2022年LIVゴルフ最終戦、ダスティン・ジョンソン率いる4ACES GCが総合優勝!
左からグレッグ・ノーマン(LIVゴルフCEO&コミッショナー)、テーラー・グーチ、パット・ペレツ、ダスティン・ジョンソン(キャプテン)、マジェド・アル・ソロル(ゴルフサウジCEO、LIVゴルフ・マネージングディレクター)、パトリック・リード(キャディは除く)。
50ミリオンドルをかけてドナルド・トランプのコースでチーム戦決勝
今年6月のロンドン大会を皮切りにスタートしたLIVゴルフ。
PGAツアーとの確執や、サウジアラビアの人権問題、世界ランキングポイントの獲得など、世界のゴルフ界に数々の話題を振りまいてきた新リーグが、ついに今シーズンの全試合をマイアミで終了。
今年のLIVゴルフを振り返り、来年以降の展望をお伝えする。
「チームの総合優勝は、チームの努力の賜物。来年はもっと素晴らしいものになる」 ―ダスティン・ジョンソン
最終戦の最終日、4ACES GCのキャプテン、ダスティン・ジョンソン(右)と、PUNCH GCのキャプテン、キャメロン・スミスが激突し、優勝争い。最後の最後まで息の抜けない展開に、会場は大いに盛り上がった。
キャメロンの猛追を振り切り優勝した4エイシズ
サウジアラビア政府系ファンドが支援する、グレッグ・ノーマン率いるLIVゴルフ。
巨額の賞金をかけて、個人戦とチーム戦の両方で争われ、全12チーム・48名の選手たちが参加している新興リーグだが、今年の6月、「全米オープン」直前のロンドン大会を皮切りに、10月末に行なわれたマイアミ大会までの全8試合を終了した。
チーム戦の総合優勝を決める最終戦開催地は、かつてPGAツアー「WGCアメックス選手権」「ドラール・ライダーオープン」などが開催され、現在はドナルド・トランプ前大統領が所有する、トランプ・ナショナル・ドラールGC。
過去、フィル・ミケルソン、パトリック・リード、ダスティン・ジョンソン、そしてコミッショナーのグレッグ・ノーマン自身も優勝したことがある、人気の有名コースである。
さて、総額50ミリオンドル(約74億円)をかけて争われた最終戦のマイアミでは、それまでの全7試合での順位に従ってチームのシードが決定され、4戦優勝の4エイシズGC(ダスティン・ジョンソンがキャプテンを務める、米国連合チーム)が第1シードで乗り込み、見事総合優勝。
今季、8戦5勝をマークし、圧倒的な強さを見せつけた。
2位は、キャメロン・スミスがキャプテンを務める豪州連合のパンチGC。
第7戦のジェッダ大会終了時点では、12チーム中11位と低迷していたが、マイアミでの準々決勝、準決勝で順調に勝ち上がり、決勝戦へと駒を進めた。
そして決勝では、4エイシズGCに1打差に迫る猛追を見せ、2位に食い込む大健闘。
最終日はチーム4人のスコアがすべてカウントされる、ストロークプレーで争われたが、キャプテンのスミスが「全英オープン」チャンピオンの意地を見せ、7アンダーをマーク。
キャメロンとジョンソンという、キャプテン同士の戦いの結果次第で優勝チームが決まるという緊張感あふれる展開となったが、最終ホールを両者パーで終え、1打差で4エイシズが逃げ切った。
「チーム全体の努力の賜物だ。僕とキャメロンの18番ホールにまでもつれ込んだ戦い次第で、チーム選手権の優勝者が決まるという、最高の展開だった。でもこれがLIVゴルフだ。こんなにファンもたくさんいる。今年も素晴らしかったが、来シーズンはもっと素晴らしいものになるだろう」(ジョンソン)
アメリカで開催された全試合(ポートランド、ベッドミンスター、ボストン、シカゴ、マイアミ)で優勝し、総合優勝賞金1600万ドル(約24億円)をゲットした4エイシズ。
4人で4ミリオン(約6億円)ずつ分けあった。
同チームのチーム戦での賞金総額は、全8戦で2825万ドル(約42億円)。
第1戦から4エイシズのメンバーとして戦ったのはジョンソンしかいないが、途中で参入したパット・ペレツやパトリック・リード、組み替えのあったテーラー・グーチらは、ジョンソン傘下の同チームメンバーとなり、ラッキーだったと言えよう。
4ACES GCの優勝が決まり、シャンパンファイトで喜びを表すメンバーたち。中央は同チームメンバーのパット・ペレツ。
PUNCH GCのキャメロン・スミスは、最終日のストローク戦で7アンダーをマーク。チームを総合2位に押し上げた。
「チームメイトは家族のような存在」
LIVファミリーの試合ごとに深まる結束力
2位 PUNCH GC
左からマット・ジョーンズ、ウェイド・オームスビー、マーク・リーシュマン、キャメロン・スミス(キャディは除く)。
3位 SMASH GC
左からブルックス・ケプカ、ピーター・ユーライン、チェイス・ケプカ、ジェイソン・コクラック(キャディは除く)。
PGAツアーでは味わえなかった家族のような結束感
LIVゴルフとPGAツアーで大きく異なる点、それは個人戦のみならず、チーム戦もある、ということだ。
