその舞台となる。

ダン・スーターが設計したキングストン・ヒースは、常に世界のゴルフコース・トップ20にランクインしており、過去に7回、男子の「オーストラリアンオープン」を単独で開催。
2000年にアーロン・バデリーが2度目の国内メジャータイトルを獲得した。
また、2008年に1度、「オーストラリアン女子オープン」が開催され、カリー・ウェブが5つの国内メジャータイトルのうちの4勝目を達成した。

なお、今年の大会は、2028年にキングストン・ヒースで開催される「プレジデンツカップ」のリハーサルも兼ねている。
キングストン・ヒースは、2016年の「ワールドカップ」の舞台にもなった。

昨年はシドニーのオーストラリアンGCで、チリのホアキン・ニーマン、南アフリカのアシュリー・ブハイ、豪州のラクラン・ウッドがそれぞれのトロフィーを掲げた。
2023年大会は成功に終わり、観客数とテレビ視聴者数が増加。
今年も156人の男子選手、84人の女子選手、12人の障害者ゴルファーが出場する。
男子および女子のフィールドは、36ホール終了後に一度予選カットが行なわれ、予選通過した全選手には賞金が支給される。
男女プロは、最終順位ごとに男女同額の総額340万ドルの賞金を分け合う。
また、「オーストラリア障害者選手権」は3日間競技で土曜日に終了する。

2024年は、男子の「全豪オープン」開催120周年と、女子の「全豪オープン」開催50周年という記念すべき年にあたる。
オーストラリア女子PGAツアーのCEOであるカレン・ラン氏は、この統合形式は世界トップ10の選手であるハナ・グリーン、ミンジー・リー、そして2024年「アムンディ・エビアン選手権」で2位に入ったステファニー・キリアコウを筆頭とする豪州女子選手の実力の高さを示す素晴らしい方法だと語った。

男子オープンは、今年もDPワールドツアーとの共催となり、その前週にロイヤルクイーンズランドで開催される「BMWオーストラリアンPGA選手権」と共に、3年連続でツアーの新シーズンの幕開けを豪州で飾る。
LIVゴルファーのニーマンは、「全豪オープン」が「全英オープン」の予選試合であるため、出場を急遽決めたが、世界ランキングが下落している他のLIVゴルファーたちも、今年は豪州にやってくるかもしれない。

豪州の元プロがR&Aシニア女子アマで優勝

2024年「R&Aシニア女子アマ」で優勝したナディーン・ゴール(左)と「R&Aシニアアマ」で優勝した米国のトッド・・ホワイト。(Photo/R&A)

元プロゴルファーのナディーン・ゴールが、「R&Aシニア女子アマチュア選手権」で豪州人初の優勝を果たした。

ゴールは、2人の子供を育てるためにゴルフを20年間休んだが、アマチュアの地位を取り戻し、世界ランクイベント25試合のうち、14勝という驚異的な成績を収めた。

2023年にゴールは、オーストラリアの6つの州全ての試合と「全豪アマチュア選手権」で優勝。ニュージーランドとスコットランドでも優勝している。

Photo/Eiko Oizumi, IGF, Golf Australia, R&A

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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