国際スポーツ振興協会・会長
半田晴久
偉大なプロたちは優勝経験だけでなく王者の哲学を持っている
「全米女子オープン」でメジャー2勝目を飾ったミンジー・リー。目標は「世界ゴルフ殿堂入り」を果たすこと。
メジャーに勝つことは、プロゴルファーとしての夢であり、究極の目標でもあります。
しかし、真に偉大なプロは、ただ単に勝つだけでなく、勝つことの意義や、周囲に与える影響など、王者の“哲学”を持っているようです。
今年の「全米女子オープン」では、ISPSアンバサダーのミンジー・リー(豪州)が、見事なゴルフで優勝を遂げました。
彼女が一番欲しかったタイトルです。
昨年の「アムンディ・エビアン選手権」に続き、これがメジャー2勝目です。
この活躍の陰には、彼女の揺るぎない信念と、強い思いがありました。
彼女のプロゴルファーとしての究極の目標は、「単にプロゴルファーとして優勝したり、賞金を稼ぐだけでなく、ゴルフ殿堂入りすること」です。
本人から直接聞きました。
さらに、ゴルフを通して社会に貢献し、人の役に立つ存在になりたいと、20歳過ぎの彼女は語ってたのです。
ところで、2019年、「ISPSハンダ・HANDA Watch Worldカップ」を開催しました。
この大会では、アーニー・エルスやニック・ファルどなど、過去のメジャーチャンピオンで、ISPSのアンバサダーの顔ぶれが揃いました。
この時、ミンジー・リーもいたのです。
アマチュアで世界一になり、プロでも活躍している、人気の彼女と接することで、何かを学んでもらおうという目的で、高校生ゴルファー12人を招待しました。
その懇親会で、彼女は高校生たちに次のように訴えました。
「プロの世界は、強い気持ちが必要であり、自分との戦いです。強くなるためには、人間として多くを学ぶ必要があり、プロは賞金を稼ぐことだけが目的ではありません。人間的な幅や、教養を身につけてください。応援してくださる人たちのお手本となり、常に感謝の気持ちを忘れないで。そして、長くプレーするには目標を立てること。そのモチベーションが、皆さんを成長させてくれるでしょう」。
これは、彼女が語ったほんの一部です。
当時は、まだ23歳だったのです。
彼女が目指す“殿堂入り”を叶えるためには、勝利数を重ねるだけでなく、人間としての幅が認められなければなりません。
彼女にその姿勢がある限り、これからもメジャーを取り続けるでしょう。