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【ゴルフ上達のメンタル法】vol.26 プレッシャーがかかる中、ベストなプレーをするための心構え

ゴルファーのバイブル『禅ゴルフ』のジョー・ペアレントが『ゴルフ・グローバル』の読者のために特別寄稿!

自分の「心」を味方につければミスは激減する!

初夏を迎え、コンペや競技会が数多く開催される時期になった。

ストロークプレーやマッチプレー、個人戦やチーム戦など、さまざまな競技があるが、ここではいかなる試合形式でも、あるいは友人との遊びのゴルフでも、プレッシャーがかかる場面でベストなプレーをするためのヒントをご紹介する。

Joe Parent
(ジョー・ペアレント)

過去、ビジェイ・シン、デビッド・トムズ、クリスティ・カーら男女有名米ツアー選手のメンタル面をコーチ。著作にベストセラー『禅ゴルフーメンタル・ゲームをマスターする法』などがある。米国『ゴルフ・ダイジェスト』誌で世界のトップ10に入るメンタルゲーム専門家に選ばれ、何千人ものあらゆるレベルのゴルファーを指導。公式HPは、drjoeparent.com

前日に、1日のプレーを想像して準備!

緊張は、失敗への恐怖ではなくワクワク感としてとらえよう

Illustration/Masaya Yasugahira

競技の前夜に準備をすること

ここでは、競技(コンペ)の前夜に行なう視覚化練習について話をしよう。
「イマジネーション・プラクティス(想像力の練習)」という、どんなラウンドの前でも使える方法なのだが、特に競技の前には効果的だ。
というのも、プレッシャーを感じる場面では、まるで以前にも経験したことがあるかのような感覚を持つことが助けになるからである。

まずは、リラックスできる場所を見つけよう。
ただし、寝てしまわないように気をつけること。目を閉じてゴルフプレーをイメージをするが、まず、1~2分間深呼吸をして、体の奥深くに意識を沈めていこう。
すると、明日のプレーについての心配ごとが和らいでくるはずだ。

そして気持ちが落ち着いたら、ウォームアップのイメージから始める。
練習場でのスイングや、グリーン上でのパッティング練習を想像しよう。
そして、自信を持って1番ティーへ向かう姿を思い浮かべること。
競技が正式なものなら、対戦相手と握手を交わしたり、名前をアナウンスされたりする場面をイメージしても良いだろう。

ティーアップし、フェアウェイを見てターゲットを確認。
プレショットルーティーンを行ない、スイングの感覚をイメージしよう。
ボールがクラブフェースを離れる感覚や音まで想像しながら、思い描く弾道、スピン、落下地点、そしてフェアウェイをコロがる様子を思い浮かべること。

次に、グリーンを狙うショットをイメージし、パットの場面を想像する。
長いパットがカップに寄って簡単に沈められる様子や、短いパットを自信を持って、カップインさせる感覚を想像しよう。

また、リカバリーショットの場面もイメージしておこう。
ラフやバンカーからのショット、グリーン周りのアプローチなど、あらゆる状況を思い浮かべることで、どんな場面でも落ち着いてプレーできるようになる。

バックナインに入ったら、少し緊張感が増すかもしれない。
そのときは歩くスピードを少し落とし、深呼吸を何度か繰り返すこと。
リズムを崩さず、ルーティーンを守ることが大切だ。
そして、ラウンドを終えた自分の姿を想像し、自分のベストを尽くしたという満足感を味わおう。
こうすることで、自信を持って試合に臨めるだけでなく、ぐっすりと眠ることもできる。

緊張ではなく、ワクワク感としてとらえる

競技に出場する場合、前夜にイメージの準備をしていたとしても、何らかの緊張を感じるのは当然だ。
それは、体が自然にアドレナリンを分泌するから。
その感覚をどのように受け止めるかによって、プレーの質は大きく変わってくる。

