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【世界のゴルフ通信】From USA タイガー・ウッズと比較されることが 多くなってきたシェフラーはタイガーになれるのか?

「全米オープン」で優勝すれば、キャリアグランドスラム達成となる、世界ランク1位のスコッティ・シェフラー(右)は現在メジャー4勝。一方、タイガー・ウッズは、メジャー15勝を挙げ、トリプルグランドスラムを達成している。©GettyImages
2021年「ライダーカップ」のシングルス戦でスコッティ・シェフラー(左)は、当時の世界ランク1位・ジョン・ラームを撃破。この活躍で自信をつけたシェフラーは、ツアーで優勝するようになった。©GettyImages

タイガー・ウッズの記録を追うシェフラーの活躍ぶり

スコッティ・シェフラーがタイガー・ウッズと並び称されるには、まだ成し遂げなければならないことがいくつか残っているかもしれない。
しかし、現在の彼のパフォーマンスを見れば、かつての選手たちがウッズと戦った時に直面していたものを理解する手助けになるのは間違いない。

シェフラーは7月の「全英オープン」で優勝し、今年2つ目のメジャータイトルを獲得。
メジャー通算4勝目を挙げた。彼は4大メジャーのうち3つを制覇しており、来年、シネコックヒルズで開催される「全米オープン」ではキャリアグランドスラムに挑戦することになる。

「全英オープン」はまた、シェフラーが54ホール(3日目終了時点)のリードをそのまま勝利につなげる快挙を5大会連続で達成した瞬間でもあった。
彼は全英オープンまで、この2年間で計11勝。
そのうち9勝は54ホールのリードを守ってのもの。
ウッズはかつて43試合中41試合で54ホールのリードを勝利に結びつけた記録を持っているが、シェフラーも同じ領域に足を踏み入れている。

「ウィスリングストレーツでの『ライダーカップ』の日曜日に、僕は彼がどれほどすごい選手なのかをじかに味わった」と2021年「ライダーカップ」でのシングルス戦についてジョン・ラームは語った。
「自分は決して悪いプレーをしたわけじゃないが、勝つチャンスは全くなかった。あの年の直後から、彼の素晴らしいプレーは始まったと思う。2022年に彼が『マスターズ』で勝って以来、驚異的な選手だと認めざるを得ない。それ以前から、彼はすでに世界クラスだったけどね」

「彼が達成したことを成し遂げた選手はほとんどいない」とラームは続けた。
「ここ2年間で3つのメジャーに勝っているし、昨シーズンだけで7勝して、今も勝ち続けている。誰もがやりたいことを彼はやっているんだ」

シェフラーはさらに、「BMW選手権」と「プロコア選手権」でも勝利を重ね、ローリー・マキロイと並んで今年の主役となった。
彼はわずか4年間でPGAツアー通算19勝を挙げ、すでにベン・クレンショー、アーニー・エルス、トム・カイトらに肩を並べている。
そしてすでにジャスティン・トーマスやジョーダン・スピースを上回っているのだ。
彼らが、「保証された未来などない」という警鐘を鳴らす存在だ。

優勝し続けるのが難しい時代

今年の「全英オープン」で、メジャー4勝目を挙げたシェフラー。今季は「全米プロ」に続き、メジャーで2勝した。©R&A

10年前、スピースは「マスターズ」と「全米オープン」で優勝。
「全英オープン」は1打差でプレーオフを逃し、「全米プロ」でも2位に入った。
その頃は25勝以上する運命にあるように思われたが、2017年の「全英オープン」優勝以降は、わずか2勝を加えただけで、通算13勝にとどまっている。
トーマスも2022年に15勝目を挙げてから、今年ようやく16勝目を加えただけだ。

勝ち続けることはますます難しくなっている。
マキロイは今年「マスターズ」に勝って通算29勝目を挙げ、キャリアグランドスラムを達成したが、30勝に到達する選手は今後ほとんど現れないかもしれない。
彼も素晴らしい年を過ごし、「AT&Tペブルビーチプロアマ」、「プレーヤーズ選手権」で優勝し、さらに地元の「アイリッシュオープン」で優勝を飾った。