LIVゴルフでは、4人が1組となって12チームを結成しているが、大会を追うごとに選手同士の交流は深まり、同チーム内の選手同士は、今や家族のような存在だという者もいる。
また、ラテン系の選手だけを集めたファイヤーボールズGC(セルヒオ・ガルシアがキャプテン)や、南ア勢だけのスティンガーGC(ルイ・ウーストハイゼンがキャプテン)、「ライダーカップ」メンバーのようなマジェスティクスGC(イアン・ポールターがキャプテン)など、チームの個性が徐々に現れているのも魅力の一つだろう。
これまでは自分自身のためだけに戦ってきたプロたちが、今はチームのために戦う、という要素も兼ね備えているのだ。
また、毎回大会前には華やかなパーティが行なわれ、チーム内だけでなく、LIVゴルファー全員の結束感も出てきている。
「ライダーカップ」や「プレジデンツカップ」でしか団体戦競技を体験してこなかったプロたちにとって、新鮮で楽しい環境であることは間違いない。
4エイシズのパット・ペレツは、優勝後に次のように語った。
「仲間の選手と、キャディ、家族、コーチ、それにチームに関わる全員が今や、一つの大きな家族のようなものだ。こんなに幸せなことはない」
今年は1年目ということもあり、途中参入・退出する選手も多く、チームメンバーがコロコロと変わることも多かったが、ある程度選手層も固まってきた来年以降は、個人の要素よりもチームの要素がさらに発展、注目されることも多くなってくることだろう。
来年、どんな選手がさらに新規参入するのか、チーム編成の変更はあるのか、今後のLIVゴルフの動向に注目していきたい。
「LIVゴルフによって、世界的にゴルフを発展させることができる」とグレッグ・ノーマンは語る。
LIV GOLF Invitational : Miami Team Championship
2022年10月28日〜30日/Trump National Doral Miami—Blue Monster Par72·7792ヤード
チーム戦・最終成績
優勝 | 4 ACES GC | –7(1600万ドル) |
2位 | PUNCH GC | –6(800万ドル) |
3位 | SMASH GC | +4(800万ドル) |
4位 | STINGER GC | +10(400万ドル) |
5位 | CRUSHERS GC | 準決勝進出(300万ドル) |
6位 | FIREBALLS GC | 準決勝進出(300万ドル) |
7位 | MAJESTICKS GC | 準決勝進出(300万ドル) |
8位 | CLEEKS GC | 準決勝進出(300万ドル) |
9位 | TORQUE GC | 準々決勝進出(100万ドル) |
10位 | HY FLYERS GC | 準々決勝進出(100万ドル) |
11位 | IRON HEADS GC | 準々決勝進出(100万ドル) |
12位 | NIBLICKS GC | 準々決勝進出(100万ドル) |
出場選手リスト(マイアミ大会)
4 ACES GC | ダスティン・ジョンソン、パトリック・リード、 テーラー・グーチ、パット・ペレツ |
PUNCH GC | キャメロン・スミス、マーク・リーシュマン、 マット・ジョーンズ、ウェイド・オームスビー |
SMASH GC | ブルックス・ケプカ、ジェイソン・コクラック、 ピーター・ユーライン、チェイス・ケプカ |
STINGER GC | ルイ・ウーストハイゼン、シャール・シュワーツェル、 ブランデン・グレース、へニー・デュプレシス |
CRUSHERS GC | ブライソン・デシャンボー、ポール・ケーシー、 チャールズ・ハウエルⅢ、アニルバン・ラヒリ |
FIREBALLS GC | セルヒオ・ガルシア、エイブラハム・アンサー、 カルロス・オルティス、エウヘニオ・チャカラ |
MAJESTICKS GC | イアン・ポールター、リー・ウエストウッド、 ヘンリク・ステンソン、サム・ホースフィールド |
CLEEKS GC | シェルゴ・アル・クルディ、グレアム・マクドウェル、 ローリー・カンター、リチャード・ブランド |
TORQUE GC | ホアキン・ニーマン、スコット・ビンセント、 エイドリアン・オタエギ、ジェッド・モーガン |
HY FLYERS GC | フィル・ミケルソン、バーンド・ウィースバーガー、 マシュー・ウルフ、キャメロン・トリンガーリ |
IRON HEADS GC | ケビン・ナ、サドム・ケイオカンジャナ、 ファチャラ・コンワットマイ、キム・シバン |
NIBLICKS GC | ババ・ワトソン、ハロルド・バーナーⅢ、ハドソン・スワフォード、ジェイムス・ピオット、ターク・ペティット |
※B・ワトソンは、負傷中のため、ノンプレーイングキャプテン。
Text/Eiko Oizumi
Photo/LIV GOLF、Getty Images