2021年 世界のゴルフ界はどうなる?
昨年から世界中で蔓延している「新型コロナウイルス」も、いまだに収束を見ない状況で、世界のゴルフ界にも多大な影響を及ぼしている。
2021年はいったいどんな一年になるのか?
世界のゴルフ記者たちに各地の展望を占ってもらった。
ゴルフは「3密」を防げるスポーツとして、世界中で注目され、ゴルフ人口も増加しているという。
いよいよ今年は延期された「東京オリンピック」の開催年。果たして無事実施することはできるのだろうか?
マスクを着用しながらプレーするゴルファー。
ソーシャルディスタンスを促すトーナメント会場内の表示。
コロナ感染拡大を防止するため、カップを浅くして、間接接触をできるだけ防ぐ工夫がなされている。
WITHコロナ時代では、バーチャルサイン会が主流に。モニターを通じてファンとの交流を深める。写真はブリタニー・リンシコム。
練習場も1打席空けて営業するなど、人と人との距離を取るための対策を打っている。ニューヨーク近郊の練習場で。
コロナ対策は万全に、徐々に観客を入れながら通常に戻ることを期待!
2021年のPGAツアーだが、おそらく2020年のシーズン終盤とほぼ同じような形で大会が開催されることだろう。
つまり、観客はほとんど入れず、選手には1週間に一度か二度の新型コロナウイルス検査を実施して、開催の運びとなることを祈ることになる。
スケジュールについて、現時点での計画では、年始はハワイのカパルアで開催される「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」からスタートし、9月初めの「ツアー選手権」で終わる予定だ。
コロナ禍のせいで11試合がキャンセルとなった2020年とは異なり、中止を最少限に抑えて全てのトーナメントを実施する方向で進められるに違いない。もちろん賞金も全額で、ある時点ではもっと観客を入れて開催されることになるだろう。
以下、2021年のPGAツアーに関するトピックスについて考察してみたい。
昨年末から人数を絞って観客を入れる試合も増えてきたPGAツアー。今年はさらに人数を増やしていくことだろう。
写真は昨年、コロナウイルスに感染したダスティン・ジョンソン(右)とアダム・スコット(中央)。
【賞金について】
トーナメントの財源は限られているが、賞金は減額せずに行なわれるようだ。通常、賞金はタイトルスポンサー料とテレビの放映権料で支払われ、PGAツアーにもこれら料金の一部が入るが、イベントの運営費は地元の主催者が負担する。
しかし、現時点では現地収入が見込めないため、ツアーはローカルイベント開催のために、何億円も補助しなければならない。
「我々は未だに不安定な状況下にある」とPGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハンは語る。
「しかし、我々はイベントの30%を実施できず、2020年のイベント数は減少した。
その一方で、タイトルスポンサーやトーナメント協会から受けたサポートや、選手たちが3億6000万円以上の新型コロナ関連の寄付金を集めた事実にも目を向ける必要がある」
「今年は何とか乗り越えられるといいが……。去年は新型コロナウイルスの影響で、例年通りのツアーの成長・発展を遂げることができなかったが、今年は早く通常の状態に戻り、いつも通りの発展を遂げたいと思っている」
13週間のツアーの一時休止期間は、プレーできず、トーナメント収入を得られなかった選手にとっては減給となった。
いくつかのイベントは日程を組みなおして実施されたが、約8000万ドル(約83億円)の賞金が支払われなかった計算だ。
Text/Bob Harig
ボブ・ハリグ(アメリカ)
ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。
Photo/Getty Images、PGA TOUR、PGA of America、Stan Badz、Eiko Oizumi