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開幕戦「ザ・セントリー」で、PGAツアー史上最小スコア
の35アンダーを記録。ツアー11勝目を飾った松山英樹

Text & Photo/Eiko Oizumi

優勝トロフィを掲げて、満面の笑みを浮かべる松山英樹。

 

 PGAツアー開幕戦「ザ・セントリー」の最終日が、マウイ島のカパルア・プランテーションコースで行なわれ、4日間で通算35アンダーとPGAツアー史上最小スコアをマークした松山英樹が、ツアー11勝目を飾った。9勝目を挙げた際に、それまでアジア勢で最多優勝記録を保持していたKJチョイの8勝をすでに上回っているが、アジア人選手の優勝記録を自ら更新した。また、今回の優勝で360万ドル(約5億7000万円)という高額賞金を獲得し、世界ランキング5位に浮上。フェデックスカップランキングでは1位に躍り出た。

「すごく嬉しい。ハワイで2つとも勝ちたいと思っていたので、勝ててよかった」

 松山は2022年大会で、ラッセル・ヘンリーとのプレーオフを制して「ソニー・オープン・イン・ハワイ」で優勝しているが、「ザ・セントリー」と合わせてハワイ2試合で優勝しているのは松山で7人目だ。そして、35アンダーという歴史的スコアをマークしたことについて、松山は

「(PGAツアー最小スコア記録が)34か35かわからなかったが、35だったら確か、記録だろうな、と思ったんで、そういうことを考えながらやったら入らないんだろうな、と思いながら打ったら入った」

と語った。このスコアを出せた要因として、「目線のズレの調整」があると、黒宮幹仁コーチは説明する。

「昨年、スイングを組み立てる中で、アラインメントの違和感が4〜5回あって、オフにアラインメントの見直しから、スイングをもう一回作ってみようということになった。それを12月頭に電話で話したんです」

 ハワイへは大会前週から入り、アラインメントや、目線のズレ、スイングなどのすり合わせを行なったが、その結果、松山が好感触を抱き、もともと目指していた23歳の時のフィーリングにも近くなってきたのだという。「練習場とコースの目線のズレ(差)も少ないので、やりやすい」という話もあり、ショットからパターまで調整した結果、「いろいろ辻褄があってきた」のだそうだ。

 そして、大会初日を終えた時、練習場で「久しぶりにゴルフが楽しくなってきた」とポロリ。優勝に向けて、技術面、メンタル面も整い、連日好スコアを連発していた。

「パター、ウェッジ、ショットまで全部揃ってきたから、やることが少なくなり、集中できる。よりいい方向に集中力が使えるから、風や傾斜地などのいろんなロケーション、状況の中で最もショットをコントロールできた選手、になれたという感じですね」(黒宮コーチ)

 また、クリスマスの後で入手したという、スコッティ・キャメロンのセンターシャフトの「009Mツアープロトタイプ」を初めて投入したことも、大きな話題となった。アイアンの精度の高さと比較して、「パットが……」とグリーン上のパフォーマンスが課題と言われがちだが(黒宮コーチ曰く、『アイアンがうまい選手だから、パターにフォーカスされがちだけど、そもそもパターは下手ではない』)、この4日間はパッティングが冴え、バーディを量産。「他の人が使っているのを見て、自分も同じものをオーダーした」と松山は語っているが、参考までにパターの名手と言われるジョーダン・スピースも、同モデルを使用している。

 「決して体調は万全ではなく、アイアンショットもあまり調子がいいわけではなかった」と優勝会見で語っていたが、35アンダーという驚異的なスコアを記録し、コリン・モリカワとの一騎打ちを制した松山の「ハマった時の強さ」を、ゴルフファンだけでなく、ツアーのプロ仲間も改めて実感したに違いない。

松山とは3打差の、32アンダーでホールアウトしたコリン・モリカワと握手を交わす松山。
早藤将太キャディは「お年玉をありがとうございます」と感謝の意を伝えると、松山も思わずニッコリ。
PGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏(右)と。
優勝後の恒例行事「チームでセルフィー」。
優勝会見後まで残っていたファンたちに、写真撮影やサインをサービスする松山。
最終日の3番ホール(パー4)では、チップインイーグルを決めた。

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