松山英がポイントリーダー
世界選抜チーム26年ぶり2回目の優勝の行方
2024年9月26日〜29日/ロイヤル・モントリオールGC(カナダ・ケベック州)
7413ヤード・パー70
「ライダーカップ」と交互に開催される米国選抜VS世界選抜による、2年に一度のゴルフの祭典「プレジデンツカップ」。
今年は松山英樹も属する世界選抜にとってホームのカナダ・モントリオールで開催された。
過去12勝1敗1分けという、圧倒的な強さを誇る米国選抜に対し世界選抜はどのように立ち向かっていったのか?
今年の大会を振り返ってレポートする。
米国選抜チーム
7ポイント差をつけて通算13勝目!
カナダのジャスティン・トルドー首相も表彰式に登場!
アウェイの地で世界選抜を応援するギャラリーが圧倒的に多い中、米国選抜が7ポイント差をつけて優勝。
通算13勝目を達成した。
今年の米国選抜の勝因は、何だったのだろうか?
まさかの2日目全敗
それでも7点差で勝利
前回の2022年は米国のクエイルホロークラブで開催され、米国選抜17・5ポイント、世界選抜12・5と5ポイント差で12勝目を挙げた米国選抜。
今年は、世界選抜にとってホームのカナダ開催とあり、「26年ぶりの2勝目を!」と選手も地元のゴルフファンも大いに期待していたが、今年はさらにポイント差を広げ、7ポイント差で米国選抜が優勝。通算13勝目(10大会連続優勝)を飾った。
1日目に行なわれたフォーボールでは、米国選抜が5戦全勝を挙げ、「今年もまた米国が優勝なのか」というムードが初日から漂ったが、2日目の「フォーサム」では、なんと世界選抜が5戦全勝。
過去、2人で1つのボールを使って戦う「フォーサム」が苦手だった世界選抜にとっては快挙であり、5ポイントを獲得して米国選抜との戦いは振り出しに戻った。
だが、3日目、4日目を米国選抜は優位に運び、3日目を終えた時点では、米国選抜11ポイント、世界選抜7ポイントと、4ポイント差に。
本大会は15・5ポイントを獲得すれば優勝するが、最終日のシングルス戦(全12ポイント)を前に、米国はあと4・5ポイント獲得すれば優勝、という状況まで持ち込んだ。
初日の「フォーボール」で全勝した米国選抜が2日目の「フォーサム」で全敗という珍事
11年ぶりに出場したキーガン・ブラッドリーが米国優勝を決めた奇跡
11年ぶりに大会に出場したブラッドリーが米国選抜優勝を決めた
シングルス戦のトップバッターはザンダー・シャウフェレ(米国)とジェイソン・デイ(世界)の2人が務めたが、シャウフェレが終始有利にゲームを進め、4&3で勝利。
優勝に向けて、あと3・5ポイントとした。
3組目でスタートした、米国選抜No・1のスコッティ・シェフラー、世界選抜No・1の松山英樹との注目の一戦は、最終ホールまでもつれ、松山が「死ぬほど手が震えた」という1メートルのパーパットを沈めて1UPで勝利。
ポイント獲得に貢献したものの、6組目のキーガン・ブラッドリー(米国)VSキム・シウー(世界)のマッチでは、ブラッドリーが1UPで勝利し、米国選抜の優勝が決まった。
11年ぶりの出場で、米国選抜の勝利を決めたブラッドリーは、「本当に信じられない。もう二度と出ることがないと思っていたこの大会に出場して、さらにポイントを勝ち取ることができたなんて、なんてことだ! まだ自分には、できることがあるとわかったよ。本当におとぎ話のようで、映画みたいだ。今朝、ロッカールームを歩いている時、吐きそうになるほど緊張していた。でも今日の自分のプレーには誇りを持っている。今回のチームルームは本当に最高だった」と語った。
2026年大会はシカゴで開催
次回の「プレジデンツカップ」は、シカゴのメダイナGCで2026年に開催される。
米国での戦いは、大きなUSAコールがコース内でこだまし、米国びいきの応援が激しく行なわれるため、ホームでの戦いとなる米国選抜にとっては非常に有利となる。
一方、世界選抜にとってはナイスショットをしても、ホールマッチで勝利しても、ブーイングの嵐となり、失敗すると拍手が起きる過酷な1週間となる。
技術面というよりも、メンタル面でのコントロールが大事な1週間となるだろう。
PGAツアーとLIVゴルフが統合するという発表が昨年の6月にあったにもかかわらず、こうしたPGAツアー主催の大会ではなんの変化も起こらず、今回の「プレジデンツカップ」でもLIVゴルファーたちは参加できずに終わった。
次回の「プレジデンツカップ」までに具体的な統合策がまとまり、彼らの出場は可能になるだろうか?
