勝利の美酒に酔う米国選抜。最後のセンセーショナルな出来事とは?
「ライダーカップ」よりこっちの方が気になる?!
米国選抜の優勝会見もそろそろ終わろうというその時に、後列に座っていたジャスティン・トーマスが声を上げた。
「会見が終わる前に、ブルックス(ケプカ)とブライソン(デシャンボー)に、部屋の真ん中でハグしてもらいましょう。僕たちのチームがいかに素晴らしいかを証明するために、これから2人がハグしますよ。そして2人にトロフィーを掲げてもらいましょう」
それを聞き、前列に座っていたデシャンボーはトロフィーの前に移動してケプカに対し「こっちに来いよ」と言わんばかりに手招き。ケプカは照れ隠しなのか、嫌々なのかはわからないが、渋々、デシャンボーの元に歩み寄り、そして2人はガッチリとハグ♥! これがその時の写真である。この時、周囲には記者しかいなかったので、しっかりと一眼レフのカメラで写真を撮っていたのは私だけだったが、最後の最後でいい写真が撮れた。
険悪ムードの2人。「ライダーカップ」を機に雪解け?
この2人の確執について、ご存知ない方もいると思うのでおさらいしておこう。2019年、デシャンボーのスロープレーに対し、ケプカが苦言を呈したことを発端に2人の関係は悪化し、現在に至っている。今年の「全米プロ」では、ケプカがテレビインタビューを受けている最中に、後ろを通り過ぎたデシャンボーに苛立つ姿が映し出されたり、デシャンボーが「ブルクシー」とケプカの名前を呼ぶ野次を飛ばされ、ファンに対して激昂する事件などもあった。ファンやツアーも巻き込んで、ますます関係は悪化していたが、「ライダーカップ」直前に、ケプカは「1週間だけのことだし、ペアを組んだり、話をすることもない」と語っていた。そして実際、その言葉通り、ペアを組むこともなければ、オープニングセレモニーや表彰台、記者会見上で2人が並ぶことはなかった。ストリッカーがむしろ2人を意図的に離していたのかもしれない。
そんな険悪なムードの2人だっただけに、この時のハグのシーンには私たちメディアだけでなく、選手たちも驚いた。写真からもわかる通り、皆、嬉しそうに笑い、フィナウはその貴重な場面を写真(動画?)に収めている。ダニエル・バーガーやパトリック・キャントレーら、普段はポーカーフェースの2人も嬉しそうだ。
この後の2人に会話があったのかどうかはわからないが、後日ケプカがデシャンボーの飛距離について問われると、その努力を認め、称賛する発言があったという。そして、高額賞金を争うことでおなじみのエキシビションTVマッチの「ザ・マッチ」第5弾で、デシャンボーとケプカという因縁の2人が、11月26日に直接対決することが決まった。ちょうどこの雑誌が発売される直前に行なわれるイベントだが、詳細については次号でまたご紹介したい。
Text/Eiko Oizumi