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山下美夢有、全英女子オープン優勝!日本人で6人目の海外女子メジャー制覇

AIG Women’s Open/2025年7月31日〜8月3日/英国ウェールズ ロイヤル・ポースコールGC/6748ヤード・パー72

山下美夢有が渋野日向子以来2人目の「全英女子オープン」制覇

優勝 Miyu Yamashita

山下美夢有
2001年8月2日生まれ。大阪府出身。150cm。国内13勝、海外1勝(メジャー)。2022年、2023年賞金女王。新世紀世代の一人。昨年は「パリ五輪」に出場し、4位タイ。今季から米女子ツアーに本格参戦。
(右)ローアマ Paula Martin Sampedro
パウラ・マルティン・サンペドロ
2005年9月2日生まれ。スペイン・マドリード出身。米国スタンフォード大学在学中。2025年「AIG女子オープン」8位タイ。「オーガスタ女子アマ」18位タイ。©GettyImages
優勝直後は、日本人選手仲間からシャンパンファイトで祝福された山下。左から岩井明愛、山下、竹田麗央、岩井千怜、西郷真央、古江彩佳。©R&A
最終日の最終ホールで、ウィニングパットを決めると両手を空に突き上げ、その後で溢れる涙を堪えた山下。©R&A
笑顔で優勝記者会見に臨んだ山下。「ウェールズは動物が多く、自然の中で過ごしている感じがした」と地元の記者に語った。©R&A

リーダーボードの上位を日本勢が独占

全5試合ある海外女子メジャーの最終戦「AIG女子オープン(全英女子オープン)」は、ウェールズのロイヤルポースコールで行なわれ、今年から米女子ツアーに本格参戦の山下美夢有がメジャー初優勝を飾った。
2打差の2位タイには勝みなみ、4位タイには竹田麗央が入るなど、トップ4に日本人が3人入るという快挙だ。

初日、竹田麗央と岡山絵里の日本人2人が首位タイに立ち、山下は1打差の3位だったが、2日目以降は首位をキープ。
特に2日目はボギーフリーで7つスコアを伸ばし、2位の竹田に3打差をつけ、2桁アンダーに乗せた。
山下は今回の勝利で大会史上最高額の146万2500ドル(約2億1500万円)を獲得。
「AIG女子オープン」では2019年に優勝した渋野日向子以来、2人目の日本人チャンピオンが誕生した(1984年に岡本綾子が優勝しているが、当時はメジャーではなかった)。
また、日本人としては、今年の「シェブロン選手権」で優勝した西郷真央に次ぎ、6人目のメジャーチャンピオンに。
1977年「全米女子プロ(樋口久子)」、2019年「全英女子オープン(渋野日向子)」、2021年・2024年「全米女子オープン(笹生優花)」、2024年「エビアン選手権(古江彩佳)」、2025年「シェブロン選手権(西郷真央)」、2025年「全英女子オープン(山下美夢有)」と、日本人女子選手の海外メジャーの歴史は塗り替えられることとなった。

「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」も射程圏内。
ポイントランキングで4位に浮上し、頂点を目指す

大会期間中、平均飛距離は206.9ヤードで71人中69位だが、パーオン率は平均78%で3位タイ。フェアウェイキープ率は平均70%で5位タイと、ショットの正確性が光った。©R&A
2日目を終えて、首位の山下と11打差だったチャーリー・ハル(イングランド・ISPSアンバサダー)が2打差の2位タイで終了。「体調もゴルフの調子も良くなくて、予選通過するとは思っていなかった。そういう状況を考えれば、よくやったと思う」©R&A

日本人がメジャーで活躍している理由

勝みなみ 2位タイ −9

「2位タイに入り、嬉しいけど、納得はしてない。もっと上を目指せる感じだった。予選通過ギリギリのところから、この位置にこれたのは自信に繋がる。この3年間で、一番いいゴルフができたと思う」©R&A

竹田麗央 4位タイ −7

「もうちょっとバーディが取りたかったので、そこは悔しいが、パーで耐えられるところは耐えたので、ボチボチ。優勝は考えてなかったので、そんなに緊張してなかった。去年は全英女子が難しいと思ったけど、今年はしっかり自分のゴルフが4日間できたし、課題も見つかった」©R&A

最終日前日に24歳の誕生日を迎えたばかりの山下は、こうして自身に最高の誕生日プレゼントを贈ることができた。

「ここまで来るのはすごく長かった。本当にたくさんの方に支えて頂いて、コツコツ地道にやってきたことで、メジャーで優勝できてすごく嬉しい。今、日本人選手もメジャーで上位で戦っていますし、私自身もすごくいい刺激をもらっている。同級生の西郷選手は、今年メジャーで優勝してすごいな、と思ってましたし、いい刺激をもらっていた。その中で自分も優勝できて嬉しい」

大会中、唯一オーバーパーだったのは、2バーディ、4ボギーの74を叩いた3日目。
2日目を終えて2位に3打差をつけていた山下だが、3日目でわずか1打差に詰められた。
山下は、コーチである父・勝臣さんと共に練習場でスイングの修正を行ない、宿舎に戻ってからも細かい部分をチェック。
そこで「気づきがあった」という山下は、緊張感はあったものの、最終日に自信を持ってプレーに臨むことができたという。

そして最終ラウンドでは、2アンダーの70をマーク。
イングランドの人気実力選手、チャーリー・ハルの猛追で、一時1打差まで詰められたが、ハルが16番、17番で連続ボギーを叩いたことで、追い上げもストップ。
ハルを退け、初のメジャータイトルを獲得した。

「小さい頃からの夢が、メジャーで優勝することだった。その夢を実現できたことは本当に特別なこと」

山下は今大会の優勝で、世界ランク6位に浮上し、日本勢で最高位に立った。
また、LPGAのポイントランキングで一気に4位に浮上。
3位の竹田麗央と共に、新人賞を11月の終盤の試合まで争うことになりそうだ。

2025 AIG 全英女子オープン 最終成績

優勝山下美夢有−11
2位勝みなみ
チャーリー・ハル
−9
4位竹田麗央
キム・アリム
−7
6位メーガン・カン
シュー・ウェイリン
−6
8位ロッティー・ウォード
ステファニー・キリアコウ
P.マルティン・サンペドロ
−4
11位西郷真央−3
13位ミンジー・リー−2
33位畑岡奈紗
古江彩佳
+2
36位リディア・コー
ネリー・コルダ
+3
40位岩井明愛+5
58位吉田優利+9

予選落ち/渋野日向子、岡山絵里、高橋彩華、神谷そら、佐久間朱莉、桑木志帆、馬場咲希、笹生優花

Text/Eiko Oizumi
Photo/R&A, Getty Images

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