ゴルフの4大メジャーは、長年に渡ってそれぞれ独自の歴史を歩み、他と異なる主体性を確立してきた。
ここでは4大メジャーの違いについて簡単に説明しよう。
THE MASTERS
マスターズ
13番ホール・パー5。イーグルも出る劇的なホール。グリーン奥のツツジが美しい。
毎年同じコースで行なわれるボビー・ジョーンズ創設の招待試合
30年代半ば以降、メジャーはたいてい、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロの順で開催されてきた。
しかし昨年からPGAツアーのシーズン短縮のため、かつて栄光のラストショットとして知られた全米プロは8月から5月に変更された。
マスターズは、出場選手数が最小で、毎年ジョージア州のオーガスタナショナルGCで開催される。
アーメンコーナー(11番~13番ホール)とバックナインの名高い2つのパー5ホール(13番と15番ホール)が特徴的だ。
この大会は、極めてプライベートで閉鎖的なオーガスタナショナルGCのメンバーが主催している。
優勝者にはグリーンジャケットが贈られるが、この慣習が始まったのは49年から。
トーナメント開始前日の水曜日の午後に、敷地内にあるパー3コースで開催される「パー3コンテスト」や、トップアマチュアを6人ほど招待し、希望者はクラブハウス内で宿泊できるという習慣はマスターズだけである。
昨年はフランチェスコ・モリナリと最終組で戦ったタイガー・ウッズが優勝。
【日程・ゴルフ場】
延期のため未定 オーガスタナショナルGC(米・ジョージア州)
PGA CHAMPIONSHIP
全米プロ
TPCハーディングパークはサンフランシスコ郊外に位置する市営コース。過去、プレジデンツカップやシニアのチャールズ・シュワブカップ、WGCアメックス選手権などが開催されている。
全米のクラブプロも出場するプロゴルファー世界1を決める大会
現在、全米プロは5月に開催されており、PGA ・オブ・アメリカが主催している。
PGAはティーチングすることで競技の普及に尽力する約2万9000人のクラブプロをまとめている運営組織である。
1916年に初めて開催された全米プロは、2018年にベルリブで第100回となる大会を開催し、タイガー・ウッズ、アダム・スコットらと優勝争いの末、ブルックス・ケプカが優勝した。
ケプカは、翌年5月に時期を変えた、ニューヨーク州のベスページ・ブラックでの全米プロで2連覇を飾っている。
過去30年間にわたり、4大メジャーの中で最も公平なセットアップを行なうことで知られる全米プロでは、目が離せないエキサイティングなフィニッシュが数多く生み出されてきた。
出場選手には、参加を希望する過去の全米プロ優勝者とクラブプロ20人が含まれる。
TPCハーディングパークで09年プレジデンツカップが開催され、石川遼が大活躍。
【日程・ゴルフ場】
5月14日~17日 TPCハーディングパーク(カリフォルニア州)
US OPEN
全米オープン
ウィングドフットGCは過去5回の全米オープンが開催されているニューヨーク郊外の名門チャンピオンシップコース。
ドッグレッグホールが多く、球の打ち分けが要求される。
ミケルソンが優勝目前で崩落。ウィングドフットでリベンジなるか?
全米オープンは、1895年に初めて開催され、メジャーの中で最も難しい試合として広く知られている。
卓越した才能だけでなく、勇気とリカバリー力を十分に備えていることを証明しなければならない。
そして全米オープンの優勝スコアはイーブンパーに近いことが多い。タイガーウッズ(ペブルビーチ、2000年)は、世界のトッププロたちを15打差で打ち負かし、それまでのメジャーで誰も目にしたことのない最高峰のパフォーマンスを叩き出した。
ウッズは12アンダーでフィニッシュし、アーニー・エルスとミゲル・アンヘル・ヒメネスが3オーバーで2位タイであった。
全米オープンに出場する全選手156人の約半数が、予選を通過する。
今年の全米オープンはウィングドフットに帰ってくるが、前回の2位はフィル・ミケルソンで、6試合に1回は全米オープンを2位で終えている。
全米オープンに優勝すればグランドスラムを達成するが、今年はまだ出場資格がない状態だ。
ウィングドフットGCで行なわれた2006年全米オープンはジェフ・オギルビーがメジャー初制覇。
【日程・ゴルフ場】
6月18日~21日 ウィングドフットGC(ニューヨーク州)
THE OPEN
全英オープン
ロイヤル・セントジョージズGCはドーバー海峡から約30分ほどのところに位置する。この地での前回大会ではダレン・クラークが優勝した(2011年)。
ゴルフの原点の地で開催される伝統と歴史の最古のメジャー
4大メジャーの中で最も古いのは全英オープンで、R&Aが主催。
今年はイングランドのサンドウィッチにあるロイヤルセントジョージズでの開催で149回目となる。
全英オープンは、世界でも屈指のシーサイドリンクスコースで開催されるが、全英オープン開催コースは、主にイングランドとスコットランドにあり、セントアンドリュース・オールドコース、ミュアフィールド、ロイヤルバークデール、ロイヤルリザム&セントアンズのような世界最高峰の珠玉が揃っている。
本来なら、今年はスコットランドのセントアンドリュース(2000年、05年、10年、15年)で選手権が行なわれるはずだったが、来年の第150回を聖地セントアンドリュースで迎えるため、開催年がズレたのだ。
優勝者は「チャンピオンゴルファー・オブ・ザ・イヤー」に認定され、クラレットジャグを授与される。
また最近は世界中の選手たちがすべてのメジャーに参戦しているが、全英オープンはその中で最も世界的な大会として広く知られている。
通称「ヒマラヤ」と呼ばれる名物バンカー。その名の通り高くそびえ立つが、プロがこのバンカーにつかまることはまずない。
【日程・ゴルフ場】
7月16日~19日 ロイヤル・セントジョージズGC(英国)
Text/Jeff Babineau