Text & Photo/Eiko Oizumi
Tournament/Asia Pacific Diamond Cup Golf
昨今の日本男子ゴルフツアーにも、若手ブームが押し寄せている。
リーダーボードを見ても、名前も顔もわからないという選手や、@マークがついたアマチュア選手も多く、ゴルフファンの皆さんでも知らない選手が多いことだろう。実際、私も先日初めて今年の国内男子ツアーの取材に赴いたが、初めて目にする選手も多く、プロゴルファーですら「最近は若手が多くて、よくわからないよ」と言う人もいるくらいである。「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップbyサトウ食品」で優勝した片岡尚之も、プロ転向後4試合で初優勝した23歳の若手選手だ。
そんな若手が活躍する昨今のツアー事情だが、2007年に15歳(当時高校1年生)でプロのトーナメント「マンシングウエアオープン・KSBカップ」で優勝した石川遼も、今年の9月で30歳を迎える。いわゆる若手旋風の走りのような存在となっているが、彼は今の状況をどう見ているのだろうか?
「(若くて才能あふれる選手は)本当に多いですし、今は若手とベテランの戦いになってきていますね。ただ、ベテラン選手たちはやっぱりまだまだすごく強い。今まではなかなかそこに若手が割って入っていけなかったところが、若手で強い人たちが出てきた。そこが変わってきているのは明らかだと思います」
タイガー・ウッズの出現で、タイガーのようなプロゴルファーを目指したいという、いわゆる「タイガーキッズ」と呼ばれるゴルファーたちが世界中にいるが、石川遼や先日「マスターズ」で優勝した松山英樹もその1人だ。そして彼らの下の世代で、プロ入りしたばかり、あるいは学生ゴルフ部に所属しているが、まもなくプロ入りを目指すアマチュア選手たちの層が、非常に厚くなってきている。昨年秋に鳴り物入りでプロ入りし、すでに国内ツアーで2勝を飾っている金谷拓実や、プロ入り後4試合目で優勝した片岡尚之、アマチュアだがすでに何度もプロの試合で上位に顔を出している中島啓太、河本力、米沢蓮、小林大河などがいる。(そして、タイガーの影響で、大河と名付けられた選手たちが、小林の他、杉原、岩田など複数人いるのも最近の若手選手の特徴だ)
さて、そんな若手とベテランの入り混じるツアーで、石川遼は自分自身をどう位置付けているのか?
「遼さんと呼ばれることがすごい増えちゃったんで……(笑)。でも、ベテランというのはおこがましいですね。手嶋(多一)さんや宮本(勝昌)さん、藤田(寛之)さん、片山(晋呉)さんとか、自分が2000年〜2002年にテレビで観ていた時から第一線でやっている人たちが、今も一緒にプレーしているし、本当にすごいなって。どれだけうまいんだって思う。だから自分はベテランとは全く思っていないけど、ただ若くもないな、と」
昨年の日本シリーズの出場平均年齢は30歳だったというから、それを考えればちょうど若手とベテランの中間といえるが、15歳でプロの試合で優勝している彼のプロゴルファーとしての経験値、プロゴルファー年齢は、29歳にしてすでにベテランの域に差しかかりつつある。
今年の年初に「30〜40代の10年間は男子ゴルファーにとって大事な10年。35歳とか38歳で、行ったことのない境地に行きたい。怪我に気をつけて、大きな夢を持つ30代になればいい」と語っていた石川遼。勢いある若手としぶといベテランに挟まれながら、まずはツアー18勝目を目指す。