
アブダビの不動産会社が欧州ツアーのスポンサーに
中東、特にアラブ首長国連邦(UAE)は、DPワールドツアー(欧州ツアー)の成功と発展において、最も重要な地域となっている。
同ツアーは最近、新たな公式パートナーを迎えたが、それもまた中東の企業だ。
アブダビの不動産会社「アルダー」が、DPワールドツアーの公式不動産パートナーになったのだ。
DPワールドツアーは、ドバイ拠点の港湾運営会社「DPワールド」や公式航空会社「エミレーツ航空」が既存の主要スポンサーだけに、中東色をさらに強めることとなった。
さらに重要なのは、UAEがDPワールドツアーの年明けの開幕戦と最終戦の舞台となっている点だ。
毎年1月に少なくとも3大会をUAEで開催し、そこには賞金900万ドルの「ヒーロー・ドバイ・デザートクラシック」と、250万ドルの「ラス・アル・カイマ選手権」も含まれる。
そしてシーズンの締めくくりには、賞金総額900万ドルの「アブダビ選手権」と、1000万ドルの「DPワールドツアー選手権」が開催される。
これらのうち3大会は「ロレックスシリーズ」に分類されている。
DPワールドツアーにおけるハイグレード大会だ。他にロレックスシリーズを開催している国はスコットランドとイングランドのみである。
UAEの選手育成の取り組み

こうした華やかな高額賞金の大会がプロゴルフ界の頂点を支えている一方で、これまで地元出身選手の育成はあまり進んでこなかった。
将来有望なUAE選手たちがビッグトーナメントに出場する機会を得ることはあったが、まるで「プールから直接海に飛び込む」ような状態で、十分にそのチャンスを活かせてはいなかった。
しかし、2年前から「ホテルプランナーツアー」(以前のチャレンジツアー)の大会が毎年2試合開催されていることで状況は変わってきた。
特に、アル・ゾラ・ゴルフ&ヨットクラブで行なわれた「UAEチャレンジ」でアフマド・スカイクが歴史的な予選通過を果たし、エミレーツゴルフ連盟(以下EGF)の取り組みがようやく成果を見せ始めている。
スカイクはこの大会でローアマチュアにも輝いた。
その活躍のハイライトは、第2ラウンド最終3ホールでのバーディ・バーディ・イーグルという劇的なフィニッシュで、5アンダーの67を記録し、決勝ラウンド進出を決めたことだった。
3日目はドライバーが破損し、慣れていない新しいドライバーでプレーしたことで彼の勢いは止まったが、スカイクは4日間プレーできたことから多くの収穫を得たと語っている。
「この大会から多くのポジティブな収穫を得ることができた。最後の2ラウンドは、これまでの成果を損なうものではない。今後も同じように、いや、もしかしたらもっといい結果を出せるように願っている」
ビッグトーナメントとは異なり、EGFはこの2大会においてUAEの選手や他のパートナー団体の選手向けに30の出場枠を確保しており、アマチュアにとってより高いレベルの競技を経験する絶好の機会となっている。
これはDPワールドツアーを運営する欧州ツアーグループが、2032年までUAEのゴルフを育成するという取り組みの一環であり、UAE出身の選手が世界中のホテルプランナーツアーの試合にも出場できるよう配慮されている。
経験を積むことで技術力と人間性を高めるスカイク

EGFはこの出場枠を他国のゴルフ連盟と交換することで、世界各地の大会への出場機会をさらに拡大させている。
現在28歳のスカイクは、2023年以降、「UAEチャレンジ」まででホテルプランナーツアーの13試合に出場しており、経験が自身の成長につながっていると感じている。
「ホテルプランナーツアーの試合に何度も出場してきたが、今では互角に戦えている実感がある。ツアーの選手たちと比べても、大きな違いは感じないし、自信につながっている」
近い将来プロ転向を考えている彼は次のようにも語る。
「このパートナーシップは、本当に貴重だ。出場するたびに自分の実力が向上しているのを感じるし、人としても成長している。学び、いつかこのツアーで優勝できると信じている」
「ツアー選手たちのショットはより正確で、ミスが少なく、安定感がある。でも自分もそのレベルに近づいていると思う。練習を続けて今のスタイルを貫けば、いつかこのツアーやDPワールドツアーで勝てる日が来るはずだ」
また、スカイクの弟・モハメドをはじめ、UAEナショナルチームのアマチュア選手たちも、これらの大会を通じて恩恵を受けている。
今回の「UAEチャレンジ」では、イタリアの有望選手レナート・パラトーレが優勝を飾った。
5年前に「ベトフレッド全英マスターズ」を制した彼は、DPワールドツアーへの返り咲きを目指している。
最終日は1打差の2位からスタートして、7アンダーの65という圧巻のプレーで通算22アンダーとし、2打差で勝利を収めた。
アラブゴルフシリーズが始動

一方、アラブゴルフ連盟(以下AGF)は、新たに「アラブゴルフシリーズ(以下AGS)」を立ち上げた。
このシリーズは、地域内の大会スケジュールを統一し、独自の公式ランキング制度を導入する。
この取り組みは、中東・アラブ地域のゴルフを大きく変える可能性を秘めており、競技レベルを引き上げ、新たな才能を発掘・育成し、プロとしての成功への道を提供することが目的だ。
AGSは、3月に開催された「カタールオープン」を皮切りに、AGF加盟17か国のアマチュアオープン大会をシリーズとして統合していく。
まずは男子大会から開始し、その後女子やジュニア大会にも拡大する予定。
新たに導入されるランキング制度では、フィールドのレベル、出場選手数、平均スコアなどを加味したポイント制が採用され、成績によってポイントが付与される。
このランキングは、エリート大会への選出基準として活用されることになる。
Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)
ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。