今のところ予測もできない状況だが、もし可能になった時に、世界選抜にはキャメロン・スミス(豪州)やホアキン・ニーマン(チリ)、など、かつて世界選抜メンバーだった選手達が戻ってくる可能性もあり、米国はブルックス・ケプカ、ブライソン・デシャンボー、パトリック・リード、ダスティン・ジョンソンらが出場する可能性もある。
2年後の本大会が、どのように変化を遂げているか、世界選抜が今回の結果をもとにどのような戦略で次回に臨み、連敗の記録を止めるのかにも注目が集まる。
2024プレジデンツカップ 全成績
米国選抜 18.5 :11.5 世界選抜
●1日目 フォーボール
(1チーム2人で、それぞれ自分のボールでプレー。いい方のスコアを採用)
米国5勝:世界0勝
X・シャウフェレ&T・フィナウ 1UP J・デイ&A・ビョンフン
C・モリカワ&S・シガーラ 1UP A・スコット&M.W.リー
S・シェフラー&R・ヘンリー 3&2 I・ソンジェ&T・キム
W・クラーク&K・ブラッドリー 1UP T・ペンドリス&C・ベゾイデンハウト
P・キャントレー&S・バーンズ 2&1 松山英樹&C・コナーズ
●2日目 フォーサム
(1チーム2人で、1つのボールを交互にプレー)
米国0勝:世界5勝
P・キャントレー&X・シャウフェレ 7&6 松山英樹&I・ソンジェ
S・シガーラ&C・モリカワ 5&4 A・スコット&T・ペンドリス
M・ホーマ&B・ハーマン 1UP C・ベゾイデンハウト&J・デイ
W・クラーク&T・フィナウ 6&5 C・コナーズ&M・ヒューズ
S・シェフラー&R・ヘンリー 1UP K・シウー&A・ビョンフン
●3日目 フォーボール
米国3勝:世界1勝
S・シェフラー&C・モリカワ 2&1 A・スコット&T・ペンドリス
T・フィナウ&X・シャウフェレ 3&2 C・コナーズ&M・ヒューズ
K・ブラッドリー&W・クラーク 4&3 K・シウー&T・キム
P・キャントレー&S・バーンズ 2&1 松山英樹&I・ソンジェ
●3日目 フォーサム
米国3勝:世界1勝
S・シェフラー&R・ヘンリー 3&2 松山英樹&I・ソンジェ
B・ハーマン&M・ホーマ 2UP A・スコット&T・ペンドリス
C・モリカワ&S・バーンズ 1UP C・コナーズ&M・ヒューズ
P・キャントレー&X・シャウフェレ 1UP K・シウー&T・キム
●4日目 シングルス
米国6勝 世界3勝 3引き分け
X・シャウフェレ 4&3 J・デイ
S・バーンズ 引き分け T・キム
S・シェフラー 1UP 松山英樹
R・ヘンリー 3&2 I・ソンジェ
P・キャントレー 3&1 T・ペンドリス
K・ブラッドリー 1UP K・シウー
T・フィナウ 5&3 C・コナーズ
W・クラーク 引き分け M.W.リー
S・シガーラ 引き分け A・ビョンフン
C・モリカワ 2&1 A・スコット
B・ハーマン 2&1 C・ベゾイデンハウト
M・ホーマ 2&1 M・ヒューズ
◉なんでもランキング
❶無敗&無勝のプレーヤー
無敗/なし
無勝/ブライアン・ハーマン
❷最多出場
アダム・スコット(11回)
❸ルーキー数
米国4人(ラッセル・ヘンリー、サヒス・シガーラ、ウィンダム・クラーク、ブライアン・ハーマン)
世界2人(マッケンジー・ヒューズ、ミンウー・リー)
❹世界ランキング平均(トップの選手)
米国:12.42位(スコッティ・シェフラー1位)/世界:34.42位(松山英樹7位)
❺平均年齢
米国:29.6歳 世界:28.8歳
❻最年少出場
2009年 石川遼(18歳24日) 3勝2敗
2011年 石川遼(20歳2ヶ月3日) 2勝2敗
2013年 ジョーダン・スピース(20歳2ヶ月29日)2勝2敗
2022年 トム・キム(20歳3ヶ月1日) 2勝3敗
◉プレジデンツカップヒストリー
米国13勝 : 世界1勝 1引き分け
1994年 米国20 : 世界12 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
1996年 米国16.5 : 世界15.5 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
1998年 世界20.5 : 米国11.5 ロイヤル・メルボルンGC(豪)
2000年 米国21.5 : 世界10.5 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
2003年 世界17 引き分け 米国17 ファンコートホテル&CC(南ア)
2005年 米国18.5 : 世界15.5 ロバート・トレントジョーンズGC(米)
2007年 米国19.5 : 世界14.5 ロイヤル・モントリオールGC(加)
2009年 米国19.5 : 世界14.5 ハーディングパークGC(米)
2011年 米国19 : 世界15 ロイヤル・メルボルンGC(豪)
2013年 米国18.5 : 世界15.5 ミュアフィールドビレッジGC(米)
2015年 米国15.5 : 世界14.5 ジャック・ニクラス・コリア(韓)
2017年 米国19 : 世界11 リバティナショナルGC(米)
2019年 米国16 : 世界14 ロイヤル・メルボルンGC(豪)
2022年 米国17.5 : 世界12.5 クエイルホロークラブ(米)
2024年 米国18.5 : 世界11.5 ロイヤル・モントリオールGC(カナダ)
Photo/Eiko Oizumi、Getty Images
Text/Eiko Oizumi
大泉英子
「ゴルフ・グローバル」編集長。海外メジャー取材は男・女・シニア合わせて130試合以上。現在も海外ツアーをメインに取材。全米ゴルフ記者協会、欧州ゴルフ記者協会、日本ゴルフジャーナリスト協会会員。