Text/Eiko Oizumi
Photo/PGA of America、Eiko Oizumi
本来は昨年開催される予定だった、自身の国と大陸の威信をかけて戦う欧米の男たちの戦い「ライダーカップ」が、ついに1年遅れで9月29日〜31日に米国ウィスコンシン州・ウィスリングストレーツで行なわれる。
「ライダーカップ」の歴史は古く、1927年にイングランドの大富豪サミュエル・ライダーが提唱したことから始まった。創設当初はアメリカVSイギリスの対抗戦だったが、1973年からはアメリカVSイギリス&アイルランド連合の対抗戦となり、1979年からは欧州全域の国々の連合チームとの対抗戦となった。2年に1度開催され、現在は日本を含む世界選抜vsアメリカの「プレジデンツカップ」と交互に行われている。1983年まではアメリカチームの圧勝だったが、1985年以降はスペインのセベ・バレステロスやイングランドのニック・ファルドらの出現もあり、17戦中12勝を欧州チームが挙げている。
賞金もポイントもつかない大会だが、欧米のプロゴルファーたちは皆、メジャーに優勝したいという目標のほかに、「ライダーカップ」に出場して、優勝に貢献したいという目標があるほどの、人生最大のビッグイベントの一つなのだ。
今年のアメリカチームのキャプテンは、地元ウィスコンシン州出身のスティーブ・ストリッカー。そして欧州チームはアイルランドのメジャーチャンピオン、パドレイグ・ハリントンである。彼らは大会前の記者会見で次のように語っている。
「ライダーカップのキャプテンになるなんて、考えたこともなかった。信じられない道のりだよね。すごく光栄だし、ハッピーだ。米国チームは欧州チームよりも平均年齢が5歳若いけど、みんな一生懸命だし、エネルギッシュだ。ここ12試合で2〜3回しか勝ってないけど、悪い経験をしてきたわけではない。ポジティブにとらえ、みんな盛り上がってるよ」(ストリッカー)
「ブライソン・デシャンボーとブルックス・ケプカに関しては、私にとってもチームにとっても特に問題ではない。数週間前に6人で集まり、2人とも会話したよ。どんなことがあっても別に心配はしていない。一緒にプレーさせるかと言われれば、今の時点ではそうではないと思うが、状況が変わるかもしれない。でも可能性がないわけではない。たぶんないけどね」(ストリッカー)
「今週は4万人のアメリカのファンだけしかいない場合であっても、観客がいないよりはいい。その方が現実味がある。騒がしさとか興奮が必要なんだ。選手たちはそれにうまく対応して、喜ぶくらいじゃないとダメ。彼らは楽しんでプレーするだろうね」(ハリントン)
「ヨーロッパはもちろん強いチームだ。特にアウェーの時にその威力を発揮する。僕のチームは経験豊富だし、そのことがとても心強い。うちのチームにも経験のないルーキーが何人かいるが、彼らはやる気がある。だが、我々のチームは経験に強く基づいているんだ」(ハリントン)