かつては「ファーザー&サン」と呼ばれていた「PNC選手権」。
2020年からタイガー・ウッズとその息子チャーリーくんが出場するようになり、注目度がアップしている大会だ。
今年はジョーダン・スピースが父親と初参加。試合の結果は……?
PNC選手権に出場したレジェンド、男女トッププロたち。前列左から後列に向かって、アニカ・ソレンスタム、リー・トレビノ、タイガー・ウッズ、ゲーリー・プレーヤー、ネリー・コルダ、ジャスティン・レナード、ベルンハルト・ランガー、ジョーダン・スピース、スチュワート・シンク、マット・クーチャー、トム・レーマン、パドレイグ・ハリントン、ジャスティン・トーマス、ジョン・デーリー、ビジェイ・シン、ニック・ファルド、マーク・オメーラ、デビッド・デュバル、ジム・フューリック、ニック・プライス。
初参加のジョーダン・スピース(左)と父親のショーンさん(60歳)。
前年に引き続き参加の、ネリー・コルダ(右)と、「全豪オープンテニス」に優勝した、元テニスプレーヤーの父ペトロさん(54歳)。
前夜祭のトークショーに出演した、アニカ・ソレンスタム(中央)と、長男のウィリアムくん(11歳)。
PNC参加選手の偉大な記録の数々
1959年~2021年の間にメジャーで優勝した男・女・シニアの選手が一同に会し、その息子(あるいは父親)と一緒に出場するのが「PNC選手権」だ。
今年はジョーダン・スピースが父親と初参加したが、参加プロの輝かしい記録を通算すると、世界ランク1位経験者13名、「ライダーカップ」キャプテン7名、合計通算勝利数1066勝、メジャー71勝、世界ゴルフ殿堂入り選手9名となっている。
最年少出場選手は、アニカ・ソレンスタムの長男で今回初出場を果たしたウィリアムくん(11歳)。
一方最年長出場選手は、ゲーリー・プレーヤーで87歳だ。
その歳の差は、なんと76歳。プレーヤーは今もなお、日々トレーニングに励み、ラウンドしている。
エイジシュートも2500回以上記録するという、スーパーシニアなのだ。
なお、パートナーを選ぶ際のルールとして、PGAツアーやLPGAツアーのメンバーであってはならない、という規則がある。
ジャスティン・トーマスの父マイクさんは、PGAのティーチングプロではあるが、PGAツアープレーヤーではないので、参戦できるのだ。
日頃、ツアー転戦で忙しいトッププロが家族に再会し、一緒に楽しめる「PNC選手権」
2020年大会に優勝したジャスティン・トーマス(左)&父マイクさん(63歳)。
パドレイグ・ハリントン(左)と、アイルランドのダブリン大学に在籍中の、息子のパトリックくん(19歳)。
2021年大会に優勝したジョン・デーリー(右)とジョン・デーリーⅡ(通称・リトルジョン。19歳)。
ゲーリー・プレーヤー(左から2番目)と孫のジョーダンさん(27歳・左)は、リー・トレビノ(右)と息子のダニエルさん(30歳・右から2番目)とラウンド。
ネリーのスイングはアダム・スコットのよう
今回、初めてジョーダン・スピースが出場した。
スピースは父のゴルフについて、 「ショートゲームがとても上手だし、アイアンも得意」と称賛。同組で回ったネリー・コルダのスイングを「アダム・スコットのように美しいスイングの持ち主。彼女のショットのテンポは素晴らしいが、僕の父も彼女のスイングテンポを見て、ネリーのように振って欲しいね」と語った。
一方、今回で2回目の出場のネリー・コルダは「実際ジョーダンとプレーできるなんて思わなかった。最高の経験ね。小さい頃に彼のプレーを見て育ってきたから、特にグリーン上は注目したいわ(スピースはパットの名手)」と言い、父のペトロさんは「ジョーダンのようにスイングして、飛距離を稼がないとね」と語った。
コルダ家は2人の姉妹がLPGAプレーヤー、弟がテニスプレーヤーとして活躍しているが、弟の「全米オープンテニス」観戦の際、8月にニューヨークで集まって以来、家族が集結することはなかったそうだ。
「父とこうして一緒にプレーできるのも最高だし、家族全員で再び会えるのも特別。去年は憧れのタイガーに初めて会えて最高だった。今年もジョーダンと一緒にプレーできて、この大会はいつも素晴らしい思い出を提供してくれる」とコルダは語った。
ビジェイ・シン親子
出場16回目で念願の初優勝!
2022年、優勝したのはビジェイ・シン&カスさん親子。
息子のカスさん(32歳)が、16回目の出場となった今大会で、念願の初優勝を遂げたビジェイ・シン親子。
カスさんは優勝後に「本当に優勝したかった。やっと優勝できて夢が叶った」と言い、ビジェイは「息子と一緒に優勝できたことが、私のゴルフ人生の中のハイライト」と喜びを表現した。
ビジェイはPGAツアーで通算34勝を挙げ、メジャー(マスターズと全米プロ《2回》)での優勝も経験している。
2004年に「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」に輝き、タイガー・ウッズを抜いて世界ランク1位に君臨していたことも。
翌2005年には、世界ゴルフ殿堂入りを果たしている。
なお、カスさんは2013年にプロ転向したが、現在はもはやメンバーではないため、出場が可能になっている。
16年の年月を経て、ようやく夢が叶った2人だった。
Text/Eiko Oizumi
Photo/PNC Championship(IMG via Getty Images)、Getty Images