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【世界のゴルフ通信】From Middle East サウジアラビアとドバイでゴルフの大型プロジェクトが進行中

ゴルフノース社とスモウインベストメント社がサウジアラビアでゴルフリゾート開発に取り組むことで合意。これはその模型。
サウジアラビアは、2016年に「ビジョン2030」と経済改革構想を発表。石油依存型経済からの脱却を図るため、観光など公共サービスを開発中。ゴルフもその一環。©Eiko Oizumi

サウジ、カナダ企業と提携しゴルフリゾート建設へ

サウジアラビアでは、石油依存からの脱却と観光振興を目的に、複数のゴルフ場建設プロジェクトが進められている。
カナダのゴルフ場&テクノロジー企業のゴルフノースは、サウジ最大の民間不動産開発・投資会社のスモウグローバルインベストメントと提携し、少なくとも3つのゴルフリゾートを建設する予定だ。
今後さらに開発を拡大していく計画もあるという。

このリゾートには、世界有数の設計家によるチャンピオンシップコースや高級ヴィラ、レジデンス、世界クラスのホテル、ウェルネス施設などが統合され、総額1億ドルの初期投資が予定されている。
第一弾は2025年にリヤド、ジェッダ、アル・コバールの3都市で着工し、2027年から段階的にオープンする見通し。最初に着工されるのは、ジェッダ近郊のワディ・アスラー。
また、サウジ国内外の他の地域での展開も検討されている。

カナダのゴルフノース
世界展開へ

ゴルフノースは、ブラックベリーの共同創業者ジム・バルシリー氏が、1994年に設立。
現在、43のゴルフ施設を保有するカナダ最大の複数コース運営会社であり、テクノロジーサービス「ティーオン」は、国内500コース以上に導入されている。
その他、eコマース、データ分析、販売管理、会員プログラムの最適化機能も完備している。
同社は今回のプロジェクトにおいて、全てのゴルフ場の設計・運営・維持管理を主導。
トーナメントレベルのコース管理に加え、環境配慮や水資源の保全にも注力する。
また、各施設にはゴルフアカデミーや会員向けのプログラムも導入する予定だ。
会長兼オーナーのバルシリー氏は、次のように語っている。

「ゴルフノースの専門性、自社開発のテクノロジーやインフラは、スモウが目指す象徴的なゴルフコースやコミュニティの実現に最適だ。カナダ発のブランド、技術、経営ノウハウを世界へ広げる絶好の機会だと考えている」

一方、スモウインベストメントは、6000万平方メートル以上の土地を開発中。
代表的なプロジェクトには、ジェッダの海岸沿いに建設中の高さ319メートルの「スモウタワー」や、リヤドで計画されている30万平方メートルの「スモウパーク」がある。
CEOのアブドルラフマン・アル・カフタニ氏は次のように語っている。

「今回の発表は、世界的な舞台でラグジュアリーな暮らしを再定義する我々のビジョンの成果だ。『サウジ・ビジョン2030』に沿ったこの提携では、サウジをライフスタイル、観光と不動産の革新拠点として位置づけたい」

ドバイも新ゴルフ場建設へ
ジュメイラに第3のコース誕生予定

開発業社のワスルもスポンサーを務める「DPワールドツアー選手権」は、ドバイのジュメイラゴルフエステーツで開催されているが、この地に第3のコースが誕生予定。©Eiko Oizumi

ドバイでもティータイムの需要増加に対応すべく、新たなゴルフ場建設が進行している。
エミレーツGCやジュメイラゴルフエステート(以下JGE)、ドバイ・クリークゴルフ&ヨットクラブなど、計5つのゴルフ場を所有するデベロッパー「Wasl(ワスル)」は、JGE内に新たなコースを建設予定で、これは既存の「アースコース」「ファイヤーコース」に続く第3のコースとなる。

JGEの計画では、2008年の経済危機前には4コース建設の構想があったが、実際に完成したのは2コースのみ。
ビジェイ・シン設計の「ウィンド」とピート・ダイ設計の「ウォーター」は未着工のままだった。

ドバイゴルフのCEO、クリス・メイ氏によれば、新コースはチャンピオンシップ仕様ではないものの「ドバイにとって必要な存在。特にシーズン中は全てのコースが大幅なオーバーブッキング状態で、ティータイムの不足が深刻だ」とし、クラブハウスなどの施設を備え、マンダリン・オリエンタルホテルと一体化した設計になるという。
JGEの新フェーズは総面積468万平方メートルで、6つの居住区、780戸の高級ヴィラ、62棟のヒルトップマンション1万戸超のアパートメントなどを含み、5000席の屋内テニススタジアムも建設される予定である。

7度目の「レース·トゥ·ドバイ」制覇に向け欧州ツアー最終2試合に出場するマキロイ

世界ランク2位のローリー・マキロイが、11月にUAE・アブダビで開催される「アブダビHSBC選手権」に出場することを表明。

マキロイ、キャリア初のアブダビ制覇なるか

2025年マスターズ王者であり、史上6人目のキャリア・グランドスラム達成者であるローリー・マキロイが、DPワールドツアーのロレックスシリーズ「アブダビHSBC選手権」への出場を表明した。
この大会は11月6日~9日にヤスリンクスで開催される。

マキロイはUAEで素晴らしい実績を残してきたが、「アブダビ選手権」には過去13回出場していながら、未勝利。
とはいえ、9回のトップ3入りという驚異的な成績を残している。
今回、7度目の「レース・トゥ・ドバイ」年間王者の座をかけた戦いでもあり、これを達成すれば、セベ・バレステロス(6回)を上回り、コリン・モンゴメリーの最多記録(8回)にあと一歩と迫ることになる。

「中東でシーズンを締めくくるのは毎年楽しみ。シーズン序盤はいいスタートを切れたし、ヤスリンクスとの相性も悪くないので、このまま調子を維持して、もう一度〝レース・トゥ・ドバイ〟のタイトルを獲得したい」と語った。

なお、昨年の大会ではイングランドのポール・ウェアリングが優勝している。

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

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