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【世界のゴルフ通信】From Japan 日本人女子勢の勢いが止まらない!日本勢の台頭が顕著な米女子ツアー 岩井ツインズも共にツアー初優勝!

LPGAツアー・ルーキーイヤーの今年、「ブルーベイLPGA」で優勝した竹田麗央。©GettyImages
竹田と同様、ルーキーイヤーの今年、「AIG全英女子オープン」でツアー&メジャー初優勝を遂げた山下美夢有。©R&A
昨年、新人賞に輝いた西郷真央が、海外メジャー第1戦の「シェブロン選手権」でメジャー初優勝を遂げた。

今季はメジャーで日本人が2勝

米女子ツアーでの日本勢の躍進が、止まらない。序盤戦の活躍についてはすでにお伝えしているが、改めておさらいしてみよう。
3月にルーキーの竹田麗央が「ブルーベイLPGA」で初優勝。
4月にはメジャー初戦の「シェブロン選手権」を昨年の新人王、西郷真央が制した。

岩井ツインズの妹、千怜が5月の「メキシコ・リビエラ・マヤ・オープンatマヤコバ」で初優勝。
7月のメジャー最終戦、「AIG全英女子オープン」は、山下美夢有の優勝で幕となった。

これだけでも世界を驚かせる強さだが、まだまだ止まらない。
8月の「ザ・スタンダード・ポートランド・クラシック」で、岩井明愛が初優勝。
千怜も最終日、優勝争いに絡んで3位タイに入っており、ツインズの強さに注目が集まっている。

岩井ツインズが共にツアー初優勝

「メキシコ・リビエラ・マヤ・オープンatマヤコバ」で初優勝した岩井ツインズの妹、千怜。©GettyImages
「ザ・スタンダード・ポートランド・クラシック」で、姉の岩井明愛も初優勝。©GettyImages

米女子ツアーで姉妹共に優勝経験があるのは、これまでに3組しかいない。
アニカ&シャーロッタ・ソレンスタム(スウェーデン)、モリヤ&アリヤ・ジュタヌガーン(タイ)、ジェシカ&ネリー・コルダ(米国)がそれだ。
ただ、ツインズ(双子)がそれぞれ優勝したのは、史上初めて。
明愛は、次の「CPKC女子オープン」でも首位発進して4位に入っている。

優勝しない試合でも日本勢が上位に入るケースは多く、新人王(ルイーズ・サッグス・ルーキー・オブ・ザ・イヤー)タイトル争いには、日本勢の名前がズラリと並ぶ。
8月18日現在、1位が竹田、2位が山下、3位が千怜、4位が明愛と上位を完全に独占。
メジャー5試合も終わり、シーズンが終盤戦に入ったこともあり、日本勢のうち誰がタイトルを手にするのか、という状況になっている。

10月からは、アジアシリーズ5試合が行なわれる同ツアー。
中国、韓国、韓国、マレーシアと続いた後のシリーズ最終戦は、日本が舞台の「TOTOジャパンクラシック」(11月6日~9日、滋賀・瀬田GC)とあって、一回りも二回りも昨年に比べて大きくなって、タイトル争いを繰り広げる日本勢の姿が見られるはずだ。

原英莉花、来季は念願のLPGAへ

今年、エプソンツアーを主戦場に戦っている原英莉花が、「ワイルドホース女子ゴルフクラシック」で初優勝し、来季のLPGAツアーの出場権が確定。©Epson Tour

さらにもう一つ、明るいニュースが飛び込んできた。
昨年のQTで最終日まで進めず、米女子下部ツアー(エプソンツアー)で戦っている原英莉花が、「ワイルドホース女子ゴルフクラシック」で優勝したのだ。
これまでのトップ10入り7回という奮闘と併せて、ポイントランキング3位に浮上。
4試合を残して、来季レギュラーツアーに昇格できる15位以内を確定させている。

一昨年は2次からQTに挑みながら、まさかの失格という憂き目に遭遇。
昨年は、最終日に進めなかった悔しさをバネに、賞金も少なくツアーとしての環境もレギュラーツアーとは雲泥の差の下部ツアーで戦ったことで、原がたくましさを増したのは間違いない。
それだけに、来季は強豪日本勢にさらに強い選手が加わることになる。

米ツアーで戦う日本勢の暴れっぷりに比べると、国内ツアーはややおとなしい状況になっている。
昨年の上位陣がごっそり〝流出〟した時から予想されていたことではあるが、3勝している佐久間朱莉以外は8月18日現在、複数回優勝している選手はゼロ。
佐久間もメジャー参戦後、勢いが少し落ちた感がある。

日本に残った中で、最も期待された小祝さくらも1勝にとどまっている上、故障での欠場が続いている。
渡邉彩香、河本結ら中堅プレーヤーが復活し、初優勝も続出するなど、群雄割拠のまま終盤戦に突入しそうだ。

ツアーとしては、主催者都合による「フジサンケイレディス」中止や、クマ出没によって新規大会の「明治安田レディス」が短縮になるなど、不運というべき事態も起きている。
秋以降、どんな流れになるのか、まだまだ予断を許さない。

来季は試合数増加か?!
若手の台頭が目覚ましい男子ツアー

一方、男子ツアーも群雄割拠と言っていいだろう。
ここ数年のスケジュールの傾向として、夏場までは日程が空くことも多く、今年は8月半ばから佳境に入ると言っていい。

ツアー自体がようやく試合を増やす方向に転じ始めた状況もあり、海外志向の選手は増え続けている。
開催が不安視されていた「ロピアフジサンケイクラシック」も行なわれ、ツアーがポジティブな方向に向いてきたタイミングとあって、選手たちからも前向きな言葉が多く聞かれている。

シード権などを決めるランキングに、賞金額を使うのは今年で最後という方向をツアーが打ち出す中、『台頭著しい若手VS踏ん張るベテラン』の構図がどうなっていくのか。終盤に向けての戦いは盛り上がる。

ISPSも来季は4試合を開催すると半田晴久会長が宣言しており、試合増に向けての動きも今後、水面下で活発になってくる時期だ。

Text/Junko Ogawa

小川 淳子

東京スポーツのゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材。

現在はフリーでゴルフ雑誌などで執筆。

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