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【世界のゴルフ通信】From Korea ゴルフ界で元気な韓国企業!ゴルフへの投資がますます盛んに

国外進出が目覚ましいCJグループ。キム・シウー(写真)やイム・ソンジェの他、韓国人女子プロの支援にも力を入れている。©︎PGA TOUR
現在、PGAツアーの試合で年に2回、スポンサーを務めているジェネシス。写真はDPワールドツアーとの共催試合「ジェネシス・スコティッシュオープン」に出場したコリン・モリカワ。©︎PGA TOUR
松山英樹が今年の2月、米ツアー9勝目を挙げた高額賞金のシグネチャーイベント「ジェネシス招待」。©︎PGA TOUR

PGAツアー2試合でスポンサーを務めるジェネシス

最近、ホンダやZOZOなど、日本企業がPGAツアーのスポンサーから撤退している。
一方で、韓国は、スポンサーを務める試合数が増加中だ。
韓国最大のスポンサー企業はジェネシス。
ジェネシスは、タイガー・ウッズが主催するPGAツアー「ジェネシス招待」のスポンサーを務めており、かなり高額の資金が投入されている。
2024年までに「ジェネシス・スコティッシュオープン」が3回開催されているが、今年、フランスや他国から100台以上の車両をイギリスに輸送し、選手の移送に使った。
この動きは、「スコティッシュオープン」の継続と、イギリス市場でのシェア拡大を目指すものである。

「スコティッシュオープン」は、ジェネシスがスポンサーを務めるようになって大きく様変わりした。
以前は、主にDPワールドツアーの選手がこの試合に出場していたが、現在は、PGAツアーとの共催となり、賞金総額も800万ドルから900万ドルにアップ。
スコットランドのノース・ベリックにあるルネッサンスクラブは、ジェネシスによって注目されるようになり、特に韓国ではその関心度が高まっている。

ジェネシスの進出は、これだけにとどまらない。
韓国で開催されていたDPワールドツアーとKPGAツアーの共催試合「韓国選手権」を廃止し、KPGAツアー唯一の大会だった「ジェネシス選手権」を今年からDPワールドツアーとの共催に変更したのだ。
このスポンサーシップによって、ジェネシスは3大会のスポンサーを務めることに。
3大会の賞金総額は3300万ドルとなり、運営費を加えると、費用は莫大な額に上る。

韓国国内でも、KPGAツアーの選手の年間獲得ポイントは、「ジェネシスポイント」、表彰式は「ジェネシスアワード」と呼ばれているように、KPGAツアーのスポンサードも行なっている。

米国開催にすることで大成功を収めたCJ

ジェネシスがスポンサーを務める前は、PGAツアーでの韓国企業の大会は「CJカップ」だけだった。
この大会は韓国で開催されることで有名だったが、新型コロナウイルス感染拡大後は、米国で開催されるようになった。

CJグループは、米国に大会を移したことで大きな成功を収めた。
というのも、CJグループのブランド「ビビゴ餃子」が、米国で大人気となり、市場を席巻したからだ。
米国市場では、今年の第1四半期に売上高が8億7000万ドルに到達したが、この数字は、同社の2番目に大きなブランドの3倍の規模である。
米国市場を制覇したCJグループは、今や欧州や豪州にも目を向けている。

今年からCJグループは「バイロン・ネルソン」の大会のスポンサーを務めている。
この大会名称は「CJカップ・バイロン・ネルソン」で、賞金総額は950万ドル(約14億円)だ。
CJグループは主にPGAツアーで活躍する韓国人ゴルファーをサポートしており、イム・ソンジェ、キム・シウー、アン・ビョンフン、イ・キョンフンなども含まれる。

ジェネシス、CJ以外にも…… 韓国ゴルフの大御所の存在

一番右の人物は、長年にわたり「プレジデンツカップ」に携わっている“韓国ゴルフの大御所”豊山(プンサン)のリュウ・ロイ・ジン会長。左からPGAツアー副社長のマット・カミンスキー氏、元駐韓米国大使のマーク・リッパート氏、PGAツアー・コミッショナーのジェイ・モナハン氏。©︎PGA TOUR

斗山(ドゥサン)グループは、「全英オープン」を支援していることで知られている。
もちろん、斗山のロゴは「全英オープン」の会場でも大きく掲げられているが、韓国では斗山のスポンサーシップについてほとんど知られていない。
斗山は、スポンサーを務めて今年で15年目となり、さらに今後5年間のスポンサー契約を締結している。
斗山のパク・ジェウォン副会長はR&Aのメンバーでもある。
また防衛産業やユーロなどの硬貨の原材料を手掛ける韓国の企業に豊山(プンサン)がある。
豊山のリュウ・ロイ・ジン会長は、ゴルフに熱心で、長年にわたりKPGAツアーを代表する「KPGA選手権」のスポンサーを務めている。
リュウ会長は長年、「プレジデンツカップ」に関わってきた。
また、ジュニア育成の「ファーストティープログラム」などの事業を運営。
これはKPGAツアーのキム・ウォンソプ会長との共同事業で運営されてきた。
彼らは多くのゴルフトーナメントに関与しており、韓国では「韓国ゴルフの大御所」として知られている。

ゴルフ用品事業にも注力する韓国企業

韓国のプライベートエクイティファーム(富裕層、保険会社、年金基金、寄付金、その他の機関投資家などのグループから調達した資金を用いて、非公開&未公開企業に投資する投資管理会社)は、国外のゴルフ用品企業を買収している。
FILAコリアは、アクシネットを買収。
その後も、タイトリスト、スコッティ・キャメロン、ボーケイウェッジの伝統は受け継がれている。
テーラーメイドやイーブンロールも韓国のプライベートエクイティファンドによって買収された。
最近ではコンソーシアム(共同事業体)がゴルフ用品会社を買収するために結成されている。

韓国のローカルブランドであるボルビックは毎年「世界ロングドライブ選手権」のスポンサーを務めているが、同社は韓国に工場を構えて、ゴルフボールの製造作業を全て国内で行なっている。
韓国のゴルフ専門家は、「韓国企業はゴルフトーナメントのスポンサーや、ゴルフ用品企業の買収で大きな利益を得ている。その上、マーケティング活動でも大きな利益を獲得しているが、この動きはゴルフに対してだけではない。CJグループはロサンゼルス・レイカーズ、レブロン・ジェームズに『ビビゴ』のロゴを付けている。韓国は世界的に有名なスポーツには、財布の紐を緩める傾向がある」と語っている。

Text/Donghoon Lee

イ・ドンフン

ソウル生まれのゴルフライター。アジュビジネスデイリー紙、ゴルフマガジン、ゴルフジャーナル(ともに韓国)などに寄稿。2021年韓国PGA感謝賞受賞。

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