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Y.E.ヤンのスイングイメージで痛みを軽減
首・肩の痛みを抱えながら5回目の
「全英オープン」に臨んだ星野陸也

Text & Photo/Eiko Oizumi

練習日はロングショットの球打ちをせずに、コースチェックとグリーン周りの練習をした星野(右)。

 先週の「スコティッシュオープン」では、首から肩への痛みを感じ、棄権した米ツアーメンバーの星野陸也が、自身5度目の「全英オープン」挑戦のため、北アイルランドにやってきた。昨年までDPワールドツアーを主戦場としていた星野にとって、久しぶりの欧州での2試合だったが、練習もまともにできない状態での試合が続いている。

 「全英オープン」公式練習日の月曜日に練習ラウンドをしようとしたが、ショットを打った瞬間に「左手に電気が走った」感覚に陥り、ラウンドを取りやめた。火曜日も練習ラウンドができず、大会前日の水曜日の午後は、ハーフだけコースチェック。日曜日に18ホールを回っていたのが幸いだったが、それ以降、試合に入るまでロングショットを打つことなく、試合に臨んだ。

 初日はトリプルボギー発進で、「1番で終わったかと思った」と星野が語るように、いきなりスタートホールから予選通過の危機にさらされたが、2番では起死回生のイーグルを奪取。その後は5〜6番で連続バーディ、9番でダボと浮き沈みの激しいゴルフを展開し、初日は通算3オーバーの97位タイでホールアウト。続く2日目は、5バーディ、4ボギーの70とアンダーパーで周り、通算2オーバーでホールアウトした。

 2日目も痛みを感じながらのプレーだったと語るが、それでも「アンダーパーを出すことができてよかった。痛みが少ないショットを探りながらやっと見つけることができ、そのおかげで昨日よりもティーショットが安定していた。(昨日やっていた)オープンスタンスはやめて、Y.E.ヤンさんのようにハンドアップで構え、上半身の捻転差を減らしたクラブのヘッドを走らせることを重視したスイングでプレーした」と言う。手先の痺れはおさまっていないが、「痺れている状態にも慣れた。これが悪化したら途中でやめることも考えていたが、悪化しなかったのでプレーできているのでホッとした」と語った。

 R&Aの許可を得て、プレー中にもトレーナーのケアを受けながらラウンドできたのも幸い。大会直前にはベルファストの病院でMRI検査を受け、「想像していたよりも状況はよかった。ヘルニアではないが、その予備軍だと言われた」と星野は語っていたが、徐々に痛みや痺れにも慣れてきて、痛みの出ない、安定したスイングに対する対処法もつかめてきた。5回目の「全英オープン」挑戦で、2回目の予選通過を果たすかと思われたが、1打差で予選落ち。万全の体制ではないが、それでも好プレーができたのは、昨年まで主戦場としていたDPワールドツアーで培ってきた技術や精神力の賜物だ。

「リンクスでの経験は、DPワールドツアーのおかげ。DPの試合に出て、本当にイメージが出てましたし、最初の頃はそんなイメージはなかったですから。DPワールドツアーでプレーしたおかげで、準備することができましたね。自信を持ってプレーできるようになった」

 普段よりは20〜30ヤードは飛距離が落ちていると言うが、特に2打目以降のショットに関しては、番手を1つ上げることで距離の調整を行なっていた。通常ロングアイアンを使うところを、フェアウエイウッドで対処しているという。来週はアメリカに戻り、「3M選手権」に出場予定。PGAツアーのフェデックスカップ・レギュラーシーズンも残すところあと2試合。体を早く治して、万全の体制でラストスパートをかけたいところだ。

ヤーデージブック片手に、情報を書き込みながら、薬丸キャディとともにコースのイメージをつかんだ。
左の首筋にはテーピングを施している。
グリーン周りと、グリーン上はウェッジでアプローチしたり、パターで転がして、グリーンスピードなどを確認した。

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