

LIVゴルフとデシャンボー、ケプカの今後の行方
2025年のゴルフシーズンが佳境を迎えようとする今、男子プロゴルフ界では多くの重要な疑問が依然として大きな存在感を放っている。
ブライソン・デシャンボーとブルックス・ケプカは、今季、メジャーで優勝しているスコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイに羨望の眼差しを向けながらも、慎重にキャリアの次なる一手を模索している最中だ。
彼らが高額な初期LIV契約の終わりに差しかかる中で、今後の選択肢を慎重に検討することは当然のことであり、非難する人は誰もいないだろう。
すでに数千万、あるいは数億ドルという資産を銀行口座に蓄えており、彼らとその家族の将来の経済的安定は確保されている。
しかし、純粋にゴルフの観点から見れば、彼らは今、極めて重要な分岐点に立たされているとも言えるだろう。
デシャンボーは9月に32歳を迎え、ケプカは5月に35歳となった。
メジャー制覇という野望を抱える彼らにとっては、ゴルフの力がピークにある今後5年間で結果を出すことが急務であるのは当然だ。
では、彼らがメジャータイトルをさらに加えるためには、どのような道を選ぶべきなのか?
現在、デシャンボーは「全米オープン」2勝、ケプカは「全米プロ」3勝と「全米オープン」2勝を挙げている。
LIVゴルフには72ホールのトーナメントがなく、予選落ちのない54人のフィールドで戦っているという事実が、4日間の試合に慣れているライバルと戦う際、不利に働いている、という見方も多い。
さらに、PGAツアーがサウジの政府系ファンド(PIF)による15億ドルの出資提案を拒否したことで、LIVゴルフとの交渉が行き詰まっていると報じられており、デシャンボーとケプカの今後が注目の的となるのも当然の成り行きだ。
HSBCとの契約のキーマンはデシャンボー!?

ますます増大するデシャンボーの影響力
LIVゴルフの価値
フェアウェイの外でも大きな影響力を持つデシャンボーは、今後数週間から数か月のうちに、その存在感をさらに増すだろう。
YouTubeチャンネルの登録者は200万人を超え、アダム・サンドラー(「ハッピー・ギルモア2」の主人公)と共演した最新の「Break 50」動画は、わずか数日で600万回再生された。
さらに、彼は「スポーツ・フィットネス・栄養に関する大統領諮問委員長」に任命され、最近、ドナルド・トランプ大統領同席のもと、ホワイトハウスで演説も行なっている。
こうした事実を見れば、LIVとの再契約交渉においても彼が有利な立場にあるのも不思議ではない。
LIVゴルフの終焉を声高に叫ぶ批判者もいるが、ここ最近の一連の発表によって、懐疑的な人々でさえ注目せざるを得ない状況になっている。
過去2か月間で、LIVゴルフはMGMリゾーツとの提携、OWGR(世界ランキング)委員会への新たな申請、そして「LIVゴルフ・南アフリカ」初開催を発表した。
これはLIVゴルフにとって初のアフリカ大陸進出となり、「LIVゴルフが五大陸に展開される」という記念碑的な瞬間だと言われる。
さらに、2026年3月13日~15日には、シンガポールのセントーサ・ゴルフクラブで「LIVゴルフ・シンガポール・プレゼンテッド・バイ・アラムコ」が開催されることも発表された。
これは同イベントの4年連続開催であり、2026年シーズンのグローバルイベントとしては、アデレード(2月13日~15日)、南アフリカ(3月20日~22日)、メキシコシティ(4月17日~19日)、英国JCB(7月24日~26日)に次ぐ5番目の開催地となる。
そして7月中旬LIVゴルフとHSBCが「ゴルフの世界的普及を目的とした、革新的なパートナーシップ」を結ぶという、さらに大きなニュースも飛び込んできた。
LIVゴルフにとって、HSBCとの提携は、世界的な銀行・金融機関との初のパートナーシップとなる。
この複数年にわたるパートナーシップは、LIVゴルフの14大会から成るグローバルシーズン全体を対象とし、さらにLIVゴルフの13チームのうち2チーム(デシャンボー率いるクラッシャーズGCを含む)をサポートすることになる。
HSBCはまた、LIVゴルフが推進する地域貢献活動や次世代ゴルファーの育成、金融リテラシーに関する取り組みへの支援も行なう予定だ。
HSBCインターナショナル・ウェルス&プレミアバンキングCEO、バリー ・オバーン氏の言葉は、LIVゴルフのCEO、スコット・オニール氏にとっても朗報だったに違いない。
オバーン氏は「LIVゴルフと手を組むことをとても嬉しく思うし、共に何かを創造できることを楽しみにしている。ゴルフを観戦し、プレーする人をさらに増やしていくために、コース内外で、ゴルフの世界を広げ続け、LIVゴルフが共にこの旅路を歩んでくれることを誇りに思う」と語っている。
オニール氏も、これに対し称賛のコメントを寄せている。
「ゴルフを支え、発展させてきたHSBCの実績は素晴らしく、我々は彼らをLIVゴルフのグローバルパートナーとして迎えることを誇りに思う。私たちは共に若いファンを魅了し、音楽、文化、革新を通じてつながり、次世代に刺激を与え、私たちのブランドと愛するスポーツの両方にとって、有意義な可能性を解き放つ機会を得ているのだ」
デシャンボーもこのパートナーシップに言及した。
「LIVゴルフとクラッシャーズGCは、世界中の新たな世代や市場に対し、競技ゴルフとゴルフ文化の両方を提供している。HSBCを代表できることを誇りに思う」
果たしてデシャンボーの去就は?ゴルフファンにとっても大いに気になるところだ。
Photo/LIV GOLF
Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)
ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。
アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。




