ゴルフの経済を知ればビジネスのヒントも見つかる!
今回のテーマは「今もゴルフ界でNo1の年収 を稼ぎ出すタイガー・ウッ ズの価値」と「Go To トラベルキャンペーンはゴルフにとって追い風か」です。
今もゴルフ界でNO.1の年収を稼ぎ出すタイガー・ウッズの価値
「人生の苦難はあれど、戦い続ければ乗り越えられる」
記録も記憶も更新中のタイガー
タイガー・ウッズがプロ入りしたのは1996年。
現在44歳の彼は数々の記録を作ってゴルフファンのみならず、世界の人々を熱狂させてきた。タイガーがこれまでPGAツアーで獲得した賞金総額は、約130億円。これはもちろん歴代1位の記録だ。
タイガーは賞金だけでなく、スポンサーとの契約金もケタ違い。
プロ転向後から継続的に契約しているナイキなどと数多くのスポンサー契約を結んでいるが、米国の経済誌『フォーブス』によれば、プロスポーツ選手の生涯年収ランキング(2017年発表)で、タイガーはアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラスを抑え全体の2位にランクインしている。
その額は17億ドル(約1836億円)。
1位はバスケットボールのマイケル・ジョーダンの18・5億ドル(約1998億円)だ。
タイガーが憧れた〝バスケの神様〟に約1・5億ドルに迫っている。
同じく『フォーブス』が発表した高額年収のアスリートトップ100(最新2020年版)では、タイガーは8位。
6230万ドル(約67億円)は、ゴルフ界では断トツの1位で、ローリー・マキロイが14位で5200万ドル(約56億円)となっている。
スポーツ選手としては44歳という高年齢にも関わらず、この年収を現在も獲得できているのは彼の精神力の強さと、周囲を惹きつけてやまない魅力のおかげだ。
ちなみにテニスの大坂なおみは3740万ドル(約40億円)で29位と、女子スポーツ選手の史上最高額として話題になった。
「毎日朝はやってくるし、目の前には常に挑戦しなければいけないことがある。しかし戦い続ければ、それらは乗り越えられる」
これは2019年、マスターズで優勝した直後の会見でタイガーが語っていた言葉。
まさにコロナウイルスとの戦いにも通じる言葉である。タイガーほどの年収を稼ぐことはできなくても、同じ想いで人生の辛苦を乗り越えたいものだ。
Go To トラベルキャンペーンはゴルフにとって追い風か
コロナの影響で前年比マイナスのゴルフ経済。
今後の巻き返しを図るカギは……?
新型コロナの収束がなかなか見えてこない中、ゴルフ界もその影響を受け続け、ブレーキが掛かっている。
8月の経済産業省の特定サービス産業動態統計によると、ゴルフ場の売上高推移の前年同月比増減は4月7日に緊急事態宣言が発令された後、4月マイナス49・1%、5月マイナス46・0%、6月マイナス34・1%と大幅に落ち込んでいる。
緊急事態宣言は5月25日に全国で解除されたが、6月もマイナス、7月については統計が出ていないが、20%近くはマイナスと予測されている。
関東地区のあるゴルフ場に話を聞くと「回復傾向ですが、まだ前年比マイナスの状態が続いていますね。特に、コンペ需要がなくなり、パーティ減少によるレストランの売り上げも減少しています。またコロナの影響かもしれませんが、1組4人で回るお客様が少なくなり、3人、2人で回る方が増えて売り上げが伸びません」と厳しい現状を語っていた。
この打開策はあるのだろうか。
そもそもゴルフは広い空間で行なわれるスポーツで、3密にははなりにくい。その上、一人用のカートを導入して更にソーシャルディスタンスを確保するコースもあるようだ。
また、内閣官房コロナ対策室、経済産業省の協力を受けてゴルフ場の「新型コロナウイルス感染防止ガイドライン」を作成し、ゴルフ場従業員の運営管理、またプレーヤーに要請する感染防止対策が出来ているかをチェックし、「新型コロナウイルス感染防止ガイドライン実施宣言」を掲出して、ゴルファーが安心してプレーできる環境の整備を進めている。
そして、もう一つプラスに働くかもしれないのが、政府が推し進めている「Go Toトラベル事業」である。
予算規模は約1・7兆円と莫大で、一般には旅行代金の割引というイメージが強いが、予算の3割、約5100億円は旅行先で使える地域共通クーポンに充てられる。
この地域共通クーポンは、ゴルフ場が登録すればそのゴルフ場で使える。「Go Toトラベル」で「Go Toゴルフ」である。
2019年レジャー白書によるとゴルフ場の市場規模は8540億円。Go Toトラベル事業を積極的にゴルフ界が取り入れれば、打開策の一つにはなるだろう。
広い緑の空間で体を動かすことは、フィジカル面、メンタル面でもプラスに働くことは間違いない。
感染防止対策とゴルフをすることによる経済効果。この両輪で、ゴルフ経済のマイナス分を挽回していきたいものである。
Text/Hirato Shimasaki Illustration/Koji Kitamura