Come Back, Tiger!
今年で最後?!
セントアンドリュース開催の「全英オープン」次回は2030年?!
大勢のファンからスタンディングオベーションと大きな拍手で迎えられたタイガー。
最後はキャディのジョー・ラカバとハグを交わし、彼のサポートに感謝。今年はメジャー3試合に出場し、2試合で予選通過、1試合(全英オープン)で予選落ちに終わった。
昨年2月に交通事故で瀕死の重傷を負ったタイガー・ウッズ。
現在は、リハビリに励みながら試合にも復帰しているが(今年はメジャー3試合のみ)、年頭の目標は、「全英オープン」に出場することだった。
だが、世界のゴルフファンたちが予想していたよりも早い、4月に「マスターズ」で復帰し、見事、予選通過。
5月の「全米プロ」にも出場し、予選通過を果たして、奇跡的な回復ぶりを見せていた。
だが、本命の「全英オープン」では通算9オーバー。
予選通過は叶わなかったのである。
「初日も2日目も、グリーン上で苦戦した。グリーンスピードがつかめず、十分な強さでパットできなかった。何度もパットをショートさせてしまったよ。それに何度かミスショットもあったし、それが悪いライにハマってしまった」
初日の1番ホールでは、クリークに打ち込み、ダブルボギー発進。
9番ホールでやっとバーディを奪ったものの、41を叩き後半へ。
なかなかイーブンパーに戻すことができず、3バーディ、5ボギー、2ダブルボギーの78(6オーバー)で終了した。
そして2日目も1バーディ、2ボギー、1ダブルボギーの75で、通算9オーバー。
6回目の聖地での「全英オープン」で予選通過を果たすことはできなかった。
1995年にアマチュアとしてセントアンドリュースでの「全英オープン」に初出場したタイガーにとって、聖地・セントアンドリュースとは、いつきても特別な場所であり、初めてグランドスラムを達成した場所でもある。
1995年に初めて訪れた時、練習ラウンド中に橋の上に座って写真を撮ったが、その写真が今も事務所に飾られているそうだ。
「1995年にこのコースに恋に落ちて以来、ずっとお気に入りのコース。いろいろな方法でプレーできるのが好きなんだ」
もしかしたら今年でセントアンドリュースでの「全英オープン」に出場するのも、最後になるかもしれない……そんな思いを胸に抱きながら戦った2日間だったが、予選カットラインからはほど遠く、週末のプレーは実現できなかった。
2日目の最終18番ホールでティーショットを放ったタイガーは、ギャラリーからの大きな歓声と拍手を浴びながら、名物のスウィルカンブリッジへ……。
キャップを右手に掲げ、ギャラリーたちの歓声に応えながら、そして大好きなセントアンドリュースへ別れを告げるように、橋の上でキャップを左右に振った。
「引退はしない。だが、8年後、セントアンドリュースに戻ってきて、プレーはできないかもしれない」―タイガー・ウッズ
2日目の最終ホールのティーショット。あと1ホールを残して、通算9オーバーと、予選落ちは決まっていたが、最後まで王者の風格を漂わせてホールアウトした。
1995年に初めてセントアンドリュースを訪れて以来、大好きになった、というタイガー。
「全米オープン」チャンピオンのマシュー・フィッツパトリック、マックス・ホーマと予選ラウンドをともにした。
「すごく感傷的になってしまった。1995年以来、セントアンドリュースにきているが、次のここでの『全英オープン』が2030年だとしたら、肉体的にプレーできるかどうかわからない。だから、今回がセントアンドリュースでの最後の『全英オープン』のように感じたんだ。ファンのスタンディングオベーションや温かい拍手や歓声は、信じられないくらい素晴らしかったよ」
「ジャック(ニクラス)やアーノルド(パーマー)が過去、引退した時、どんな経験をしたのかわかった。自分も最後は同じような気持ちだった。ファンたちはゴルフとは何なのかを理解しており、『全英オープン』のチャンピオンになることがいったいどんなことなのかを理解している。僕はあまり泣かないタイプの人間だけど、ちょっと涙が込み上げてきた。ファンたちは僕のスコアでは予選通過できないことを知っていたが、最終ホールの方に戻ってくるにつれて、どんどん彼らの歓声が大きくなっていった。僕はこの試合にいつも敬意を払っているし、ゴルフというゲームの伝統をリスペクトしている」
「僕は幸い、ここで2回も優勝している。ただ自分の健康状態がどんな感じになるのかがわからないだけに、とても感傷的な気持ちになってしまった。今後、『全英オープン』でプレーすることはできると思うし、ゴルフという競技から引退するつもりはないけど、セントアンドリュースに戻ってくるまでプレーできるかどうかわからない。8年後に、競技レベルのゴルフができるかどうか疑わしい」
アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラス、トム・ワトソンが過去この地で「全英オープン」を引退し、スウィルカンブリッジの上で立ち止まって記念撮影を行なったように、タイガー・ウッズにも「橋の上のセレモニー」をきちんと行なったのちに引退してほしい。
今から8年後には、彼は54歳。彼のいう「優勝争いができる競技レベルでのプレー」は難しいかもしれないが、是非彼には再びこの地に戻ってきて、史上最強のレジェンドゴルファーとして、最後の橋を踏んでほしいと願っている。
恐らく今年が最後の聖地での「全英オープン」だったかもしれない選手たち
フィル・ミケルソン
アーニー・エルス
リー・ウエストウッド
セルヒオ・ガルシア
タイガー・ウッズだけではない。
セントアンドリュースでの「全英オープン」が、今年で最後だったかもしれない、という選手は他にもいた。フィル・ミケルソン、アーニー・エルス、リー・ウエストウッド、セルヒオ・ガルシアらだ。ミケルソンとエルスは「全英オープン」チャンピオンなので、60歳までは出場できる。
だから、ギリギリ、聖地に戻ってくることも可能だろうが、もはや優勝争いをするレベルではないだろう(59歳のトム・ワトソンが2009年の「全英オープン」でプレーオフの末に敗れた例もあるので、断言はできないが)。
それはタイガーも同じことだ。
ミケルソンはLIVゴルファーとなって以来、特に米国以外でのファンからの反応が薄い。
彼もメジャーチャンピオンであり、タイガーと人気、実力を二分したスーパースター。
それなのに5オーバーで予選落ちし、ほとんど注目もされずにひっそりと姿を消した。
時折かかる声援に対して、サムアップ&笑顔で応えていたが、そんな姿を見て、悲しい気持ちになったのも事実である。