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【ISPS HANDA Senior Open】全英オープン、全英シニアオープ ンを制覇したパドレイグ・ハリントンが優勝

2025年7月24日〜27日/サニングデールGC(英国・バークシャー)/6682ヤード・パー70

優勝 Padraig Harrington

パドレイグ・ハリントン(アイルランド)
1971年8月31日生まれ。185cm、83kg。2007年「全英オープン」、2008年「全英オープン」「全米プロ」でメジャー3勝。欧州ツアー通算15勝、PGAツアー6勝。世界で通算43勝。2006年欧州ツアー賞金王。今季は「全米シニアオープン」「ISPSハンダ・シニアオープン」でシニアメジャー2勝。2024年世界ゴルフ殿堂入り。
(左)ISPSパトロン
エンダ・ケニー氏
ISPSパトロンで、アイルランド元首相のエンダ・ケニー氏(左)とアイルランド出身でISPSアンバサダーのパドレイグ・ハリントン。©Eiko Oizumi

ロンドン郊外の名門、サニングデールGCで7月下旬に行なわれた「全英シニアオープン」。
今年からISPSがタイトルスポンサーを務めているが、大会名変更後に優勝したのは、ISPSアンバサダーで、6月に「全米シニアオープン」でシニアメジャー2勝目を挙げたばかりの、パドレイグ・ハリントンだった。

“自分がどんな足跡を残したか、レガシーが大事”

「全英オープン」「全英シニアオープン」を両制覇したパドレイグ・ハリントン

↑優勝トロフィーを抱えて、テレビのインタビューに答えるハリントン。©Eiko Oizumi

今季、「全米シニアオープン」「 ISPSシニアオープン」でシニアメジャー2勝の快挙

67、65、65、67と連日60台のスコアをマークしたハリントン。安定感のあるショットが光った。©Eiko Oizumi
最終日、ハリントンは最終組でジャスティン・レナード(左)とプレーした。©Eiko Oizumi
独特の体勢でグリーンのラインを読む、ハリントン。©Eiko Oizumi
最終日、サニングデールGCのクラブハウス方向に向かって、2打目を放つハリントン。このホールでボギーを叩くも、3打差で優勝した。©Eiko Oizumi

シニアツアー11勝目を達成したハリントン

6月の「全米シニアオープン」に続き、パドレイグ・ハリントンは、イギリスで今季シニアメジャー2勝目を飾った。

7月24日~27日にイギリス・ロンドン郊外のサニングデールGCで「ISPSハンダ・シニアオープン(全英シニアオープン)」が開催され、ISPSアンバサダーのパドレイグ・ハリントンが、2位のトーマス・ビヨーン、ジャスティン・レナードに3打差をつけ、通算16アンダーで優勝。
2007年、2008年「全英オープン」チャンピオンのハリントンは、「全英シニアオープン」も制覇した5人目の選手となり、歴史にその名を刻んだ。
なお、過去この偉業を達成したのは、ボブ・チャールズ、ダレン・クラーク、ゲーリー・プレーヤー、トム・ワトソンがおり、クラレット・ジャグ(全英オープントロフィー)と全英シニアオープントロフィーの両方を手にしている。

「今はとにかく、この大会で勝てたこと、そしていいプレーができたことに興奮している。『全英オープン』で勝って、この試合に勝てた選手は5人しかいないわけで、その仲間入りが果たせたのは本当に嬉しい。歳を重ねるにつれて、自分がどんな足跡を残したか、というレガシーがすごく大事になってくるが、サニングデールのような素晴らしいコースで勝ちたい、記憶に残るようなことを達成したいという気持ちが強くなってくる」

ハリントンは3日目を終えて、2位のジャスティン・レナードに2打差をつけて最終日を迎えた。
1番ホールでいきなりイーグルを奪い、リードを3打に広げると、その勢いのままに6番、9番でバーディ。
前半を終えて2位と4打差となったが、同じくISPSアンバサダーのトーマス・ビヨーンが9番からの6ホールで4バーディを奪う猛攻を見せ、2打差まで詰め寄った。

しかしビヨーンは16番でボギーを叩き、勢いがストップ。ハリントンも17番でボギーを叩いたが、18番ティーに立った時は、2位と3打差でリードしていた。
最終組で一緒に回っていたレナードも68とスコアを2つ伸ばしたが、通算13アンダーでホールアウト。
ハリントンはシニアツアーで通算11勝目を挙げ、来年の「全英オープン」への出場権も獲得した。

「シニアになると勝てる時間は限られている。55歳、56歳くらいまではまだチャンスがあるが、それ以降は厳しくなってくる。自分もシニアオープンでは何度か2位に終わっていたし、このまま勝てないままだと〝いつ勝てるんだ?〟と焦りが出てくる。それを思うと、今回勝てたことは本当によかった。ホッとしている」

なお、4位にはオーストラリアのスコット・ヘンド、5位タイにはアーニー・エルス、キャメロン・パーシーが入った。

スポーツを通じて社会に貢献することがISPSの使命

キャディのローナン・フラッド(左)と、長男のパトリックさん(23歳・ハリントンが30歳の時に誕生)。パトリックさんは2024年、チャンピオンズツアーの大会「PNC選手権」に父とともに出場し、3位タイに入るほどのゴルフの腕前だ。©Eiko Oizumi
ローリー・マキロイとその家族が、最終日に会場を訪れ観戦した。右は愛娘のポピーちゃん。©Eiko Oizumi
ISPSアンバサダーのトーマス・ビヨーン(左)と大会前のプロアマ戦でプレーしたISPSアンバサダーのナイル・ホーラン(ワン・ダイレクションのメンバーで、アイルランドのシンガーソングライター)。©Eiko Oizumi