このことは改めて、ウッズ(82勝)やフィル・ミケルソン(45勝)の成し遂げた偉業を際立たせている。

「シェフラーは驚異的な選手だ」とトミー・フリートウッドは語る。
「彼のような選手がいて、私たちが尊敬し、追いかけ続けられるのは素晴らしいこと。彼がこのままの調子でいけば、僕たちは、彼のことを歴代の偉大な選手たちに対するのと同じ気持ちで語るようになるだろうし、同じ時代にプレーしたんだと言えるんだ」

シェフラーは今年6勝を挙げ、2年連続で5勝以上を記録した。
ウッズはそれを10回達成し、2000年にはシーズン9勝を挙げている。
したがって、両者を比較するのはまだ時期尚早かもしれない。
しかし、シェフラーは、リードを奪えばそれを守る、あるいはさらに広げるというウッズと共通する資質を発揮している。
「全英オープン」の最終日、彼は4打差のリードでスタートし、1番ホールでバーディ、さらに4番と5番でバーディを重ねた。
8番でダブルボギーを叩いたが、それが後半36ホールで唯一のオーバーパーだったにもかかわらず、不安を覚える場面はほとんどなかった。

スーパースター、シェフラーの特異な性格

ダラスでよくシェフラーと一緒にラウンドするスピースは、世界ランク1位の彼がウッズと異なる点を指摘する。

「彼はスーパースターであることに関心がないんだ」とスピースは言った。
「タイガーのようにゴルフを超越してゲームを広めているわけじゃない。ゴルフをしない人々にゴルフを普及させているわけでもない。僕たちの多くがビジネスとしてやっているようなことはしたくないんだ。ゴルフから離れたいし、ゴルフと自分を切り離したいんだ。かつて彼はゴルフに関わり過ぎていると感じたことがあったと思う。けれど、ある時に何かを切り替えてからは違う。趣味もあるし、常に家族と一緒に過ごしている。いつも何かをしているんだ。たぶん現代のどのスポーツにおいても、彼のような個性を持つスーパースターは存在しないと思う」

今年の汚点といえるのは、シーズン序盤に手のケガで出遅れたこと。
そして米国が欧州に敗れた「ライダーカップ」での戦績だった。
彼は1勝4敗(チーム戦では0勝4敗)と不振で、シングルスでマキロイに勝ったのが唯一の勝利だった。
マキロイは3勝1敗1分と健闘し、唯一の敗戦がシェフラーとの対戦だった。

それでもシェフラー、マキロイは素晴らしい一年を過ごした。
今季、異彩を放ったのはJ・J・スポーン。
彼は「全米オープン」で18番ホールの長いパットを沈めて優勝するというサプライズを演じた。
フリートウッドは「ツアー選手権」を制してフェデックスカップ王者となり、これがPGAツアーでの初勝利となった。

そのほかの大きなニュースとしては、NFLの要職にあったブライアン・ローラップ氏がPGAツアーエンタープライズの初代CEOに就任したことが挙げられる。
彼は6月に就任し、コミッショナーのジェイ・モナハン氏は2026年まで契約を全うする予定だ。
その後、モナハン氏のポジションがどうなるのかはまだ明らかになっていない。

今年の6月にPGAツアーのCEOに新たに就任したブライアン・ローラップ氏(左)。現コミッショナーのジェイ・モナハン氏(右)の任期は、2026年末まで。中央は、フェデックスカップ総合優勝を果たした、トミー・フリートウッド。©GettyImages

2026年開幕戦「ザ・セントリー」の開催中止決定!

現在のカパルア・プランテーションコースの18番ホールと1番ホール。水不足で芝は枯れ果てており、9月からコースをクローズしているという。©Kapalua Plantation Course

また、2026年の開幕戦は、ハワイ・マウイ島のカパルアリゾートでの開催が不可能となり、代替コースを探していたが、ついに中止となってしまった。
というわけで、開幕戦は「ソニー・オープン・イン・ハワイ」となる。

Photo/Getty Images, R&A

Text/Bob Harig

ボブ・ハリグ(アメリカ)

Sports Illustrated誌のゴルフライター。25年以上にわたり、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

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