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藤田寛之 独占インタビュー「今までコツコツ、ゴルフをしてきたことのご藥美」

芹澤信雄率いる「チーム芹沢」メンバーの宮本勝昌とともに「全米プロシニア」に挑んだ藤田。©Eiko Oizumi

昨年、「全米シニアオープン」で2位に入ったことをきっかけに、今年の米シニアツアーのシード権を獲得した藤田寛之。
本格参戦1年目の彼に、現在の心境を語ってもらった。

平均飛距離は268.6ヤードで、ツアー68位。©Eiko Oizumi
同い年のリカルド·ゴンザレス(アルゼンチン·左)と練習ラウンドを共にする藤田。©Eiko Oizumi

ゴルフ·グローバル(以下GG)2月の「ハッサン2世トロフィー」から本格参戦していますが、チャンピオンズツアーはいかがですか?

「しんどいこともありますが、楽しいですね。移動や慣れない環境、経費(円安)とか……。しかしこの年齢で、新たな環境、なかなか来たくても来れないステージに自分がいるということは嬉しいです。周りを見れば、すごい選手ばかり。楽しまなきゃ損ですね(笑)。」

GG:実力ももちろんですけど、運も感じますか?

「この間日本のシニアの試合に出た時に、水巻(善典)さんに〝たくさんここに出たい人もいる中で、神様はお前を選んでくれたんだよ〟って言われたんです。ちょっと宗教的ですが、確かにそう。運があるなと思うんです。勝負事をしていると、自分の力じゃないものを感じたりすることもよくあるけど、自分が今までコツコツゴルフに真面目に向き合ってきたから、ご褒美として1年間、チャンスをくれたんだなという気がする。」

GG:ここに来て、さらに成長している部分ってありますか?

「あんまりないですね。若い頃はもっと上手くなりたい、強くなりたいという気持ちが強くて、そのためにトレーニングをしたり、ボールをたくさん打って、ということをしていましたけど、シニアになったら、自分をそこまで追い込まないで楽しみたいという気持ちが強い。自分は山の登り降りに例えることが多いんですが、現役時代、賞金王にいた時が山の頂上で、シニアツアーっていうのは、山を降りる時なんです。登りが、いろんな準備をして、重装備で挑戦や試練を乗り越えながらとにかく上を目指して頑張る時なら、その帰りは、重い荷物を下ろして、ちょっとのんびりといろいろな景色を見ながら帰ろうかという感じ。でもこうして、米シニアツアーという世界が自分の人生の中にあったのか、と想像していなかっただけに不思議ですね。急にそういう世界がパッと開けてきて、こうなったらこの舞台を満喫して楽しみたいな、と。」

GG:肩に力を入れず、自然体で?

「ベースはそこです。あまり周囲からもプレッシャーをかけられたくないし、自分でもかけたくない。トレーニングも、練習量もあまりハードにせずにやってみて、それでシード権が維持できれば最高。できるだけ長くここにいたいと思いますが、本当はそのためにはもっと練習しなきゃとか、トレーニングをしなきゃ、ということになる。正直、自分のスタンスがどこにあるのか、わからなくなる時があるんですよ。でもやっぱり、今の藤田寛之のまま、結果がどうなるかを見たいですね。」

GG:なるほど。藤田さんの当面の目標は、まずは来季のシード権ですね?

「どの試合でも、20位以内を最低目標にしています。チャールズ·シュワブランキングでフルシードは36位までなので、年末までにそこに入っていればいいですね。優勝したいと言っても、そう簡単ではないので。それでもしシード権を失っても、それはそれで仕方ない。過去32年間、日本ツアーではずっとシード選手として続けてきましたけど、ここではあまりそれにこだわるつもりはないんです。実際、そんなに甘いものではないですからね。でもこの舞台にいられることを満喫したいと思います。」

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