偉大なチャンピオンですら、優勝争いをしている時の、最終日の1番ティーでは緊張するものだ。
しかし、彼らはそれを「興奮」として受け止めている。自分が優勝争いの中にいることを楽しみ、競技に挑む準備ができた証だと考えるのだ。
一方で、経験の浅いゴルファーは、その緊張を「失敗への恐怖」としてとらえてしまい、消極的なプレーをしてしまう。
競技に自信を持って臨むには、その感覚を「緊張」ではなく「ワクワク感」ととらえることが大切。
「これは自分が良いプレーをするチャンスなのだ」と自分に言い聞かせて、ポジティブなマインドで挑むことが重要だ。

プレッシャーの少ないゲームプラン

コースマネジメントにおいて最良のゲームプランとは、「ムダな危険を冒さずに、できるだけ少ない打数でホールを攻略すること」だ。
コース全体を見渡し、自分が最も得意なショットを選び、それによって、次のショットも簡単に打てるようにプランを立てよう。

この考え方は、スコアが良いときも悪いときも同じで、前のホールで何打打ったかに関係なく、どんなに短いホールや長いホールでも、コース上のどこにいようとも、同じ戦略を適用できるのだ。
そうすることで、「過去のミスを取り戻そう」と焦ったり、「これからのミスを防ごう」と神経質になったりする必要がなくなる。

どんなショットを打つか考えるとき、自分の気持ちに十分な余裕を持たせ、ミスの結果をあまり心配しないようにしよう。
また、打ちたいショットのイメージをできるだけ鮮明に持つことが重要だ。
そのイメージが明確であればあるほど、ショットへのコミットメントと信頼感が高まるものだ。

ショットのプランを決めたら、次はスイングの感覚をプログラムする。
クラブヘッドがボールとどのようにコンタクトするかをイメージしながら、スイングの感覚を体に覚え込ませるのだ。
そしてもう一度、打ちたいショットのイメージをできるだけ鮮明に持とう。
このとき、弾道や球筋、どのくらいキャリーするか、着地後のコロがり方など、できる限り詳細にイメージしよう。
ビジュアルが明確であればあるほど、潜在意識がそのショットを実行しやすくなる。
ポジティブなイメージを持ち続けることで、プレーの精度を高めることができるのだ。

調子が悪くなっても、自分に励ましの言葉をかけ無理な攻めをせずに、ゲームプランを守ること

Illustration/Masaya Yasugahira

自分自身のフレンドリーなキャディになろう

試合の途中で調子を崩してしまったときこそ、ポジティブなセルフトーク(自己対話)がより重要になる。
できる限りポジティブな気持ちを保ち、良いキャディがかけてくれるような励ましの言葉を、自分に言い聞かせよう。

もしあなたが親友のキャディを務めるとしたら、彼(彼女)がミスしたときに厳しく叱ったりするだろうか?
そんなことはしないはずだ。
むしろ、ミスから学べることを伝え、悪いスイングの記憶を消して良いスイングに置き換えさせ、気持ちを切り替えさせるだろう。

また、成功率の低い、難しいショットを選択させることもないはずだ。
代わりに、前向きな言葉をかけ、冷静にショットのプランを立てるよう促し、しっかりと準備が整ってからスイングさせるだろう。

それなら、自分自身にも同じことをしてあげよう。
自分への言葉をポジティブに保ち、ルーティーンの大切なポイントを自分に思い出させ、自分がキャディをしているつもりで、自分の実力にふさわしいショットを選ぶことだ。

自分のゲームプランを守る

試合の序盤でスコアが悪くなったとしても、前のホールで失った打数を取り戻そうとして、無理にゲームプランを変えるのはやめよう。
たとえば、本来はアイアンやUTで打つ予定だった短くて狭いホールで、リスクを冒してドライバーを使うことを考えるかもしれない。
また、ピンが厳しい位置に切られているにもかかわらず、グリーンの中央を狙う予定だったのに、無理にピンを攻めようとするかもしれない。
しかし、そのようなムダなリスクを取ることで、状況が改善するどころか、さらに悪化する可能性は高い。
フライパンから逃れようとして、逆に炎の中に飛び込むようなものだ。

試合はフロント9(前半)で勝負が決まるわけではない。
もし賢くプレーしなければ、そこで試合を台無しにしてしまうこともあり得る。
最終的には、焦らずにゲームプランを守り続けることが、失敗を取り戻すための最善の方法なのだ。

Illustration/Masaya Yasugahira

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