カンボジアへ5万ドルの支援金を寄付

ISPSハンダとR&Aの協力により、サニングデール・オールドコース13番ホールで出たバーディ1つにつき、750ドルがカンボジアでの支援活動に寄付されることになっていた。
しかし、最終ラウンド前に、この額は2000ドルへと引き上げられ、大会を通じて13番で49個のバーディをマーク。
4万8000ドルの寄付金が集まり、さらに端数を切り上げて合計5万ドルが寄付されることになった。

スポーツを通じて社会に貢献することが、ISPSの使命。
今年から今大会のタイトルスポンサーを務めているが、大会を開催すると同時に、チャリティ活動にも注力している。

2025 全英シニアオープン 最終成績

優勝パドレイグ・ハリントン−16
2位ジャスティン・レナード
トーマス・ビヨーン
−13
4位スコット・ヘンド−12
6位アーニー・エルス
キャメロン・パーシー
−11
7位スティーブン・アルカー−10
8位グレッグ・チャルマー
ケビン・サザーランド
ステファン・アラン
−9
24位ベルンハルト・ランガー
ミゲル・アンヘル・ヒメネス
K.J.チョイ
−3
31位コリン・モンゴメリー
アンヘル・カブレラ
−2
40位コーリー・ペイビン−1
51位ダレン・クラーク+2
70位イアン・ウーズナム+6

予選落ち/横田真一、藤田寛之、IJジャン、ホセ・マリア・オラサバル
棄権/増田伸洋(腰痛のため)

「失敗からの方が多くを学べる」

ジャスティン・レナード 2位タイ/−13

1997年「全英オープン」を含む、PGAツアー12勝を挙げているジャスティン・レナード(米国)。チャンピオンズツアー1勝。©Eiko Oizumi

かつて「抱かれたい男ランキング」にも名を連ねたことがあったジャスティン・レナードも、現在は53歳。
今年の2月に行なわれたチャンピオンズツアー(米シニアツアー)「チャブクラシック」でシニア初優勝を遂げ、今大会ではシニアメジャー初優勝を目指して優勝争いを繰り広げた。
彼もハリントン同様、「全英オープン」と「全英シニアオープン」の両方を制した偉人たちに、名を連ねるべく健闘したが、3打差の2位タイに、終わった。

 「僕は子供たちに“失敗からの方が多くを学べるんだよ”と言っているが、僕自身も実際、失敗は山ほど経験してきた。失敗や悔しい経験からの方が、より深い学びはあるが、優勝できれば努力や犠牲が報われたな、という気にもなり嬉しい。このクレージーなゲームを続けている理由は、そこにある」

今回の悔しさ、失敗を糧に、レナードは再び優勝に向けて、後半の戦いに挑戦していく。

「アクセル全開で攻めないとチャンピオンズツアーでは優勝できない」   

トーマス・ビヨーン 2位タイ/−13

優勝争いの末、ジャスティン・レナードと並び、2位タイに入ったトーマス・ビヨーン。©Eiko Oizumi

ISPSアンバサダーのビヨーンは大会前、「ISPSと全英シニアオープンという組み合わせは、パーフェクトマッチング。半田会長もシニアのアンバサダーが好きだし、今週は自分のプレーをして優勝できるように頑張りたい」と、ホストとしての抱負を語っていた。

そして最終日は4バーディ、1ボギーの67をマークし、3つスコアを伸ばしてハリントンに迫ったものの、3打差の2位タイに終わった。

「チャンピオンズツアーは、トップ20に入るのはさほど難しくはないが、上位にいる選手たちは世界中で30勝、40勝を挙げている選手ばかり。だから、日曜日になっても崩れないし、最後までアクセルを踏み続けて、攻め続けていかないといけない。よくゴルフは、“コースとの戦い”というが、こうなると“相手”と勝負することになる。試合で勝ちたいなら、それをやるしかない」とビヨーン。
世界中で優勝してきたベテランならではの、含蓄ある一言だ。

「ISPSがシニアの試合もサポートしてくれてありがたい」     

アーニー・エルス 5位タイ/−11

最終日には、リズル夫人の他、自閉症のベンさんも会場を訪れ、エルスのプレーを応援していた。©Eiko Oizumi
今季は開幕戦の「三菱電機選手権atフアラライ」で優勝しているアーニー・エルス。トップ10入り8回。©Eiko Oizumi

コースから1マイル先のウェントワースに自宅があり、「毎日自宅から通えて嬉しい。このコースは何度もプレーしているしね」と語っていたエルス。
ISPSアンバサダーでもあり、「ISPSは世界中でゴルフの試合のスポンサーを務めているが、今回、こうしてシニアメジャーもサポートしてくれて、我々にはありがたい。この大会には勝ったことがないから、今週勝てるように頑張るよ」と言っていたが、優勝したハリントンとは5打差の5位タイに終わった。

「サニングデールは、ショットの精度が極めて重要。ヒースの茂みやバンカー、木々などいろいろなハザードがあり、グリーンも難しい。でもコースコンディションは完璧だ。我々シニア世代にとって、こういうリンクススタイルのコースで『全英シニア』を戦えるなんて、これ以上の舞台はない。ここにはかれこれ30年近く通っているし、この大会でプレーできるのは本当に嬉しい」

現在、チャールズ・シュワブカップランキングで6位につけているエルス。
シニアツアーの後半戦で、どれだけ上位で戦えるかに注目が集まる。

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