
今年の「全英オープン」は、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーの強さが光った大会となったが、2位以下の選手たちも、少しでも差を詰めようと善戦。
彼らの活躍について、振り返る。
2位 ハリス・イングリッシュ

3位 クリス・ゴタラップ

4位T リー・ハオトン

イングリッシュは、「全米プロ」「全英オープン」でシェフラーに次ぎ、2位に
今年の「全英オープン」は、スコッティ・シェフラーの強さ、安定感が目立ち、最終日のバック9以降は、正直言って、ハラハラドキドキするようなスリルあふれる展開とは言い難かった。
シェフラーが8番でダブルボギーを叩いた時も、2位のクリス・ゴタラップとは4打差があったし、9番でシェフラーがバーディを取ったので、すぐにその差は開いたからだ。
しかし、2位以下のハリス・イングリッシュ(米国)、クリス・ゴタラップ(米国)、リー・ハオトン(中国)にとって、優勝はできなかったものの、大きな収穫のある1週間となった。
イングリッシュは、今大会で2位に入ったが、いつもそばでサポートしてくれるエースキャディは不在だった。
キャディのエリック・ラーソンは、今から30年前、友人にコカインを送った罪で逮捕され、薬物犯罪で有罪判決を受けたため、英国への入国を拒否されたからだ。
彼は薬物使用者でも売人でもなかったと否定しているが、それでも10年3ヶ月間、刑務所で過ごし、2006年に釈放されている。
今回イングリッシュは、ショートゲームコーチであるラモン・ベスカンザ氏をキャディに起用。
「ラモンと一緒に素晴らしい戦略を立てられた。彼は僕のプレースタイルをよく理解してくれている。(最終日は)“ゾーン”に入ってショットに集中できたし、こういう形で終えられて最高だった」と語った。
また、今季は「全米プロ」と「全英オープン」で2位フィニッシュだったことについて問われると、「今年はスコッティに2度、メジャーで負けている(笑)。今、いいゴルフができていると思う」と答えた。
最終戦の「ツアー選手権」と「ライダーカップ」に出場することが目標だったというイングリッシュ。
今回の活躍で、フェデックスカップ6位に浮上した彼は、「ツアー選手権」出場の目標は達成できたが、「ライダーカップ」出場も、8月17日に確定した。
また、3位のゴタラップは、前週の欧米両ツアー共催の「ジェネシス・スコティッシュオープン」でローリー・マキロイらを2打差でかわし、PGAツアー2勝目を達成したばかり。
「全英オープン」出場は初めてだったが、「自分の中のヨーロッパの血が、ちょっと目覚めたのかもしれない」とジョークを飛ばしていた。
彼の父の両親はデンマーク人で、以前、デンマークを何度か訪れたことがあったという。
苗字のOの字にスラッシュ(Ø)が入っているので、デンマークのニコライ&ラスムス・ホイガード兄弟と、そのことで会話が弾むのだという。
イングリッシュは彼について、「彼のボールの弾道は、このコースにすごく合っているし、飛距離も出て、風にも対応できている。本当にすごい才能の持ち主」と絶賛。
そして最終日、最終組でシェフラーとプレーしたリーは、4位タイに終わった。
「今日はティーショットがかなり不安定で、ドライバーのせいで一気に5打も失ってしまった。正直、こんな結果は全く予想していなかったが、トップ4で終えられて『マスターズ』に再び出場できるのが本当に嬉しい」と語った。
シェフラーに関しては、「一緒にプレーするのが楽しく、素敵な人。冗談も言い合って楽しめた」と言い、「PGAツアーに僕が行った時、一緒に練習してくれる?」と聞くと、シェフラーは「でもハオトンWHO(ハオトンって誰?)」という答えが返ってきたそうだ。
現在、欧州ツアーのPGAツアー枠ランキングで3位につけている彼は、来季はアメリカを主戦場に戦うことが確実となっており、シェフラーとPGAツアーで再会するのを楽しみにしている。
Photo/R&A, Getty Images