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【世界のゴルフ通信】From Australia 盛り上がりを見せる豪州女子!ミンジー・リー&グレース・キムが連続メジャー制覇

「アムンディ・エビアン選手権」でメジャー初優勝を遂げた、24歳のグレース・キム。©LET

「KPMG全米女子プロ」で、メジャー3勝目を挙げたミンジー・リー。キャリアグランドスラム達成には、「シェブロン選手権」「全英女子オープン」の2勝が必要。©PGA of America
来年3月に開催される「全豪女子オープン」の発表会が、アデレード市内で行なわれ、WPGAツアー・オブ・オーストラレイジアのカレン・ラン氏(左)や、南オーストラリア州首相のピーター・マリナウスカス氏(中央)、ゴルフ・オーストラリアCEOのジェームズ・サザーランド氏(右)が出席した。©GOLF Australia

3月開催の「全豪女子オープン」に2人のメジャーチャンピオンも出場

2026年の「全豪女子オープン」は、3月12日~15日までアデレードのクーヨンガGCで開催される。
12月開催からの大会の日程変更を支持するミンジー・リーとグレース・キムは、6月の「KPMG全米女子プロ」で自身3度目のメジャータイトルを獲得したリーの復調、そして7月の「アムンディ・エビアン選手権」で劇的な初メジャー制覇を果たしたキムの活躍により、ともに優勝候補として注目される存在となる。

同大会がアデレードで開催されるのは、2020年以来。
これは、ゴルフ・オーストラリアが男女合同の「全豪オープン」開催方式を終了し、従来の単独開催へと回帰したことに伴う、南オーストラリア州政府との3年間の合意に基づくもの。
クーヨンガGCでの開催は、2018年に韓国のコ・ジンヨンが優勝した大会以来、2度目となる。

開催時期を3月に移したことは、広く支持されている。
昨年は、LPGAツアーのシーズン最終戦「CME選手権」の翌週という過密スケジュールの中で行なわれ、豪州勢とわずかな海外選手が、時差ボケと準備不足の状態で臨んでいた。
2026年大会は、欧州女子ツアー(以下LET)との共催に加え、日程的にLPGAアジアシリーズ終了直後であることから、より多くの海外選手の参加が見込まれる。

また、その翌週には、2025年はサイクロンによる大規模な洪水のため中止となった「豪州WPGA選手権」が、クイーンズランド州のサンクチュアリー・コーブG&CCで開催される予定。
こちらもLETとの共催となり、海外選手にとっては豪州遠征の2つ目の出場理由となる。

これらの発表は、豪州の男女を通じて初めての2大会連続メジャー制覇(まずミンジー・リーが「全米女子プロ」、続いてグレース・キムが「エビアン選手権」で優勝)に国内のゴルフファンが沸き立つ中で行なわれた。

豪州女子選手の連続メジャー制覇

これまでオーストラリア勢が連続でメジャー制覇を達成したのは、2001年にカリー・ウェブが「全米女子プロ」と「全米女子オープン」を連覇した時の一度きりだった。
キムの勝利は、フランス・アルプスでの劇的なもので、世界ランキングを一気にトップ25に押し上げた。
24歳のキムは、最終18番ホール(72ホール目)でタップインイーグルを決めてジーノ・ティティクルに並び、プレーオフ1ホール目ではグリーンサイドのウォーターハザードに入れながらもチップインバーディ。
さらに2ホール目では再びイーグルを奪って、勝利をもぎ取った。

その同じ週末、51歳のスティーブ・アランが米シニアツアー「ディックスオープン」で4打差優勝を飾り、今季2勝目を挙げた。
今年はアランにとって、「全豪オープン」で優勝した2002年以来の勝利の年となった。

LIVゴルファーが豪州のジュニア育成に注力
「キャメロン・スミス 奨学金」の特典がすごい!

豪州の将来有望なアマチュア選手の二人、チェイス・オバーリーとハミッシュ・ファーカーソンが、2025年の「キャメロン・スミス奨学金」の授与対象者に選ばれた。
この奨学金は、女子選手を対象とした「カリー・ウェブ奨学金」に倣い、男子ジュニアを対象としてスミスが毎年授与しているもので、奨学生はスミスのフロリダの自宅でのトレーニングや、LIVゴルフ出場のスミスに同行する機会が与えられる。

オバーリーは、昨年クイーンズランド州年間最優秀ジュニア選手に選出され、今年は「ケペラ・ボウル」優勝。4月には州対抗の「全豪ジュニアインターステートマッチ」でクイーンズランドの勝利に大きく貢献した。

ビクトリア州出身のファーカーソンは、香港で開催された「アジア太平洋ゴルフ連盟ジュニア選手権」に豪州代表として出場したほか、「全豪アマ」、「リバーズデール・カップ」で準優勝するなど安定した成績を収めている。

「キャメロン・スミス奨学金」は、2016年に「ギブバック・プログラム」の一環としてスタートしたもので、トッププロが自ら受けた支援を還元するかたちで、ハイパフォーマンスプログラムを支援している。
過去の奨学生には、スミスと共に2023年のLIVゴルフを戦ったジェド・モーガンや、昨年の「BMW全豪PGA選手権」でスミスを下したエルビス・スマイリーが名を連ねている。

ゴルフ・オーストラリアのハイパフォーマンス・ディレクター、トニー・メイヤー氏は次のように語る。

「プログラムを経験した全ての若手選手が、この一生に一度の体験から貴重な教訓を得ています。そして昨年の『BMW全豪PGA選手権』では、スミスと元奨学生のエルビスが終盤で優勝を争うという、まさに夢のような瞬間が実現しました。将来、ハミッシュやチェイスがメジャーのトロフィーを掲げる日が来ることを願っています」

LIVゴルフリッパーGCのジュニアゴルフへの貢献

スミスと、LIVゴルフ・オーストラリアチーム・リッパーGCのチームメイトであるマーク・リーシュマン、ルーカス・ハーバート、マット・ジョーンズは、5~12歳の子ども向けプログラム「マイゴルフ」との3年契約の主要パートナーシップを通じて、ジュニアゴルフへの貢献も果たしている。

「『マイゴルフ』とリッパーGCのパートナーシップの長期的ビジョンは、できる限り多くの豪州の子どもたちにゴルフを始めてもらうこと」とスミスは語った。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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